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異世界行っても面倒なものは面倒  作者: くもりのちはれ
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異世界来て早速喧嘩売りました

 

 side.祐志


  俺の名前?浮雲祐志(うきぐもゆうじ)。青春真っ盛りのピチピチ高校2年生、17歳さ!え、ウザい?知ってる!しょうがないだろ、テンション無理にでも上げないと色々キツイ状況なんだよ今。

 気づいたら倒れてて知らない天井アーンド硬い床。寝ごごち良くない。まわりには知らない人が数人ほど倒れてる。まずこの時点でビックリ。

 んでよくまわりを見たらここはお城の広間ぽいってのが分かった。だって壁際に数人鎧の騎士さんっぽい人がいるんだもん。こっちガン見で。しかも壁がなんか中世の西洋のお城っぽかったもん。

 いやー、参ったね、思考停止した。その間に倒れてた人達は復活してキョロキョロしてたけど、正直それどころじゃなかった。

 さらに、だ。落ち着こうとしてたらなんか見るからにお姫様!って人が近づいて来て、こう言ったんだ。






  「貴方方が勇者様方ですね!どうかこの国をお救いください‼︎」

 











  ・・・・・・どうしてこうなった。


 









 

  俺は別に小説とかラノベとかによくある特殊な家庭で育ったとか、そう言う事は無い。

  日本の普通の家庭に生まれ、普通の両親に不自由無く育てられた。兄弟はいない。

  しかし、人間強欲なもので、毎日同じ日常が続くと飽きる。平和が一番だってのにな?だから俺は本が好きだった。今の自分とは違う、思うように自由に生きれる自分になれるから。異世界に行きたいとか、いつも思ってた。






 でもさ・・・これはなんか違う。俺の理想じゃない。勇者?ただの便利屋じゃないか。どうせ国からしたら強力な駒にしか過ぎない。勘弁してくれ。やり直してくれ。無理?ですよねー。








 はぁ・・・めんどくせーー。








 まぁ、来ちまったもんはしょうがない。え、いやに冷静だなって?いやね、まわりにいる人達(あ、一緒に倒れてた人達ね)がすごくオロオロしてるからさ、それ見たらなんか冷静になれた。

 ホラ、姫さん?もどうしたらいいか分からなくて釣られてオロオロしてる。ちょっと面白い。

 そんなことを観察してると・・・・


「みんな、落ち着こう!こうしてても始まらない!まずは彼女の話を聞いてみようじゃないか!」


 お、俺と同年代っぽい男が立ち上がって仕切りだした。イケメン、学ラン、茶髪。しかも熱血漢ときた。勇者っぽいなー、こいつ。俺とは大違い。

 俺?顔は普通だな、良くも悪くも無いってとこだろう。髪は面倒くさいから短く切ってほったらかしだよ。ジャージ着てるし。丁度寝起きだったからひどいことになってるね、きっと。

 まぁ俺のことはいい。

 とりあえずまわりを見渡す。

 どうやら倒れてたのは俺あわせて5人のよ「あのー・・・」うだ・・・・・なんすか姫さん。俺に何か恨みがあるんすか。


「皆様大変申し訳ありませんが、このような場所ではお話もしにくいので、こちらへ・・・」

「どこへ行くんです?」


 これはもう一人の男である、サラリーマンっぽい眼鏡の人。警戒してるようだ。まぁ、突然気づいたらこんな所にいたんだ、当然だよな。


「王の間です。私の父・・・この国、ワールグリンドの国王様にあって頂きたいのです。」「「「え、王様⁉︎」」」


 おお、見事なハモり。俺は予想してたからあまり驚かなかった。しかし声をあげなかった女の子は・・・・あ、驚きすぎて声が出なかったのね。ポカーンとしてら。

「では、こちらへ・・・」おっと、面白がってる場合じゃない、姫さんについて行かねば。と言うかやっぱりこの人お姫様か。

 あ、いけね、寝癖直そう。





「よくぞ参られた、勇者達よ。我が国はそなたらを歓迎するぞ。」


 王様の第一声、王の間に入って直ぐに頂きました。正直あまりいらん。流石王の間、でかい。王様が正面にいて、その両脇には女の人。高そうなドレス着てるし、さっきの姫さんとどことなく似てるから、姉妹かな?王族なのは間違いない。さらに両側の壁近くには騎士達と文官達かな?そんな感の人たちが並んでる。どうしたらいいのか分からず、5人揃って立ち尽くしていると。


「貴様ら!無礼であるぞ!国王陛下の前だ!跪かんか!」

「その通りだ!恥を知れ!」


 なんか王様の一番近くにいる偉そうなおっさん達が叫びだした。多分文官のお偉いさん方かな?

 それを聞いて他の4人は慌てて膝をつくが・・・悪いが俺は嫌だね。すると、さっきのイケメン君が「お、おい!君!」とさらに慌てだす。4人とも驚いてるねぇ。

 おっさん達もなんか「さっさとしろ!死にたいのか!」とか叫んでるが・・・


「なんで?」

「は?」

「いや、だからなんで跪かなきゃいけないのかね?こっちはいきなり強制的に連れてこられたんだぜ?いわばこれは誘拐だ。なぜ誘拐犯なんかに膝をつかなきゃいけないのかねぇ?たとえ相手が王だとしても、ね。犯罪には変わりが無い。違いますかねぇ、王様?」

「きっ、貴様!陛下に向かってなんと言う口を・・・!」

「あれ?もしかしてこの国、いやこの世界では誘拐は犯罪じゃないのかな?だとしたらとんだ世界に来たもんだね、俺らは。」


 さて、ここまで言えば分かるだろ、本当に王様やってるならな。どう反応するかな?この王様は?そして召喚された4人、震えだしたよ、大丈夫かこいつら。




「・・・・・・確かに、その者の言う通りだ。すまなかった、膝をつく必要は無い、立ってくれ。」

「陛下!しかし!」

「かまわぬ、彼らの意思を無視して呼んだのは我々だ、誘拐と言われても当然だ。」


 ・・・なるほど、賢明な王のようだな。ある程度は信用出来そうだ。ちゃんと謝ったしな。つーか最初に謝って欲しかった、そしたらある程度の礼儀は払ったのによ。


「皆の者下がれ。私はこの者らと共に食事がしたい。料理の仕度をせよ。」

「へ、陛下!危険です!我々も共に・・・」


 おいおい、いいのか、家臣つけなくて。王だろ、大丈夫かよ。つーか何時になったら4人とも復活すんだよ、今度は放心してるよ。誰だこんなことしたの。かわいそうだろ。あ、俺か。


「かまわぬ。私を誰だと思っておる。ワールグリンド国王だぞ。あの者達を見よ、身体をあまり鍛えておらぬと見える。私があの者達にやられると思うか?」

「い、いえ。国王陛下はこのワールグリンドにおいて最も強いお方。その様な心配はしておりませぬ。しかし・・・」

「ならば良いだろう。下がれ。」

 あ、やっぱり王様強いんだ。・・・・・あっぶね!下手すりゃ俺死んでた!こえー!



 渋々家臣達は下がり、ここに残ったのは多分王族、俺達召喚組、幾人かのメイドだった。どうでもいいけどさっき俺に叫んでた家臣さん達、めちゃくちゃ俺のこと睨みながら去ってったんだけど。こりゃ後でめんどいことになるだろうな、めんどくせー。

 なんとか放心してた4人を復活させ、席につかせたが・・・怒られました。えへ。死ぬかと思った、とか言われた。うん、気持ちは分かる。でもね、あそこでハッキリさせとかなきゃ、最悪俺ら死ぬより辛い目にあってたかもしれないんだけど。まぁ、結果オーライってことで許してね。


「さて、まずは先ほどのこと、すまなかった。あの者達は能力は高いのだが、プライドがその分高くてな。許してくれ。」

 改めて王様が謝るとイケメン君が、

「い、いえ、こちらこそ申し訳ありません、失礼なことをして」

 となんか俺の代わりに謝ってくれた。「ほら、君も謝って!」訂正、俺も謝された。

 すると王様が、苦笑しながら話しだした。


「いや、先ほども言ったがそちらの者の言う通りだ。我々は本来人として許されなくてもおかしくは無いことをした。重ねて謝るが、申し訳無い。しかし、我々もそこまでしなくてはいけない所まで追い込まれていてな、禁忌に頼ることになってしまった。・・・いや、まずは食事にしよう、折角の料理だ、堪能してくれたまえ。それからお互いのことを、そうだな、自己紹介から始めようじゃないか。」


 なるほど、良い案だ。皆も納得したらしく、目の前の料理を食べ始める。テーブルマナーとか知らないんだけど、大丈夫かな?




 そこからは長くなるので要約して話そう。食事を終え、自己紹介をしだす。まずは王族の人達から。


 王様。ワールグリンドの国王陛下。名前はダレジャンと言うらしい。銀髪のダンディなおじさまだ。42歳。だが身体は毎日鍛えるのを忘れておらず、30代の身体を保ち続けているそうな。さっきも聞いたが、国内最強クラスの強さを誇っているらしい。チートか。


 王様の右にいたのが、王妃様。さっき姫さんのお姉さんかと思ったが、お母様だったようです。名前はサーラ。金髪ロングの美女だ。見た目は20代にしか見えないね。え、年齡?俺は死にたく無いので聞きません。ハイ。なんかこの人はおっとりしてるけど、逆らってはいけないオーラを感じる。


 次に姫さんこと、王様の長女、ニコ。お母様の血が濃いようで、母親似の美人さん。だが髪の色は銀だ。年齡は上に同じ。女性の年をむやみに聞いてはいけないのだ。


 最後に王様の左にいた女の子。姫さんの妹のルーだ。父母どちらの血もよく出ているようで、上手い感じにバランスがとれてる金髪美少女。が、実は15歳らしい。身体が小さいから、小学校高学年くらいに見えた。自分から年齡を言った所を見ると、どうやらコンプレックスらしい。紳士諸君。朗報だ。金髪ツインテの妹は存在した!




 続いて我ら異世界組。


  イケメン君こと橘優(たちばなすぐる)。茶髪は地毛らしい、ますます勇者らしい奴だ。俺と同じ高校2年生、17歳。


 相川秀(あいかわしゅう)、サラリーマンの眼鏡さん。最近派遣会社に務め出したらしい22歳。背が高く、黒髪をオールバックにした真面目そうな人だ。もちろん社会人らしくスーツです。


 鹿嶋夢(かしまゆめ)、看護師さん。黒髪ロングの24歳。王妃様と似たおっとり系だが、特に何も感じない。ただ優しいだけなのだろう。ちなみにだが紳士諸君、残念ながらナース服ではなかったぞ。今舌打ちした奴、アウト。


 最後に、宇多川咲(うたがわさき)、16歳の高校1年生。黒髪ポニテ。今はまだ軽く混乱しているようで、あまり喋らなかった。ただ、俺と同じく寝起きだったようで、可愛らしいパジャマだった。




 とまあそんな感じで自己紹介は終わった。次に、この世界についての説明になった。




 まずこの世界の名は、グレンシュテウムと言うようだ。俺達がいるこの国、ワールグリンドはその中にいくつかある国の中でも大きな国の一つらしい。兵士達の質も高く、国の経済も悪くない。安定していていい国だそうだ。王様が軽く自慢気に話すからちょっとイラッとした。亜人の国、つまり獣人やエルフなどの国もあるそうな。いいね、ファンタジー感が出てきたよ!


 次に、季節。これはワールグリンドとその周囲の国だけらしいのだが、春夏秋冬があるらしい。他の国には春秋がなかったり、夏だけだったり、場所によって異なり、その原因は不明らしい。いや、多分俺らは分かるんだけどね。つまり、グレンシュテウムは地球の様に丸いのだろう。まだそこまで地理が知られてないということか。


 時間。これも地球と同じく、一年が12ヶ月、一日24時間。ただし、一ヶ月は30日と決まっているらしい。他は一緒。あ、方角もあるらしい。これも一緒。


 通貨。これは世界共通で「ペル」と言う単位。確認したが、1ペル=大体1円ってことで良さそうだ。くず銅貨、銅貨、くず銀貨、銀貨、金貨、白金貨、王金貨がある。それぞれの価値は、


 くず銅貨一枚=1ペル

 銅貨一枚=10ペル

 くず銀貨一枚=100ペル

 銀貨一枚=1000ペル

 金貨一枚=1万ペル

 白金貨一枚=100万ペル

 王金貨一枚=1億ペル


 となっている。世界共通ってのは助かるな。


 そしてその後も色々説明があったが、それはその時々にするとしよう。

 だが、俺たち異世界人を呼んだ理由、これは重要だ。

 なんでも、ワールグリンドがある土地から北側に、魔族の国があるそうだ。最近暴走し出したらしく、自分たちの国以外に戦争を仕掛けているらしい。

 今のところ被害はワールグリンドではないが人族の国と獣人の国に出て、かなりの人が死んだらしい。しかも相手の魔族たちは強く、小国だったのもあるが、ほとんど一方的にやられたそうだ。人族の国は滅び、獣人の国は領地の一部をとられた。

 次は自分たちの国かもしれないと各国は思い、それぞれ戦争の準備を始め出した。

 相手は魔族。油断は出来ない。良い案は何か無いかと試行錯誤している内に、王家の宝物庫からある魔法の書が見つかったらしい。それが「召喚の書」。俺たちのような力の強い異世界人を呼ぶ魔法が書かれている書だったと言う訳だ。

 そんな魔法は聞いたことが無いので最初は半信半疑だったのだが、他に良い案が出なかったので、物は試しと使ってみたらしい。

 そしたら俺たち、参上。万が一呼び出せたらいかんと思い、一応準備しておいて良かった、とは王様の弁。

 そんな軽いノリで呼び出されたの俺ら⁉︎なんか悔しい!

 それはともかく、魔族に困っているのは事実。


「どうか助けて貰えないだろうか。それ相応の礼はもちろんする。どうか頼む!この通りだ!」


 と王家の方々に頭を下げられ、心平民の異世界組は大慌て。


「もちろんです!頭を上げて下さい、困った時はお互い様ですから!」と橘君。

「心踊るよね、こういうゲームみたいなの。もちろん僕もお手伝いしますよ。」と相川さん。

「そうですよ!頭を上げて下さい!私たちもお手伝いしますから!」と鹿嶋さん。

(・・・コクコク)これは宇多川さんだね。


「祐志君、君ももちろん手伝ってくれるよね?」

「・・・え?ああ、まあいいけど・・・いくつか条件出していいですかね?」


 橘君、君いきなり名前呼びですか。まあいいけど。それより何当然のように俺に手伝わせようとしてんの?断れない雰囲気になったじゃん。変わりに条件を出させてもらう。


「・・・なんだね?出来る範囲でなら応えよう。」

「あ、いや、そんなに構えなくてもいいっすよ。城内や城下町を自由に歩ける様にして欲しいんです。ああ、もちろん俺らに見られたらまずい所はいいですよ?図書室とかは入りたいですけど。それと、何か困ったことが起きたら助けて貰いたい。後は・・・まあ、その時々で許可貰いますわ。とりあえずそのくらいです。」

「・・・分かった。その様に手配しよう。元々図書室は入れる様にするつもりであったからな、問題は無い。他の条件に関しても、我が手が及ぶ限り応えよう。」

「ありがとうございます。ならば、俺も手伝いましょう。」





 こうして、俺の異世界生活が始まった。多分、めんどいことだらけだと思うけど。がんばろー。

































 side.???


「む、この感じは・・・」


 風呂入ってたら、いきなりピキーンと来た。多分・・・


「お、当たった。やっぱり新しい物語が始まってるな。・・・・・・・・・クハハッ!何こいつ、超おもしれー!いきなり王族にケンカ売りやがった!良かったな!良い王で!クハハハハ!」


 しばらく爆笑してたら、見回りのケンタウロス君たちに不審な目で見られた。ひでぇ。

 仕方ない、そろそろ上がるか。あ、卵入れてたんだっけ。血の池でも温泉卵出来るかなーって思って実験ついでに風呂入ってたんだけど、すっかり忘れてた。

 にしても、自分で冷静だと思ってた割には随分とパニクッてたな、あいつ。『俺』だったら普通あんな無謀なことはしないだろ。ま、結果オーライかね?


「えーと、今空いてる『俺』は・・・・おお、ほとんどが空いてるな?よーし、我んちでパーティーだ!なんのって・・・感じなかったのか?新しい『俺』誕生パーティーだよ!いいから早く来い!我んちに集合な?んじゃ、後で!」


『あいつ』はまだ新人だから、感じとれなくてもしょうがないかな?まあいいや、とりあえず服着よう。


「さて、『浮雲祐志』だったか。そして世界の名は『グレンシュテウム』。・・・うむ、記憶した。」


 さて、我が家に帰ろう。パーティーの準備をしなければ。

 翼を広げ、飛ぶ。飛びながら、手元のビンを煽る。


「乾杯だ。新しい『俺』に。そして世界に。我を楽しませてくれよ?クフフフッ!」


 まあ、ビンの中身はコーヒー牛乳だから、カッコつかないけどね。






 いかがでしたでしょうか?自分なりにがんばって書いたつもりですが・・・。続きが読みたいと思ってくださったなら、これ以上の幸せはありません。

 最後に出てきた???ですが、本編に関わりはありません。今後出る予定もありません。出るとしても、外伝とかIFとかですかね。

 今後ともよろしくお願いいたします。

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