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規則六条 体調管理は大切に

 一日の俺の仕事は割りと少ない。

 俺が高校生って事も配慮してくれてるのだろう。住み込みのバイトだし。

 掃除と受付ぐらいなもんだ。

「さてと、買い物にいくか」

 食材も宅配サービスを利用するので買いに行くこともないのだが、個人個人で急に食べたい物は流石に買わないといけないらしい。

 GパンにTシャツという軽い格好に財布を持つ。

 暇なのか食堂で酒を飲んでるマルタに声をかける。

 そもそも仕事はないのか、自由な生活をしている。

 自由といえば俺も夏休み中なので人の事は言えないが。

「マルタ~俺プリンとアイス買いに行くけど何か買うものある~?」

「ビール」

「高校生で買える物でお願いします」

「タバコ」

「それも買えないっちゅーねん」

「突っ込みうまーなったなー」

「ウチはええから、アヤメにも聞いてきなー。二階の部屋にいるはずや」

 二階に上がり部屋をノックする。

「雪乃さーん。コンビニ行くけど買ってくる物あるー?」

「はーい。今開けます~」

 声とともに扉が開く。

 着物姿で出てくる。

「お、涼しい。クーラー?」

 部屋からは気持ちい温度が流れてる。もしかしてクーラー付き。

 俺の心を覗いたのがすまなそうな顔をする。

「すみません。暑いのは人並みに平気なのですが、やっぱ涼しいほうが元気がでるのでちょっとだけ雪を」

「ああ、別に謝らなくても大丈夫だって。コンビニ行くけどほしいのある?」

「そうですね。それではバニラアイスをお願いします。100円ぐらいの奴で良いので」

 意外と庶民的だ、てっきり300円以上の奴かと思ったのに。

 俺の手に200円を渡してくる、不意に手と手が触れる。

「あ」

 どちらともなく声が洩れて赤くなる。

「あ、うんんじゃ行って来る」

「あ、はい。いってらっしゃい」

 中学生かよ!と自分に突っ込みを入れつつ。自転車にまたがる。

 人里を少し離れたアパートからコンビニまでは自転車で15分。木々のおかげで木陰になってる道を抜けて日差しが強いアスファルトに出る。

 行き良いよく自転車をこいでコンビニに入る。

「これじゃ帰るまでにアイス溶けるんじゃね」

 コンビニの中から外を見る。コンビニの中は都会のオアシス。

 雑誌コーナーには中高生がうろうろし、コンビニ前には飲み物をもった子供もいる。

「あっれー近藤?」

 雑誌コーナーの前で声をかけられる。

「久留米!」

 俺の学友の一人である。

 俺の通う、晴嵐高校ニ年A組部活は新聞部、久留米くるめ かける。人の噂などを広めるくせに、皆からは嫌われない。

 親父さんは社長業などをしておりボンボン息子と思われカチだが、実は優秀な奴。

「お前夜逃げしたんじゃないの?」

「遊びに行ったとき誰も住んでないからさ、夜逃げしたって皆に伝えといたぜ」

 背景に星が見える。

「伝えといたぜ。キラ じゃねーよ!」

「そして夜逃げもしてねーよ!」

 この歩く広告塔は何を言うかたまったもんじゃない、こんな奴にアパートの事を知られたら大変な事になる。

 コンビニの中での突っ込みで店員も白い目で見てくる。

「両親が出張でさ、俺いま住み込みのバイトしてるんだ」

 小声で話す。

「タコ部屋か? 生活厳しいなら、なんなら俺の家くるか?」

 心配してくれてるのか、真面目に聞いてくる、こういう所が人に憎まれない秘訣なんだろう。

「いや、大丈夫食事もついてるし」

「ならいいけどよ」

 おもむろに未成年禁止の雑誌コーナーにいく久留米。

 そして俺に目で合図する。

 普段ならシールが張られてる雑誌が何故か一冊だけ張られてない。

 俺も目で返事をする。

 別にそういう本なら男なら誰でも持ってるし、態々コンビニで読まなくても今の時代ネットもあるしー。

 誰に言うわけでもなく頭の中で言いわけを必死に言う。

 でも、僕も男の子だもん、こういうチャンスは生かして生きたい。

 俺は店員から久留米が見えないように壁役を務め雑誌を覗き込む。

 久留米は俺と一緒に見るために静にページをめくる。

「おお……」

「おう……」 

「シューイチ君も男の子やね~」

「うんう……ん?」

 俺だって男の子って……。

「マル……タさん」

 叫びそうな声を必死で落ち着かせる。

 久留米も驚いた顔をしてマルタを見ている。そりゃそうだろう、後ろから長身の金髪ダイナマイトが音もなく忍びよってるんだもん。

「どうして此処に」

「ん、お酒きれた」

「失礼、近藤の知り合いですか、変な所を見せてしまってすみません。俺は近藤の友人で久留米と言います」

 如何わしい雑誌など最初から見てなかったように紳士に振舞う。

「シューイチ君と一緒に住んでる一人のマルタや、よろしゅう」

「そうですか、近藤は貴方みたいな綺麗な人と一緒に住んでるんですか。両親が不在と聞いて俺も心配してた所です」

 どの口が何を言ってるんだ。

「そやでーウチだけやあらへん。もっと可愛い子も一緒にすんでるで~」

「何を言ってるんですか。俺は管理人として一緒に暮らしてるだけであって」

 肩をポンと叩かれる。

 皆まで言うなと顔をしている久留米。

「近藤、後は任せろ。学友には説明しとく」

「まて!」

 俺の手が空をつかむ。ものすごい勢いで外に出てった。

 俺の新学期が終わった、きっと凄い噂なんだろう。

 後でメールで弁解しておこう。

「シューイチ君かえるで~君のアイスもこうたる」

 既にマルタが会計を終える所だ、しかも俺の分と雪乃さんの分も買ってくれてる。

「あ……ありがとうございます」

 コンビニの外にでる。太陽は激しく輝いてる。

「あつい……」

「せやなー」

 その割りには涼しい顔をしてる。

「よし、シューイチ君アパートまで競争や」

「競争ってこっち、自転車ですよ」

「ウチをなんの化身かおぼえてないやろか?」

「あ、なるほど」

 狼の化身だったはず、犬と同じでかけっこが好きなんだろう。

 行き成り頭を叩かれる。

「今、犬コロっておもったやろ……」

「滅相も御座いません」

 行き成り心を読まれた。

「ま、皆最初はそう思うさかい慣れたもんやけど、あっちもこっちもお互いプライドはある境難しいもんやね」

「そうなんですか……」

「そや。ウチに勝ったらこれあげるわ」

 そういって袋から出したのは、さっき立ち読みをしてた如何わしい雑誌。

「それって……いや。いらないですし」

 どうせならほしいってのが本心であるが、女性からその手の本を貰うとか、なんといバツゲーム

「ふむ。ウチが勝ったら、シューイチ君が読んでた本って説明してアヤメにあげるわ」

「ちょ!」

 もっとダメだ。

「いくでーよーい。ドン」

 物凄い速さで見えなくなる。

「あ、まずい」

 急いでペダルを漕ぐ。この暑さの中俺は何をやってるんだ。

 マルタの背中が見えてくる。

「ぜえ、ぜぇ……追いついた」

 マルタの横に並ぶも俺とはちがって涼しい顔をしている。

 森林の道に入った。俺の後ろにマルタがいる。

 このペースならあと3分ほどでアパートに着くはずだ。

 勝てる!抜きにくいように道の真ん中を立って漕ぐ。30キロはでてるんじゃないだろうか。

「若いってええやねー。それじゃオネーサンもちょっとだけ本気になろっか」

 その言葉が後ろから聞こえたとおもったら、俺の頭上を何かか飛び越えた。

 俺の斜め前にジャンプしてきたマルタはそのままアパートまで一気に走りぬけてった。

 

 俺はへろへろになりながらアパートの前に着く。

 今買ってきたはずのビールを既に飲んでるマルタが出迎えてくれる。

「ぜぇぜぇ。改めて、力の差を知りました」

 うな垂れる。

「まぁまぁ、そういうなって、ウチの運動に付き合ってくれたお礼や。あの本な部屋にいれといたで。アヤメには内緒にしちゃる」

「それにしてもや、シューイチ君汗すっごいなー」

 俺の体をみてくる。

「ぜ……全力だしましたから」

「そっかそっかアヤメに頼まれたのはウチから渡しておくから、シャワーでもあびておいて」

「そうします」

 マルタが二階に上がるのを見送り、俺は部屋に戻る。

 褒美でもらった本を隠して、着替えを取って風呂にいくのであった。

 

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