規則五条 秘密は皆で共有しましょう。
着替えの終った雪乃さんとマルタが俺の前に座る。
食堂というなの休憩室の中だ。
「何から話せばいいのでしょう」
雪乃さんが困り顔で喋りだす。
隣ではマルタが涼しい顔でお茶を飲んでる。
俺は先手を打ってみる。
「えっと、マルタもちょっとかわった人で人より変な事が使えるって事ですか?」
このアパートは万国ビックリショーの人間しか来ないのか。
雪乃さんは例によって驚いた顔をしてマルタは物知り顔で頷いてる。
「シューイチ君は物分りええな。そや、ウチもちょーーーーーーっと人より違う事が出来るだけや」
そのちょっとが凄い差があるんですけど。
「で、俺は別にあっちこっちに話たりはしないですよ」
「ええ子やな~。さすが妖怪荘の管理人に選ばれるやつや」
「ぶほ」
今なんて。
「どうしたんシューイチ君むせてるけど」
「えっと妖怪荘って……? ちょっと変わった人が集まる所じゃないの?」
「私から説明させていただきますね」
雪乃さんが説明してくれる。
「最初は私が管理人でこのアパートには様々な力をもった人が異文化交流など色んなの目的で住むためにくる予定でした」
「そうそう」
マルタが相槌を入れてくる。
「しかし、私一人では何か良くない事が起きた場合対処も出来ません」
「喧嘩とかやな」
「はい、そうですね。それで入居する方全員に大きな罰則はないのですか、規則を作ってはと言う事になりました」
「初耳やなー」
白い目でマルタをみている雪乃さん。
「入居前に聞いたはずですが」
「難しい話きらいやねん」
「えっと、続けます。そこで人間……言い方がダメですね。普通の人を管理人にして、私も含めて入居者は力を見せないように生活しましょう。と言う事になったのです」
「ふむふむそうすると、乱闘もおきにくいしな」
「起き難いじゃなくて起きちゃダメなんです」
「それで、今回近藤さんが管理人に選ばれたのです」
雪乃さんの説明が終ったようだ。
「へー……それじゃマルタも何かの妖怪って奴なの?」
「おう、ウチは由緒正しい狼娘や!」
狼娘。狼男が有名だからその女性版だろう。
俺の中のイメージは父親が昔プレイしていた格闘ゲームの中にいた狼男のイメージが強い。
実際は何が出来るんだろ。
「何が出来るの?」
思わず質問してみる。
「生肉が食べれるんや!」
すごい事なのだろうか自信満々に答えてくる。
「それだけ……?」
「なんや! それだけって。シューイチ君生肉たべれんのか!」
「マルタさんは先ほどのように身体能力がずば抜けてます。あとは爪や牙なども凄いです」
助け舟を出してくれる雪乃さん。
「そやそや、シューイチ君のお肉なら簡単に裂けるで」
裂かないで頂きだい。
「で、俺はマルタの秘密を知ってしまったと」
「そやなーウチの秘密が知られたのは不味かったやなー」
「そうです」
棒読みのマルタに興奮口調の雪乃さん。
「でもなー。シューイチ君なんでアヤメの秘密しっとるんねん」
その一言で俺と雪乃さんが固まる。
「ウチかて秘密を知られたのはダメや、でもな。アヤメの説明を素直に受けるシューイチ君はアヤメの秘密を既に知ってるって事やろ」
「ウチは感は鋭いほうやねん。最初二人見たときに付き合ってるように見えたのもそのせいや」
「なーなーなんでなんー」
ニマニマしながら聞いてくる。
でも、俺は雪乃さんと約束したから喋るわけには行かない。
「えーっと……そのなんていうか」
「ほらほらシューイチ君こまっとるや。アヤメ助けてあげてーな。なんでアヤメの秘密しってるん?」
「えーとですね、それは」
二人とも言葉に詰る。
「そ……そうだ!マルタ。喉渇いてません?ビールもってくる」
冷蔵庫に逃げ出そうとするも、細い腕で掴まれた。
「マルタおねーちゃん。二人の秘密ききたいんや。座っとき」
これは子供の時、従姉妹のおねーさんが俺をからかって遊んでる顔だ。
「負けました。近藤さん話してあげてください」
何処からわからないか、雪乃さんが白いハンカチを振っている。
「勝った!」
俺の腕を掴んでるマルタは勝利宣言をし始めた。
「俺からでいいの?」
「はい」
雪乃さんは出した白いハンカチで軽く目元を押さえてる。
秘密だったが、約束した相手が許可だしてるから説明する。
「では、そんな凄い話でもなくて」
「ふんふん。なるほどなー。納得や」
「まだ何も言ってません」
「お約束ってやつや」
「俺が天ぷら油を浴びそうになった時に雪乃さんが雪で助けてくれただけですよ」
身代わりになったなどは伏せておく。
「ほーシューイチ君ドジやなー。んじゃアヤメは不可抗力って奴かー正体ばれるぐらいなら助けなくても良かったんじゃない」
「そしたら新しい管理人を探すだけやし」
おいおい、物騒な。
マルタは雪乃さんに振り返る、雪乃さんと言えば『違います』と言いいそうな顔をしていたが、俺はマルタの後ろから指でシーという合図を送る。
気持ちをわかってくれたのか軽く頷く。
「そういう事になります」
俺の説明で納得したのか、昼間からビールを取りに冷蔵庫へいくマルタ。
「しっかしなーこう秘密が秘密でなくなると、いっその事オープンにしたほうがええんちゃう?」
「オープンって?」
俺も疲れたので炭酸飲料を取りに行く。
「力は使っても他人には迷惑をかけない。シューイチ君も管理する奴が得たいのしれない奴よりはいいやろ」
「はぁ。まぁ事前にわかっていればビックリも少ないですね」
「やろやろ」
「アヤメーどうやろうか?」
「そうですね」
テーブルでお茶を飲みながら考えてる。
「最初は管理人になる人が私達の力をみて逃げ出す事、噂が広まって私達が住んでいられなく事を心配してた訳ですが。管理人さんも私達の力を見ても驚くはするもの受け入れてはくれますし」
「難しく考える事ないんや、アヤメだってシューイチ君追い出したくはないやろ?」
「それはそうですけど」
その言葉に俺の思考が止まる。
それを見たアヤメさんも急に顔が赤くなる。
「にっしっし。よし決定や、山流のおっちゃんに書類書き直してもらうわ」
二人を残してさっさと電話をかけに部屋を出るマルタ。
変な事をいうから意識した二人だけが数十分残された。