探検者になります12
誤字、脱字の指摘ありがとうございます。
何度も作品を読み直し少しずつ直していきますので気づかれたらまた教えて頂ければ嬉しいです。
どうぞよろしくお願いします。
目を覚すと眩しくて見慣れない天井が広がり、目映い光に目を何度も擦り、視界をクリアにする。
「ここは?」
「よかった」
気が付くとヨナが上に乗っていた。ヨナは小さいので重くはないのだが、美少女にずっと抱き着かれている睡眠と言うのもどうなんだろ。
ヨナが心配そうに顔を覗き込んでくるので、頭を撫でてやる。
「ヨナ?離れてくれるか」
「どうして、重い?」
「重くはないけど、ちょっと朝の目覚めには不都合なところがあるんだ」
「???」
「まぁ、なんだ今は下りてくれるか?」
「いや」
アクは起き上がろうとするが、ヨナがアクの股間の上で首を振るので、急いで体を起こす。
「む~マスター酷い」
弾き飛ばされたヨナは頬を膨らませる。何とかなだめて辺りを見渡す。屋根と壁の代わりに布で区切られたテントの中にいる。
「ヨナ、ここはどこだ?」
「マスター、覚えてない?ここは水龍の里」
「そうか、そういえば水龍に協力を求めに来てたな」
「思い出した?」
「ああ」
アクは昨日の出来事を思い出して、闇の中を歩く自分を覚えている。自身の中にアモンを感じる、アモンは眠っていた。
「皆は?」
「サーラは族長と話してる。ルーは知らない」
アクはヨナの頭を撫でてやり、テントから出る。出てすぐにある大きな滝がアクを迎える。激流なのに規則正しく聞こえる音に心が落ち着きを取り戻す。
「おお、我らが王よ。目覚めたか?」
「はっ?」
一匹の若い龍が、アクのテントを守っていたらしく、アクが外に出ると片膝を突いた。
「族長達は、王を我らの主と認めた。ならば主は王である」
若い龍は言葉が下手らしい、ただ何度も王と繰り返す。
「族長達に会いたいんだけど?」
「承知しました。しばしお待ちを……」
そういうと若い龍は目を瞑り、何かしている。
「もうすぐ来られます。しばしお待ちを……」
「えっと、何をしたの?」
「族長に直接話しかけました」
「そんなことできるの?」
「王にもできます。我らの主となられたのだ。我らの力を主も共有している」
アクは若い龍に言われた通り、話したい相手を考え念じてみる。
『サーラ?サーラ?どこだ?』
『どうした主殿?何か不都合か?』
サーラは何の驚きも無く、アクの念話を受け入れた。
『いや。なんでもない、呼んでみただけだ』
『そうか、もう少ししたら族長達とそちらに向かうから、しばし待て……』
普通に念話で返される。龍族だからできるのかと思い、今度はルーの事を考える。
『ルー?どこにいる』
『うわっ!隊長?どこにいるの?』
『ルーか?直接ルーの頭に話しかけているんだ。どこにいる?』
『そんなことできるの?隊長、本当に化け物だね』
ルーの発言に、内心傷つきながらアクは話を進める。
『でっ、どこにいるんだ?』
『どこって隊長の寝てるテントの上の木の枝で寝てるよ』
『そうか、下りてきてくれるか?』
『わかった』
アクが頼むと、スタッとルーが上から降りてくる。
「何か用?」
「いや、ヨナがルーの居場所がわからないって言ってたからな。それに今から族長達と話し合うから側にいてくれ」
「……わかった」
「なんだ?不満か?」
「……別に」
ルーはどこか不機嫌そうに、でもアクの願いは受け入れてくれた。
「またせたな。我らが主よ」
ルーに機嫌の事を聞く前に族長達がやってきた。四人の族長は明るいところで見ると、やたらデカい。龍族は、人型、龍人型、龍型と三種類に体を変化させることができる。今は人型なのだが、全員2メートルは軽く超えている。
「ちょっと待ってくれ。我らが主ってどういうことだ?」
「簡単なことじゃ。我々龍族は我らよりも強き者を尊敬する。その者が悪しき者であり、我々龍族と敵対するのであれば徹底的に戦おう。逆に我々と友好関係、主従関係を結ぶ意思がある者ならば、そのものは我々の主となる資格があると言うことになる」
「えっと、つまり……俺はあんたに勝ち、尚且つ友好関係を結びたいと宣言したから?」
「そうお主は我々の主となり、龍の王となった。さらにサーラは我らが姫じゃ、お主の好きにするが良い」
「いやいやいや、俺にはエリスっていう可愛い嫁さんがいるから、サーラのことは好きだけど断る」
「断ることを断る。これは龍の掟である。王になったのだから受け入れよ。それとも我々と戦うか?」
完全な脅しになっている族長の目から逃れてサーラを見る。サーラは澄ました顔をしているが、若干頬が赤く染まっている。
「隊長のバカ」
後ろでルーがさらに不機嫌そうになっている。アクはエリスになんて説明しようか考えて、今までの中で一番の問題に直面していた。
いつも読んで頂きありがとうございます。




