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探検者になります10

アクの前に竜族の族長がズラリと四人並んでいた。アクの隣にはサーラとヨナ、ルーが座っている。


「それで人間よ。お前はどう落とし前を付けるというのだ?」


 水竜族の族長が声を出す。話は少し遡り、アク達が赤猿族と交流を持ち、バンガロウ王国にセントセルス神興国からの宣戦布告が届いたとき、アクはサーラの部屋を訪れた。


「サーラ、少しいいか?」

「なんだ、マスターが私と話に来るなんて珍しいじゃないか?」


 アクはサーラを苦手にしている。それを理解しているサーラはからかうようにアクに言葉をかけた。アクは頭を掻きながら、入室を許された部屋に入る。


「サーラに頼みがあるんだ」

「水龍族のことかい?」

「わかっていたのか?」

「マスターが私に頼むことは、それぐらいしかないからね」

「そんなことはないと思うが?」

「あるさ。マスターは私らを見ていない。ずっと先の未来を一人で見ているんだ」

「サーラ達を見ていない?」


 姉御肌の彼女にしては珍しい物言いにアクは戸惑ってしまう。


「そうだ。マスターは確かに悪い人ではないが、悪い人だ」

「結局悪い人なのか?」

「ああ、悪い人だ。エリスという女性がいながら、この村には女性ばかりじゃないか、どうせハーレムとか妾候補に考えているのであろう」

「いやいや、全く考えてないが」

「それがまた悪い。なぜ考えない?」

「普通考えないだろ?」

「何を言っている。この国では妾がいる者など何人でもいるぞ。何より獣人種も、龍人種も一夫多妻が基本だ」


 サーラの言葉に価値観の違いを感じるが、サーラが何を言いたいのか、アクには理解できない。一途にエリスを思うのはいけないことなのだろうか。


「この世界の常識なんて知らん。俺は俺の考え方しかできないからな。俺は一人を愛することしかできないんだ」

「そこがまた悪いのだ。良い男過ぎるぞ。マスター」


 サーラはたまにアクを見ていた。アクのことを男性として意識していたのだ。アクの方は男前のサーラに見つめられていると、睨みつけているように思ってしまっていたが、これまで誤解していたのだと気付き、ようやく打ち解けた気がした。


「サーラが思ってくれているのは嬉しい。だが俺は俺だ」


 サーラの言葉に対して、アクはアクの言葉で返した。

 

「話が大分逸れてしまったな。それで頼みなんだが、水龍族に味方してほしくてな。話をしに行くんだけど、ついてきてくれないか?」

「もちろん、かまわないけど、水龍族だけでなく、龍族はプライドが高いぞ。大丈夫かい?」

「どうすればいい?」

「力を見せれば問題ない。だけどマスターは弱いからね」


 サントンやサーラにかかれば確かにアクは弱いが、それ以外にアクは負けるとも思えなかった。


「アモンに力をもらってからは、そこそこやれるんだけどな。流石にサーラやサントスクラスはキツイな」

「う~ん。いっそマスターの得意な奇襲をかけてみたらどうだ?」

「いきなり水龍族に攻め込むってことか?」

「そうそう、ルーもいるし、ヨナの魔法もあるから案外行けるかもね」


 こんなサーラの発言から今に至る。簡単に言うと、奇襲は成功した。


 しかし、水龍族の里に、他の三種族の族長が話し合いに来ていて、話し合いをぶち壊したと言うことで正座させられていた。


「水龍族として未熟な者を誑かしたあげく、我が里を襲うとは」


 サーラは水龍の中ではかなり幼いらしく、強さは中の下がいいところらしい。聞いてないよ。サーラを見るが、片手をあげて「ごめん」の一言で終わってしまった。


「いや、これには事情がありまして」


 アクは背中に冷や汗をだらだら流して、どうすればいいかを考えていた。


「事情などどうでもよい。落とし前のつけ方を聞いているのだ」


 アクは頭をフル回転させて、質問の言葉を述べる。


「では逆にどうすれば許していただけますか?」

「簡単なことだ。この場で死ねばよい。他の者は貴様の死により許してやる」

「う~んそれはできませんね。他のをお願いします」

「貴様!我らを舐めているのか」

「別にそんな気はないですよ。ですが、その条件は飲めません」


 アクは冷静に水龍の族長を見返す。族長も声を荒げているが、長く生きているだけあって、冷静なものだ。


「我らと闘うと言うのだな?」

「そうなりますね」

「貴様の罪だ」

「そうですね。だから、ここからは一人であなた方と闘わなければならない」

「よかろう」


 水龍の族長は外に出る。アクも続いて外に出る。外に出れば大滝が水しぶきを上げている。大滝の前でアクと水龍が対峙する。水龍はどこから出したかわからない十文字槍を構えてアクを睨み付ける。


「どこからでもくるが良い」

「これは使いたくなかったな」


 アクはアモンを召喚する。


「僕が必要なんだね」

「ああ、力がいる。今以上の」

「じゃあれを受け入れるんだね」

「受け入れる」


 マルーモがアモンになった時から、一つの提案をされていた。それはアクとアモンの融合である。


 元々アモンは闇の精霊マルーモとして力の源になっていた。アモンとして召喚されたマルーモは、アモンという闇の精霊へ進化した。それはアクが精霊と契約したことになり、飛躍的に人体の基礎能力や魔力は進化したが、まだ先があるとアモンは言う。


 アクがアモンを受け入れると宣言した瞬間、アクとアモンの体は黒い膜に覆われて、二人は一つになった。

いつも読んで頂きありがとうございます。

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