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探検者になります3

 落雷がカメレオンモドキに落ちると、ヤツは丸焦げになって絶命した。


「「「おおお~~~」」


 アク、ルー、シーラが歓声を上げて拍手する。


ブイ


 ヨナがVサインを出してドヤ顔をする。普段あまり話さないくて表情を変えないヨナも、褒められると嬉しいらしい。


「そういえば追いかけられていた獣人はどうなった?」


 あそこです。というシーラの声で、アクが視線を向けると一番高い木の上に三人の獣人の姿が見えた。


「お~い、もう大丈夫だぞ。降りてこいよ」


 アクが三人に向かって声をかける。


「おい。化け物を倒した奴らがなんか言ってるぞ」

「なんだろうね、アタシらに構う必要はないだろうに」

「降りてこって言ってるみたいだね。どうする?」

「まぁ助けてもらったし、礼ぐらいは言うかね?」


 女の獣人がリーダーらしく、真っ先に木から下りてきた。それに続くように二人の男の獣人が木を下り始める。三人が下りてくる間にヨナはフードを被り、アクの後ろに回り込む。シーラも警戒するように少し距離を取る。二人の態度にため息を吐きつつ、アクとルーで三人を出迎えることになる。


「お初にお目にかかる、先ほどは助けて頂きありがとうございます。赤猿族族長セキエイゾクゾクチョウの娘 ミルイと申します」


 ミルイと名乗った女の獣人が頭を下げたので、アクも倣って頭を下げる。ミルイはスレンダー美人でスラリと身長が高い。今いるメンバーではアクと同じぐらいだ。髪は短めで真っ赤な色をしている。特徴的なのは丸い耳とお尻から伸びた細い尻尾が見え隠れしている。


「お初にお目にかかります。人間族のアクと申します。あなた方は猿人なのですか?」

「我らは赤猿族です。猿人ではありません」

「あっ、すまない」


 アクは相手が気分を悪くしたと思ってすぐに謝る。


「猿じゃん」


 ルーが身も蓋もないことを言う。


「何をっこの犬が」

「犬じゃない。狼だ」


 ルーの反応を見て、そういう違いかとアクは納得してしまう。


「同じだろ、人族に飼われている犬じゃないか」


 ルーがミルイに飛び掛かる。犬猿の仲とはよく言ったものだ。出会ってすぐに喧嘩になる、犬と猿にアクは少し呆れる。ルーの超速度に、ミルイも追いついているので、一先ず大丈夫かと視線を外し、残った二人に向ける。一人はチビで太っている。特徴としては、顔が自信に溢れている。何より態度が堂々としているのだ。

 もう一人は細くてヒョロ長く、猫目のように細い。身長はアクよりも引くのに細いので高く見える。


「えっと、アクです」

「いや~姉御が申し訳ない。ワッシはマルイ、細いのがスルイと申します」

「いや、こちらこそウチの者が申し訳ない」

「改めて助けていただきありがとうございます」


 どうやらマルイと名乗った猿人は理性的なようだ。


「なんとか倒せてよかったよ。何より人に会えてよかった。君たちの村は近いのかい?」

「近いですよ。ここから三時間も歩けば着きます。我らの村に用ですか?」

「いや、用事と言うか交流を深めたいんだ」

「交流?それはちっと難しいかと、アースに住む者は人族を毛嫌いしておりますので」

「そうなんだろうけど、そんなことより、どうして君達はこんなところにいたんだ?」

「ワッシらは悪党ですから」

「悪党?」


 アクの質問に対して以外に答えだったので、アクは聞き返してしまう。


「はい。先程のガメガロンの卵を盗もうとしまして、失敗したところを助けていただきました」

「先程の怪物はガメガロンと言うのか?」

「はい。我々はそう呼んでいます」

「なるほどな。奴的には卵を取ろうとした不届き者を成敗しようとしたわけか」

「そうです。ワッシらは悪党ですからね」


 マルイが自信満々に胸を張る。アクはガメガロンと呼ばれた化け物に手を合わせて「すまん」と一言謝っておく。


「頼みがあるんだがいいか?」

「命の恩人の頼みだ。聞ける内容なら聞きましょう」

「君たちの村に連れて行ってくれないか?」

「村にですか、入れないと思いますが?」

「いいんだ。今は調査の段階だから、村の位置が分かるのが大切なんだ」

「まぁよくわかりませんがいいですよ」


 調査の意味が分かってないらしく、マルイは心良く承諾してくれた。


「じゃ急がないとな」


 アクは喧嘩をしている二人を見る。二人は超高速で動いていて、ハイレベルな攻防をしているかと思えば、地面に転がり馬乗りに殴り合っている。


「ちょっと手荒になると思いますが止めてきます。少し傷をつけるかもしれませんが、必ず治すのでご心配なく」


 マルイとスルイの方を向いて、アクが言った言葉にマルイ達は首を捻る。獣人同士の戦いに人族が割り込めるはずがない。何故ならば人には到達できない領域の動きで、二人が立ち回っているからだ。転げまわっているように見えていても、人族が捕えられるはずがないのだ。


 アクはゆっくりと二人に近づき二人の服の袖を掴む。マルイとスルイは、アクが二人を捕まえたことに驚き、さらに二人を片手ずつで持ち上げたことに更に驚いた。


「いい加減にしろ」


 アクが二人に向かって言った言葉だが、ルーは誰に捕まったかわかり震えだす。ミルイはわけがわからないが、喧嘩を邪魔されたと思い、掴んだ相手に向かって拳を向ける。アクはミルイの攻撃に額で受け、そのままミルイの頭にヘッドバットを付け加える。


「ツッッ!!!」


 ミルイが痛みで頭を押さえる。


「ルー、後でお仕置きな」


 ルーは震えながら何度も頷く。アクはそれを確認すると、ルーを離しミルイを見る。


「お前もいい加減にしろ」

「黙れ、イテェじゃねぇか」


 言葉遣いが乱暴になったミルイを解放してやる。一歩下がり助走をつけてミルイが、アクに飛び掛かってきた。それを見たルーがミルイに対して手を合わせる。


「ご愁傷様」


 ルーの言葉が消える前に、ミルイの顔面半分が吹き飛びそうな衝撃がミルイ自身に返ってくる。横で見ていたマルイとスルイは衝撃を受けた。アクの右ストレート一発でミルイを吹き飛ばしたのだ。ミルイは意識を失い、傷をヨナに治すように頼む。


 シーラにもこちらに来るように促し、ルーの額にデコピンをかます。ルーは額を押さえて転げ回っているが無視しておく。


「じゃ彼女の治療が終わり次第出発にしようか?」


 アクがマルイとスルイを見ると、二人は直立不動で敬礼をしていた。


「「はい!」」


 二人には衝撃的な映像だった。二人でかかってもミルイに触れる事すらできないのだ。それを一発で倒したアクに逆らえるはずがなかった。


 マルイ&スルイが兄貴を得た瞬間となった。

いつも読んで頂きありがとうございます。


評価いただきた方がいらしたみたいでありがとうございます。


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