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探検者になります2

 探検を始めて一週間が経った。拠点から半日圏内で行けるところは粗方調べ終えた。そろそろ野宿も考えて行動する段階に入っていた。


「ねぇ、今度はどこを調査するの隊長?」


 俺が考えていると、ルーが質問してくる。


「半日で行けるところは粗方行ったしな、そろそろ足を延ばしてみようかと考えていたところだ」

「足を延ばすってことは、野宿するの?」

「ああ。そろそろアース人に会いたいしな」

「じゃシーラや、ヨナにもいっとくよ」

「ああ。頼む」


 アクもエリスにテント、着替え、食料の用意をしてもらう。殆どアクのブラックボックスにしまうので、荷物は手ぶらで済むから助かるのだ。アクも装備の確認をする。

 どうしても森の探索をするので、草を刈るナイフやモンスターと遭遇したときの防具をしっかり手入れしておかなければならない。正直、拠点から半日のところではモンスターとの遭遇すらなかった。だからと言ってこれからも出ないとは限らない。


 野宿を決めての探検に日の出と共に出発した。半日でいけるところは地図に記しているので、川を見つけたところから上流を目指してみようと思っている。川までも少しかかるので早くに出たのだ。


「隊長、今日は川の流れを逆流するんでしょ。先に行ってみてこようか?」

「ああ。頼むよルー。あまり深追いする必要はないが木を伝って先を見てくれるか?」

「了解」

「シーラは森を抜けてくれ。もしモンスターが出るようなら、すぐに知らせに戻ってくれたらいい。無理に仕留める必要はないからな」

「わかりました」

「ヨナは俺の護衛を頼む」

「うん」


 それぞれで得意な能力を使って森を突き進む。三時間ぐらい進んだところで辺りに大きな物音が響いた。


 ガサガサ!ドゴーンドドドゴゴゴドゴバン!


「なんだ、何の音だ」

「隊長、モンスターです!」

「シーラ、どんな奴だ。どんなモンスターだ」

「わかりません。しかし、凄い大きくて木をなぎ倒してこちらに向かってきます」

「とにかくルーは、ルーはどこだ?」

「隊長、ここにいるよ」

「見えるか?」

「うん」


 ルーは木の上からモンスターを見つけた。


「どんな奴か説明できるか?」

「巨大なトカゲだと思う。でも手が八本、大きな目をギョロギョロさせながら何かを追いかけえているみたい」


 目がギョロギョロしたトカゲ、カメレオンか?何かを追いかけているってことはモンスターの前に何かいるのか。


「こちらには来ないのか?」

「わかんない。でも来ないとは言えない」


 アクの背中に冷や汗が流れる。最終的には転移で逃げればいい。できるならここはモンスターの姿を確認しておきたい。


「ルー、いつでも転移できるように近くに戻れ。ヨナ、防御魔法を頼む。二人は援護を」

「「「はい」」」


 三人が声を揃えて返事を返す。アクはヨナの防御魔法バリアを発動してもらい、ゆっくりと振動が伝わる場所を目指す。


 ドドドドゴゴゴッゴ


 木々をなぎ倒す音が近づいてくる。一先ず開けている場所からモンスターが来るのを待つ。


「来た」


 目のいいシーラの声でモンスターが姿を現す。モンスターの前に三人の人影が走ってくる。


「なんであんた達左右に別れないのよ。三方向に別れたら誰か助かるじゃない。助かってから助けを呼ぶこともできるでしょう?」

「だって姉貴、急に方向転換して転んだらヤバいじゃん」

「そうそう、それにそんな左右に曲がる余裕なんてないよ」


 凸凹三人組が何か叫びながら走ってくる。遠巻きにしか見えないから、何とも言えないが獣人のようだ。女一人、男二人の三人組。


「隊長どうするの、助ける?」


 相手がデカいな。三人組の後ろから来るモンスターは、カメレオンのような顔をしたモンスターで、足が八本あり気持ち悪い。先程から走りながら目をギョロつかせ、長い舌でたまに三人の尻を舐めている。


 味見してるのか?


「見殺しにするのも寝覚めが悪い。いくぞ、ルーは俺と共にモンスターの足止めをする。シーラは風の魔法と弓で援護。最後はヨナの魔法で決めるぞ。ヨナ、できるな?」

「うん」


 ヨナが頷いたのでルーとアクは走り出す。


 アクはダークウォールと唱えて黒い壁を出現させる。モンスターが巨大な壁に激突して、動きを止めたところでルーがカメレオンモドキの横っ面に飛び蹴りを入れて一番攻撃力がある爪で相手の肉を削る。


 アクも護身用に持ってきていた剣を抜き、ルーと反対の方向から切り付ける。シーラがカメレオンモドキの頭を狙って矢を放ったらしく、何本か頭に刺さっている。残念なことにあまりダメージを受けている感じはしない。

 ギョロリと大きな目がアクとルーをそれぞれ捉える。アクはその瞬間ゾクリと背中に悪寒が走り、転移を唱える。するとアクがいた場所に前足が飛んできていた。ルーの方にも前足が飛んできて、ルーはまともに受けてしまう。落ちてくるルーをブラックホールで受け止め、こちらにリリースする。


「大丈夫か?」

「なんとか、凄い力だった」

「ヨナはまだか?」

「まだみたい」

「ルー、お前は休んでろ。俺は七色の霧を使う」

「ごめんなさい。隊長」

「いいさ」


 アクはカメレオンモドキの前に立ち黄色い霧を放つ。霧はカメレオンモドキを覆うが、カメレオンモドキは痺れるようすはなく、あまり感じていないように進んでくる。


「効かないのか?」

「いくよ」


 シーラの風の魔法に乗ってヨナの声が聞こえた。アクは転移と唱えてルーを抱えてシーラがいる場所まで戻る。するとカメレオンモドキの頭上に黒い雲が広がり、落雷が落ちた。

いつも読んで頂きありがとうございます。

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