探検者になります1
阿久井 重ことアク(マスター)は、少女達を連れてアース大陸にきている。
少女達を探検隊と増築隊の二班に分けた。
一班 探検隊
隊長 アク
隊員 ルー、ヨナ、シーラ
二班 増築隊
隊長 エリス
隊員 サーラ、ピピン、ハナ、アンリ
探検隊の目的としては、獣人、竜人、エルフ、ドワーフ、ユグドラシル、フェアリーの集落を探し出すこと、狩人の目を持つシーラ、獣人の鼻を持つルーが探索に当たり、アクとヨナは地道に道の探索に時間をかけている。
「マスター、この近辺には集落どころか、人の姿すら見えないよ」
「おい、ルー。俺の事は隊長と呼べと言っただろ」
「え~めんどくさいよ。マスターでも隊長でも一緒でしょ?」
「い~や、俺は隊長と呼ばれたいんだ。絶対隊長じゃなきゃ嫌だ」
「なんで子供みたいになるの?もう、そこだけこだわるやめてよ」
ルーがアクに言い返しているとシーラも戻ってきた。
「隊長、調査終わりました。こちらには集落はありません」
「隊長、ノド乾いてない?」
シーラは帰ってきてすぐに隊長と呼んで報告を済ませ、次の指示を待つ。天然なヨナはマイペースにアクに話しかける。それを聞いたアクがルーにドヤ顔して見つめ返す。
「はいはい。変態、次はどうするんですか?」
「おいっ!今なんか字がおかしくなかったか?」
「さぁ~知らないよ。私、記憶喪失だから」
「そこ関係ないだろ、お前言葉普通に話せてただろ」
「もうどうでもいいじゃない。それよりどうするの、隊長」
ルーはめんどくさいという感じでアクを見ている。
「むむむ。まぁいい。この区間も一通り終わったし、一旦戻って今日の探索したところの地図を作る。それから次に行くところを決めるぞ」
「やっと家に帰れる」
「もう帰るんですか、早くないですか」
「うん」
上から順にルー、シーラ、ヨナだ。ルーはアース大陸の探索を決めてからだんだんと態度が悪くなってきている。今も反抗的な態度をとるが仕事はちゃんとしてくれるので、文句も言えない。
シーラは真面目な感じでアクの指示を待つ犬のようだ。狼の獣人のルーの方が犬の態度をしそうなのになぜかシーラがなっている。ヨナは相変わらず考えが読めない。
ただ班分けをしている時に「マスターの班がいい」と言われたので、他のメンバーと兼ね合いを見てもその方がいいという結論にいたった。
探索中もあまり離れて行動せずにアクの左横をキープしている。ちなみになぜ右に来ないか聞いたら「そこはエリスの席」と言われた。本当に意味がわらからん。
「じゃ帰るぞ」
三者三様の反応を返してくる少女達の事を考えながら家路に帰った。目印を残してきているので、迷わず帰ることができた。
「帰ったぞ」
アクが帰ったと声を上げると作られたばかりの門が開かれる。引っ越してきてすぐに作ったのはこの門と城壁だ。これが出来上がったからこそ探索に行けるようになったとも言える。ちなみにこれを作ったのは、アクとハナとピピンの三人である。
森自体にモンスターは少なく、危険はあまりないのだが、アースに侵入することで、アース大陸に住まう者に攻めてこられたとき、城壁があった方が時間を稼げると判断して作ったのだ。
城壁は竜人のサーラ以外は誰も飛び越えることはできない。
「お帰りなさい。マスター」
ピピンが門を開けて出迎えてくれる。城壁や門は完成したのだが、魔法による突貫工事で作っているので、ピピンが毎日のようにチェックしてくれているのだ。ドワーフのピピンは手先が器用で、日曜大工全般を得意としている。
さらに奥に進むと井戸から畑への水路が作られている。これがあれば毎日水汲みをしなくても畑に水をやることができる。これは案をアクが出し、サーラとピピンが作り上げた。
畑はほとんどハナが一人で世話をしている。土の魔法と植物の精霊を使って急成長させているのだ。新しい種や苗を植えても、なんと一日で出来上がってしまうのだ。管理もそのままハナにまかせている。木の実や野菜を摘むのはダメかと聞くとハナはニコリと笑い。
「食べるために作るんです。この子達も覚悟はできています。そのかわり残すことは許しません。そして殻は栄養になるので土に帰してあげてください」
ハナは相変わらず怖かった。家に入ると良い匂いがしてくる。料理はアンリとエリスの担当である。他にも洗濯や掃除も二人に任せている。他の者が手伝うと余計な仕事を増やすことになるので、この布陣になった。アンリは意外に家庭的で器用なところがあるので何でもそつなくこなす。ただし、気分屋なところがあるので、気分を損なわないように気を付けている。
サーラには家の護衛も任せているが、基本的にはピピンの手伝いをしているらしい。
「良いにおいだな」
「本当お腹すいた」
「あら、アク。みんなお帰りなさい。もう少しでできるから手を洗ってきて」
エリスは本当にお母さんみたいになった。確かにここにいる女性の中では一番年上なのだが、ここまで変わるとは思わなかった。
「「「は~い」」」
少女達は素直に返事を返し、アクもその後に続く。なんだか幸せだな~と思うアクであった。
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