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裏切り者になります終

明日から閑話を挟みます。


また楽しんで頂ければと思います。

 ダークウォールの幅を少しずつ狭くして、シシンガー王の動ける範囲を狭くしていく。シシンガー王は正面にサントン、側面と後方にダークウォールという絶体絶命な状況で笑っていた。


「これこそが戦いだ。こうでなくては面白くない」


 シシンガー王は、一人の戦士シシンガーになっていた。確かにサラマンダーにより強化されているが、戦いに身を投じる内に一つの変化が生まれていた。


「もっとだ、もっと我を追い詰めてみろ」


 シシンガーは大きく跳躍し、頭上から囲みを抜け出した。高々と跳躍したシシンガーを覆うようにアクがダークウォールを張ろうとするが、マントを使いシシンガーが払いのける。


「二度も同じ手が通じると思うなよ」


 落ちてくるところをサントンが狙うが軽く受け流す。だが、降りてきたシシンガーの息は上がっていた。


「どうした、王様。もう息が上がっているぞ」

「はっ!こんなものたいしたことではない」


 シシンガーは大粒の汗を流しながら気丈に振る舞う。たいしたことではないというシシンガーの声に力はなかった。

 アクは一つの仮説が頭の中に浮かんだ。大き過ぎる力に反動で、体の方がついていけなくなったのではないか、アクは確かにアモンによって肉体を強化されたが、ほとんど動くことをせず魔法に専念した。

 サントンも魔力に目覚めて間もないが、一度死力を尽くす戦いを経験している。さらにその日からの鍛錬を怠っていない。

 経験の差が出たのはないだろうか?それでもアクの魔法に対抗する手段を行なってきた。アクは自分の仮説を信じて行動することにした。


「ルー、サントンの加勢を」


 残った三人の中で、唯一戦いが見えていたルーはこの時のためにいた。グラウスとドイルを置いて駆け出したルーはアクの横をすり抜けていく。


「うん」


 ルーは兵士の服を脱ぎ棄て、兜を取り四足歩行で走り出す。人には到底出せない速度で迫る、ルーにシシンガーは反応して、剣を出そうとしたが対峙しているサントンにとって、シシンガーの体が開いた瞬間となり絶好の隙になってしまっている。


 アクはルーに声をかけると、同時にシシンガーから目線を外し、もう一人の敵と向かい合うアモンを見た。アモンとサラの戦いは黒いエネルギーと赤いエネルギーの魔力を放出し合ってぶつけていた。

 アクはサラの下にダークウォールを出現させる。しかも今度は頭上も全て覆い、正面しか逃げ場がない。ダークウォールは壁としての役割以外にも相手の魔力を吸収する能力を備えている。


 アクのダークウォールに魔力を吸収させ、正面からはアモンの超魔力がサラに襲い掛かる。次第に赤いエネルギーが小さくなっていく。アモンもアクの意図がわかっていたらしく、魔法の性質を変える。


「グラビティボール」


 サラの体を覆うように黒い球体が出現して圧力をかける。更にその中をアクのダークウォールが正面も塞ぎ完全にサラを封じ込めた。


「ぐはっ」


 アク達がサラを封じ込めるのに成功している間に、もう一つの戦いにも決着がつこうとしていた。


 ルーの突撃に対処しようとしたシシンガーは、剣をルーに向けた。しかし、サントンがそれを許すわけもなく、二本の剣を捨てて、シシンガーの近くに刺さっていた一本の剣を引き抜き、下から上に剣を斜めに斬り上げる。

 シシンガーは胸を大きく斬り上げられ、シシンガーは右手に持った剣を落としてしまう。向かってくるルーの爪がシシンガーの肘から先を切断していた。


 シシンガーはよろめきながらも玉座に座り込む。


「くくく、我の負けか。だが負けたはずなのに頭はスッキリしているぞ。そして思い出した。先ほどからうっとおしくも見たことがない。黒い魔法それは闇の魔法だな?」


 息も絶え絶えのシシンガーはアクを見つめる。


「そうだ」

「お前が厄災なのか、お前達はわかっていてその力を使っているのか?闇の魔法とは世界を敵に回す力ぞ。さらに獣人とは我らの敵、そんな奴らと手を組んでいるお前達は、人間にとっての裏切り者だぞ」

「そんなこと関係ないぜ。アクは俺達の仲間だ。この獣人の嬢ちゃんだって俺達を助けてくれてた。立派な仲間じゃねぇか」


 アクを見ていたシシンガーは剣を支えに何とか立ち上がり、サントンの言葉に驚いた顔をした後、笑い出した。


「くくくははははは。つくづくお前達は面白い。我も違う出会い方をしていれば仲間になりたかったものだ。だが、我の役はここで倒されることなのであろうな」

「王!」

「ドイルか、なんだか久しぶりに会った気がするな」

「お気を確かに」


 ドイルはかつてバルツァーと共に並び立っていたシシンガー王の姿を思い出し、涙していた。


「涙してくれる臣下が居ただけでも余は満足だ。ありがとうドイル」


 シシンガーはドイルを見て優しく笑った。シシンガーの顔には狂気などどこにもなく、名君と思える威厳すらあった。


「どこかで我は間違えていたのだろうな。サラに会わせてくれるか?」


 黒い球体の中に閉じ込められたサラマンダーを王に近づける。


「サラ、情けない王ですまなかった。願わくばお前の次の主人が立派なことをしてくれればいいが」

「我が王よ」


 サラは今までの無表情ではなく。悲しい表情で言葉をかけた。


「最期になって、こんなにも清々しいとはな。何ともおかしな話だ。おい、そこの裏切り者」


 シシンガーはアクを見つめる。


「俺か?」

「そうだ。その力は裏切り者の証。決して間違えるな。力の使い方を誤って俺のようにはなるなよ」


 そういうと、王は天上を見つめて大きく息を吐いて崩れ去った。


「王ーーー!!!!」


 ドイルは絶叫して王の前で膝を突き涙を流した。


「グラウス、勝鬨を挙げろ」

「はっ!」


 最初こそ怯えていたグラウスも、サントンの戦い。アクの魔法に自分は何をしているのだと自問自答した。力の無い自分を呪いたくなった。グラウスは王国兵士の鎧を脱ぎ捨て、いつもの鎖帷子に黒装束になる。王宮を走り抜けエビスが用意していた伝令達に勝鬨を挙げさせる。


「解放軍が王を討ったぞ。バンガロウ王国は潰えた」


 王国中に広められる号外は戦いが行われている南門にもすぐに届いた。


「なにっ?王が討たれた?」


 南門守備隊長にして陣頭指揮を執っていた十人長のグルーは、声を荒げるが状況は変わらない。


「追撃に出ている騎馬隊にすぐに連絡しろ」


 グルーは騎馬隊を呼び戻し、騎馬隊隊長を務める者達と共に城に確認に向かおうと決めていた。ハッサン達は第一陣百人により突撃をかけ、南門に弓の雨と破城槌による門への攻撃を行ない、速やかに撤退に移った。これにより騎馬隊が出撃するよりも前に逃げの一手が打てたため、追撃にも捕まることはなかった。


「どういうことだ、グルー。王が討たれたと報告が入ったぞ」


 騎馬隊の指揮を執る最後の百人長バルドベルドがグルーの下を訪れたのは、城陥落から十五分ほど後の事だった。


「見ての通りです。城は落ちた」


 城の天辺にバンガロウ王国の旗はなく、シルバーウルフ解放軍の旗として新しく作った銀の狼が描かれた旗が靡いていた。


「なんということだ。とにかく急いで城に行くぞ。現状を知らねばならぬ」

「わかっている」


 二人の隊長は城に向けて馬を走らせた。南門の前には、いつの間に戻ってきていたのか、解放軍が陣を構えていた。しかし、城の旗が見えているのか、攻めてくる気配はなかった。


「やりましたね。ハッサン隊長」


 ダンが嬉しそうに旗とは違う赤い狼煙を見て喜びを表す。


「ああ、あれはグラウスの魔法だ。作戦は成功したのだろう。あとは勝手に門が開くのを待つだけだ」


 ハッサンも喜びを隠せないのか、笑顔でダンにガッツポーズを返す。


「これで終わったんですね」

「いや、俺達が国を作るのはこれからだ。ダン、お前もまだまだ仕事は多いぞ」

「そうですね。でも、俺はずっとあなたについていくと決めました。俺は一生貴方の副官です」

「ははは、そうかそうか、俺もお前が支えてくれるなら安心だ」


 戦場をかけた二人の間には、二人にしかわからない友情が芽生えていた。戦友という名の……


 内外ともに解放軍の被害は微々たるものだった。軽傷者は多数出てしまったが、死者はなく。王都側は死者一人、重傷者数人と数こそ少ないが、その痛手は大きなものに違いなかった。

 これによりバンガロウ王国崩壊となった。

いつも読んで頂きありがとうございます。


誤字・脱字・文章のおかしなところがあるかと思います。

気を付けてはいますが、見落としを多数してしまっているようで、読み返す度間違えを見つけるしまつです。

もし間違えを見つけた時は教えていただければと思います。


よろしくお願いします。

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