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邪神になりました24

 アクの前に18人いた英雄たちは7人まで減っていた。


 光の勇者 天野アマノ 光賀コウガ

 火の勇者 神代カミシロ 火鉢ヒバチ

 風の勇者 安城アンジョウ 風香フウカ

 水の勇者 白雪シラユキ シズク

 土の勇者 金剛コンゴウ マモル

 大魔王  砂丘サキュウ 修二シュウジ

 紫の鬼  紫苑シオン


 七人を見つめて、アクは絶貴から手に入れた知識を振り返る。

絶貴を貫いて手に入れたのは、この世界の歴史だった。

 それは遠いおとぎ話のような昔話、この世界に伝わる神の話。

 

 昔々あるところに二人の神がいました。


 一人は世界を滅ぼす破壊の神、もう一人は全てを生み出す再生の神。

 二人の神は仲が良く、それぞれの仕事に励んでいました。

再生の神が新たな生命を生み出し、破壊の神がそれを壊していく。

 どちらがより仕事を上手くできる競争するように、再生の神は無数の生命を生み出しました。

また破壊の神も無数に生み出される者達を破壊しつくしました。

 ある時は天変地異を引き起こし、ある時は魔王となって、破壊を楽しみました。

ですが二人の神が仲違いをしてしまう出来事が起きました。

 再生の神が生み出した生命の中に再生の神を崇め祈りを捧げる者達が出てきたのです。

再生の神は、祈りを与えられることで祈りを捧げている者達が可愛く思えてきたのです。

ですが、そんな気持ちはわからない破壊の神が全てを壊してしまいました。

 再生の神は初めて破壊の神に怒りを感じました。

ーどうして私の可愛い子供達を壊したのだ。

 怒る再生の神に破壊の神は言います。

ーそれが私の仕事だからだ。今更何を言っているんだ。

 再生の神は自分を崇めてくれる者達をまた作ろうと何度も生命を生み出し続けました。

その度に破壊の神が全てを壊していきます。

 再生の神の怒りは頂点に達しました、破壊の神を殺してしまおうと思いました。

再生の神は祈りを捧げてくれる者達を使い破壊の神に対抗するようになりました。

なかなか破壊が難しくなった人々を見て、破壊の神もおかしいと思いました。

 天変地異を起こしても、大きな船で乗り越え、魔王として現れても勇者が現われ討伐される。

思う様に破壊が進まないことに破壊の神は怒りました。

ーどうして邪魔をするんだよ。

ー邪魔なんてしていません。私はただ生命を生んでいるだけですから。

 二人はにらみ合い喧嘩別れしてしまいました。

それ以来、破壊の神は破壊を続け、再生の神は生命を生み出し続けました。

 

 いつの間にかおとぎ話として語り継がれる話は、自身の胸の中にいる暗黒龍の存在によって実在する話だとアクは理解できました。

 そしてずっと天からアクを見ている存在の答えがわかったような気がします。


「もう終わりにしよう」


 アクの言葉に7人は息を飲んだ。

その言葉が白雪に対しての答えであり、自分達に向けられているとわかっているからだ。


「そう簡単に終わってはやれないな」


 サキュウが前にでる。

魔剣を携え、紫苑にアイコンタクトを送る。


「いつの時代も、いつの話でも、魔王を倒すのは勇者の一撃だ。頼んだぞ勇者達」


 サキュウは5人に思いを託し紫苑と空を翔ける。

絶貴とセントハルクの超絶エネルギーを以てしてもアクの衣類を傷付けることしかできなかった。

ならば残された手は一つしかない。

 ただ強いだけの力など意味がないのだ。

アクを倒す、魔王を倒すための方法を勇者達に見つけてもらうしかない。

そのための時間を稼ごうとサキュウは思った。

 共に選んだのが紫苑だったのは、彼女も同じ考えを持っているような気がしたからだ。


「我は大魔王 サキュウである。我以外に魔王を名乗ることなど許せぬ」


 サキュウは魔法によって全身を強化し一撃一撃がレインボークラスの威力を出せるように生命力を燃やした。

 

「鬼人族、近衛隊長紫苑 推して参る」


 紫苑はサキュウの邪魔にならぬようにアクの視線を誘導する囮として、働くことを選んだ。

自身の攻撃ではアクにダメージを与えることができないと理解しているのだ。

 

 アクの前に出た二人は息の合ったダンサーのようにアクの前で舞い続けた。

少しでも長くアクの気を逸らして時間が稼げるように・・・・

 だが、それが一秒だったのか、一瞬だったのか、それとも一時間だったのかサキュウと紫苑にはわからない。

 彼らが生きている間に勇者達の中に答えが出ることはなかった・・・・

いつも読んで頂きありがとうございます。

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