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邪神になりました23

今日は書いたものが全て消えるという悲劇を乗り越えました。


頑張ればできる・・・・辛い・・・・

 遠目から見ていたサキュウは絶貴が作り出した金龍が、自身が作るレインボーよりも威力が上だと判断できた。

 さらにセントハルクが命を賭して作り出した神槍ゲイボルグも、レインボーと同程度の攻撃威力があると。


「これほどまで練度を上げている者がいたのか」


 サキュウはレインボーを手の中で作り出し、二人の攻撃がアクに着弾する時を待った。

 サキュウが戦った魔王、暗黒龍ベルザルードにレインボーはダメージを与えることができた。

それよりも強力な絶貴の金龍とセントハルク、白扇の神槍ゲイボルグが効かないはずがない。


「俺達の勝ちだ」


 サキュウは勝ちを確信していた。

もし二人の攻撃でもアクが倒し切れない場合、アクの転移予測位置にレインボーを散りばめる。

 今のサキュウの魔力をもってすれば、レインボーを無数に作ることなど他愛もなかった。

それほどまでに膨大な魔力を有するようになっていたのだ。

 

 無数のレインボーがアクを逃がさないために包囲網を作り上げる。

金龍とゲイボルグがアクに迫る。


 三人は分かっていなかった。

大魔王と化したアクの本質を・・・・アクがどうやって強くなってきたのか。理解していれば膨大なエネルギーをアクの周りに配置するなどしなかっただろう。


「無駄だ」


 アクが一言発すると、アクの体を中心にブラックホールが生み出される。

アクを縛り付けていた光の雷がブラックホールに呑み込まれ、周りに散りばめられていたレインボーが吸収されていく。

 迫りくる金龍は巨大化していくブラックホールに突入し、一本の槍と化したセントハルクと白扇がブラックホールと接触した瞬間爆発が巻き起こる。

 

「どうなったんだ」


 アクとセントハルクのぶつかりで生じた爆発によって、全員が吹き飛ばされた中、真っ先に態勢を整えたコウガが一番に爆発の発生地点に近づいた。

 爆風で視界が遮られる中、コウガは必死にアク達の存在を探す。

すると二つの影が爆風の中から落ちてきた。


「なんだ」


 コウガが影に気づいて、近寄るとセントハルクと白扇が心臓を貫かれて落ちてきた。

セントハルクを受け止め、巨大な白扇の体に気づいたサーラがドラゴン化して受け止める。


「お父!」


 サーラの絶叫に白扇は応えない。

神槍ゲイボルグを放った時から白扇の命は尽きかけていた。

さらにアクの手によって心臓を貫かれたことで完全に白扇の命は尽きた。


「とにかく今は、リリーセリア様の下へ」


 呆然とするコウガからセントハルクを受け取り、サーラの背中を押してルーとヨナが地上に落ちて行く。

地上でも爆発の衝撃によって津波が起きて海が割れ、船が沈みかかっていた。

ドロップが魔法で海を凍らせ、鬼人や獣人がアンリやシーナの指示で走り回っていた。


「リリーセリア様、すいません。お願いします」


 ルーに名前を呼ばれ振り返ったリリーセリアの顔は疲労でやつれていた。

それでも運び込まれてきていたサントンやテリーなどの蘇生を膨大な魔力を消費することで実現させていた。


「あなた達は大丈夫ですか」


 新たなセントハルクと白扇の体を見ながらルー達は心配をする。


「私達は大丈夫です。皆の事お願いします」


 ルーがリリーセリアに頭を下げて、白扇を心配そうに見ていたサーラの背中に触れる。


「私達にもしなければならないことがあるな」

「そうだね。きっと私達にしかできないことがある。ここにいないエリスさんのためにも」

「ああ、私は旦那様を取り返す」

「うん。私も」


 三人はアクへの対応に迷っていた。

取り戻せるならば変わってしまってもアクの味方でいようと考えていた。

そのせいで手を出すのを躊躇わせていた。

 だが、親友のサントンの命を奪い、戦友のセントハルクを退け、勇者達を殺そうとしているアクを止めたいと思った。 


「いこう。私達のできることをやりに」

「ああ」

「うん」


 三人は飛び上がる。

新たな覚悟をもって・・・・・


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「くくくくっ可笑しなものだな。何が可笑しいかわからんが・・・そうかこれが感情か」


 アクが突然笑い出す。

冷酷で冷たい印象しか発していなかったアクが、笑い出したのだ。

それだけに留まらず独り言を呟いて笑いを収めたアクは、爆風が収まった後にアクは絶貴を見つめた。


「効いていないのか?」


 アクを見て絶貴は愕然とする。

だが、セントハルクの刃はアクに確かに届いていた。

アクの仮面が砕け、着ていた黒いローブが破けて落ちていった。

 ローブの下から出て来たアクの体は無数の傷が付き、歴戦の戦士のように鍛え上げられていた。

それに対して火傷をして仮面が張り付いていたと思われた顔は綺麗なままだった。


「いいや、貴様らの攻撃は素晴らしかったぞ」


 今まで「邪魔をするなと」繰り返していたアクが、絶貴の言葉に対して返答したのだ。


「お主!話せるのか」

「ああ。黒い靄が晴れた気分だ」


 アクの顔は清々しさが現れ、セントハルクと白扇の命を奪ったことでアクは喜怒哀楽の感情を取り戻した。


「お主はどうして」


 絶貴がアクに質問を投げかけようとした。

だがアクはその言葉の続きを言わせることはなかった。


「お前に言う必要はないな」


 絶貴の胸をアクの腕が貫く。

アクの瞳を見た絶貴は、絶望ではなく疑問が浮かんだ。

それを訊ねることはできないが、絶貴はどこか納得した顔で落ちていった。


「もうやめて」


 白雪が落ちていく絶貴を見て悲鳴を上げる。

何もできなかった勇者達は只々呆然と絶貴の落下を見送った。


「ならばそろそろ終わりにしよう」


 白雪の悲鳴に応えたのは、勇者達ではなくアクだった・・・・・・・・


いつも読んで頂きありがとうござます。


 自分的な話ですが、残念ながらライト文芸賞の一次選考は落ちてしまいました。

奇跡は起きませんでしたね(;O;)

とにかく初投稿でドキドキできたのでよかったのです。

これからも頑張って書きますので、どうぞ最後までお付き合いよろしくお願いします。


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