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邪神になりました17

 ずっと空を眺めていた。

いつの間にかモンスターが溢れてきた。

それも先ほどのデカい奴が仲間を連れてきたらしい。

夥しい数のモンスターが、こちらに向かって来ている。


「ねぇどうするの、このままじゃあのモンスターたちに殺されちゃうよ」


 耳元で囁かれて考える。


 先程はいきなりモンスターが出てきて焦ってしまった。

本当はこちらが攻撃しなければ攻撃してこないのでは無いだろうか、そんな期待を持って待ってみることにした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 サキュウはアクの前に対峙していた。

魔王仕様の服装ではなく、勇者と同じような光り輝く鎧に身を包み、背中には12枚の羽根が生えている。

自身の精霊である堕天使ルシフェルを体に宿して、力だけを具現化した状態。

サキュウが本気で戦闘を仕掛けるために考えた方法だった。

 サキュウはアクの正面に立って、腕を組む。


「よう。この間はよくもやってくれたな」


 サキュウは天を見つめ続けるアクに話しかける。

アクはこの間のようにいきなり襲いかかることはなく、只々天を見つめ続けている。

サキュウの言葉にも何の反応もしない。


「なんだ。今日は襲ってこないのか。ならこっちから行かせてもらうぞ」


 サキュウはこの間と違うアクの反応に気付きながらも、自身の中に生まれた恐怖によって判断を誤った。


「全軍突撃!!!」


 サキュウが叫ぶと、海面から船による砲撃が無数に飛来し上からも横からも魔法が放たれる。

アクを包み込むように全方位からアクに攻撃が仕掛けられる。

 攻撃を見て、今まで微動だにしなかったアクが片手を上げる。


「何もさせるな」


 アクが何かをする前に五人の勇者が動いた。

五つの光がアクを包みこむように、赤・緑・青・黄の光がアクを縛り付ける。 

 4人によって抑えつけられたアクはそれでも腕を振り下ろそうとする。


 白い光が舞い降りる。

白銀色の鎧を身に包み、銀色の髪をした女神を携えて、聖剣を持った青年はアクの腕に剣を突き立てる。

女神は彼の背中を押すようにアクが振り下ろそうとした腕を止める。


「僕があなたを止めます」


 真の勇者 天野 光賀は、自身に宿したエレオノール・シルビアを受け入れた。

エレオノールも苦しんでいたのだ。

 コウガはエレオノールと話をした。

エレオノールとは何なのか、精霊とは何なのか、コウガはゆっくり自分の中で眠るエレオノールと話をすることで理解していった。


 そうすることで、彼女はエレオノールであってエレオノールではない者だと知った。

彼女はエレオノールの力であり、光の勇者としての根源だった。

それを理解することで、コウガはサキュウと肩を並べるだけの力を手に入れた。


「いきます」


 アクが振り下ろそうとする腕に聖剣を突き立て、アクの腕を弾き返す。

さらに聖剣を振り上げてアクに斬りかかる。


「マスター」


 コウガが剣を振り下ろす前に、ルーとヨナがアクに抱き着く。


「退いてください。彼が暴走して力を振るう前に倒さなければならないのです」


「ダメ。マスターを斬らないで」


「マスターを救いたいんです」


 二人の少女にコウガが躊躇った。


 その瞬間アクの腕が振り下ろされる。

コウガの横を黒い光が通り過ぎ、海面上にいた船が一瞬に海ごと消え去った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 デカい奴がさらにデカくなって、目の前で浮いている。

なんだかエラそうだ。

 でも危害を加えないで、空から見ている奴を見つめ続ける。

デカい奴ももしかしたら友好的な行動をしてくるかもしれないと、思っていたらいきなり攻撃された。


「どうするのさ、このままじゃ殺されちゃうよ」


 耳元で囁く声は、楽しそうにはやし立てる。


 焦っていなくてもデカいモンスターはやっぱり自分を襲ってくるのだ。

やっぱり戦うしかないのか・・・・


 腕を振り上げる。


 動くこともしたくない、空から見ている不気味な奴に隙を見せたくない。


「おっ、やるのかい。でも相手も今度は考えて来たみたいだね」


 動きが拘束される。

モンスターから伸びた様々な色の光が体を縛りつける。

その力はたいしたことはないが、一瞬身動きがとれない。

 仕方がないから強引に振り下ろそうとするが、今度は白いモンスターが掌に剣を突き立ててきた。

痛くはないが、うっとうしい。

 決めた目の前の白いモンスターから殺そう。


 強引に腕を振り下ろそうとするが、白いモンスターに弾き返された。

しかも剣で斬りつけてくる。


 ヤバい・・・・


 うん、今度はモコモコしたモンスターと七色に光るモンスターに抱き着かれた。

何かの攻撃だろうか、でもなんだか気持ちいい。

 とにかく白いモンスターを殺そう。

白いモンスターの動きが止まっている。


 腕を振り下ろして黒い光を生み出す。

だが、何故だろう。

 上手く白いモンスターの方に飛んで行かない。

モコモコのモンスターが腕に抱き着いている。


 何故だろう。


 モコモコのモンスターが悲しそうに泣いている気がする。

守ってあげたい。

 このモンスターは殺さないでおこう。


 今度はデカい奴が近くにやってきた。


 こいつはなんだかめんどくさい。

でも空から見ている奴はもっとめんどくさい。

 でも下手に攻撃してもいいのだろうか、はぁ~暗い闇の中で、モンスターに囲まれてどうすればいいんだろう。


 アクの世界は未だに閉ざされたまま・・・

いつも読んで頂きありがとうございます。

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