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邪神になりました2

評価してくださる方がおられましたありがとうございます(*^_^*)


自身の未熟さを痛感しつつ、最後まで頑張って行きます<m(__)m>

 サキュウは、ルーの紹介でバンガロウ王であるサントン王への謁見が叶った。


「大魔王サキュウ殿、お入りください」


 謁見の前に控える兵士に促されると扉が開かれる。

そこにはサキュウが望んだような光景が広がっていた。

 サントン王が玉座に座り、王を護るように人と亜人が立ち並んでいた。


 奥に座るサントン王を筆頭に、右側に軍務元帥セントハルク、外務大臣リリー、内務大臣ハント、ハッサン将軍、ハルトベルト将軍が並び、各大臣が列をなす。

 左側にはシーサイド王、リバーサイド王、白扇、ルー・ケルイなど獣人、竜人、亜人の代表が並んでいた。


「よくぞ来たな大魔王殿」


 サントン王は笑顔でサキュウのことを出迎える。

サキュウは謁見の間に入る前に、立ち並ぶ人々を見渡した。

その中で、サントン王とセントハルクの強さに目を見張る。

二人の強さはサキュウも一目おくほどの力量を持っていることが測れた。


「謁見をお許し頂きありがとうございます」


「互いに身分は王なのだ。なによりそなたは暗黒大陸の覇者、我は連邦も未だに纏められる未熟者だ。位で言えばそなたの方が上であろう。敬語は必要ない」


「身分や位など、気にしたこともありません。これは一つの礼儀としてお受け取り下さい」


「そういうことか、なら互いに堅苦しいのは無しだ。俺も元々は盗賊上がりの成り上がり者だ。礼儀なんてものは苦手でな」


「それならば助かる」


 周りでは王同士の会話だということで黙っているが、内心では大魔王への敵愾心が増した者がいた。

 サントン王が許した以上口に出すことはできない。

 何より北の暗黒大陸の覇者は、南に位置する連邦にとって伝説級の人物なのだ。

 この場で面識があるのは白扇だけだが、白扇はアクの安否を気にしてサキュウに気付いてはいなかった。


「それで大魔王様が態々何の用だい」


「黒い光の柱はここにいる全員が見たことだと思う」


「ああ、あの場所がへーゲル王国があった場所でだからな。こちらと戦争をしていたのもあるから、よく知っているぞ」


「では単刀直入に言わせてもらう。あれは魔王の因子が起こした出来事だ」


「魔王の因子?」


 サントンが疑問を投げかけたので、サキュウは昔話と魔王についてを掻い摘んで語って聞かせた。


「なるほどな。あんたがその魔王の監視者だということはわかった。だがこれはうちの国の問題だ。あんたがでしゃばることじゃねぇんじゃねぇか」


 若干の怒気を含ませて、サントン王が威圧を放つ。

居並ぶ部下や獣人達はサントン王の威圧に息苦しさを覚える。

 サキュウは何とも感じていない顔で続きを話す。


「監視者として、誰よりも魔王と戦ってきたからこそ力になれるだろう」


 サキュウは真摯にサントンの瞳を見つめて言葉を続けた。

 

 しばし睨み合っていたが、サントンが笑い出した。


「くくくははは!いや~悪かったな。流石は大魔王様だ。俺の威圧を受けて話せる奴なんてセントハルクとアクぐらいだと思っていたぞ」


 アクの名前が出たことで、サキュウは話題を変えることにした。


「今話題に上がったアク殿について話がある」


「アクにか?」


 サキュウの言葉で、それまで和やかだった空気が一変する。

獣人や龍人達から殺気が上がり、バンガロウ陣営の大臣達の視線が鋭くなる。


「ああ、いくつか質問をお許してもらえるだろうか?」


「かまわねぇよ」


 サキュウはアクについて質問を重ねていく。

魔法の種類、性格、所業、言動など人となりまで聴き終えたサキュウは、一呼吸を置いて、結論を話し出す。


「アク殿が魔王の因子を持った者で間違いないと思います。普通の魔法よりも強力な魔法。異世界から召喚されたにも拘わらず、人間なのに戦争への順応性の高さ、最後に闇の精霊アモンの存在が、アク殿を魔王の因子持ちだと断言できます」


 サキュウの言葉を聞いているうちに、獣人・亜人側は今にも飛びかかりそうな意志が伝わってくる。

獣人達を龍人の白扇が威圧で抑え込んでいる。

 バンガロウ陣営も明らかな怒気を含むようになっていた。

アクと言う人物が愛されているかが、分かるというものだ。


「それは本気で言ってるのかい大魔王さん」


 サントン王も先ほどまでの笑みはなりを潜め、真顔でサキュウを見つめていた。


「本気です。魔王になり得るだけの強大な魔力を保有している可能性が一番高いのがアク殿であることは間違いありません」


「貴様!マスターを愚弄するか」


 たまらず獣人族の男が怒鳴り声をあげる。

白扇が窘めることで跳びかかるのは辛うじて抑えられている。


「愚弄したわけではない。むしろよくぞここまで耐えてきたと言ってもいい。あれほどの膨大な魔力をたった一人で維持していたのだ。驚嘆に値する行為です」


 サキュウは真顔でアクを褒め称える。

ただそれは、裏を返せばせれほどの強靭な精神であるからこそ魔王の因子が反応したのだろうということを決定づけていると伝えていた。


「・・・・」


 サキュウの言葉に部屋中が沈黙で包まれる。


「はぁ~あんた人が悪いね」


 サントン王が一番に溜息を吐く。


「とにかく状況を整理したい。お互いの情報を交換しないか」


 これはサントン王からサキュウに歩み寄る行為だった。

サントン王の言葉を聞いて、内務大臣二人は姿勢を但し、白扇は獣人達を完全に抑え込んだ。

 会談を開くムードに移行しているなか、一人だけサキュウの前に出る少女がいた。


「アク様はどうなるのですか?」


 銀髪の髪に獣人を表す狼の耳を生やした美少女ルーがサキュウに問いかけた。


「魔王の媒体となった者には死しか待っていない」


 サキュウの言葉を聞いて、またも部屋中が息を呑む。


「そんな・・・」


 ルーは泣きだすかと思ったが、いきなりサキュウを睨みつけ、そして謁見の間を出て行ってしまった。



いつも読んで頂きありがりがとうございます。

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