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邪神になりました1

今日から最終章です。


どうぞよろしくお願いします(*^_^*)

阿久井アクイ シゲルこと、死神軍師アクが魔力を暴走させた日、一つの島が世界から姿を消した。

へーゲル王国はその歴史に幕を閉じたのだ。

 アクは凄惨な光景を見せられたことで、アクは感情の枷が外れた。

アクの魔力は全てを飲み込んだ。

 それは本当にブラックホールのように、人も建物も島さえも呑み込んだ。

さらに黒い光の柱となって世界を飲み込もうとしていた。

 

「これはスゴイな」


 黒い光の柱を見つめる者がいた。

彼の名前は大魔王サキュウ、400年前から魔王の監視者をしていた者だ。

 彼は幾度か魔王との戦いを経験してきた。

100年ごとに生まれ変わる魔王の因子を見つけ出し、魔王が力を付ける前に叩くのを繰り返してきた。

 そろそろ現れると予想していたが、今回の魔王の因子は姿も気配も感じさせなかった。

 そのためここまで大きく成長するまで気付くことができなかった。


「いったい今回の因子の元になった奴はどんな奴なんだ」


 魔王を復活させるためには媒体となる人がいるのだ。

それは様々で、女性であったり子供であったりするがほとんどが魔力が強く、魔王を受け入れられるほどの力を備えてなければならない。

 400年前に誕生した魔王は闇の勇者を媒介としており、戦争中だったこともあり成長が早く強力な魔王だった。

 その時はなんとか勇者達の力を合わせて封印することができた。

果たして今回の魔王はそれ以上だろうか、サキュウは全てを飲み込む黒い光を遠巻きに見つめていた。


 そこに一隻の船がブラックホールに近づこうとしているのに気付いた。

いったいあのボートは何をしているんだ。

 

 黒い光に近づけば死は確実だというのに・・・・


「こんなところで何をしている」


 サキュウは我慢できずにボートに近づき、船頭に声をかける。

サキュウは魔法により空を飛んでいたので、ボートに近づくなど造作もない。


「あなたはどこから……いえ、そんなことはどうでもいいですね。私はあの人に会いに行くだけです」


 ボートに乗っていたのは一人の少女だった。

銀色の髪に獣人の耳と尻尾、美しい女性だった。


「銀狼族か、どうして生きている」


 サキュウの言葉に彼女は驚きを隠せない顔で、サキュウの顔をマジマジと見つめる。


「別に危害を加える気はない。ちょっと昔の知り合いに銀狼族がいただけだ」


 サキュウは嘗て獣人と過ごした時期があった。

そのときに出会った銀狼族のことを思い出し、質問したに過ぎない。


「・・・・あそこにいるのは私の愛する人だから」


 銀狼族の女性、ルーと名乗った女性がゆっくりと話し始める。

南の島国で戦争が行われていたことは知っていた。

 だが内容までは知らなかった。

戦争が獣人や亜人を巻き込んだものになっているとは。

 最南のバンガロウ王国から始まった内乱は、シーサイド、リバーサイドと広がり連邦国に全体にまで及んだ。

 その立役者になったのが二人の人物、一人は現バンガロウ王国の王となったサントン王。

 もう一人が仮面をつけた冷酷軍師であり宰相を務めている死神軍師アク。

 この二人によって次々に連邦は飲み込まれていった。

そして最後に残されたへーゲル王国を平定中に事件は起こった。

 へーゲル王により暴挙、あまりにも凄惨な作戦の数々が行われ、そして城に招き入れられて掛けられた罠は、人を爆弾に変えるという最悪の作戦だった。


 城全体を包み込んだ爆発に、バンガロウ王国の兵は為す術なく殺されるところだった。

 死神軍師アクは魔法により、限られた者だけを強制転移させて数人を救ったという。


「ではルー殿がここにいるのは、アク殿のおかげということか」


「はい。私の他にも2000人ほどが助かりました。それ以外は・・・その中にあの方がいて」


 サキュウの中で答えがでつつあった。

死神軍師アク、その者が魔王の因子を持った者なのだ。

 それほどの偉業を成し遂げ、爆発の寸前に2000人もの人を救える力は魔王の力に相違ない。

 そして力を使ったことで魔王に取り込まれてしまったのだろう。


「ルー殿、今あそこに向かうのは無謀だと思うぞ。あそこに行くよりも有意義な頼みがある」


「でも・・・・」


「俺をバンガロウ王に会わせてくれないか、俺は暗黒大陸の王、大魔王サキュウと申します」


 サキュウの名乗りを聞いて、大魔王と言う言葉にルーは驚きを隠せない。


「この非常事態について話し合いたくてここまでやってきました。取り次いでもらえませんか」


 サキュウはなるベく優しく聞こえるように話しかけた。


「わかりました。大魔王様のお力をお借りできるのであれば・・・サントン王に会ってください」


 ルーは何かを決心したように頷き返した。


いつも読んで頂きありがとうございます。

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