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閑話 その他の勇者達 エピローグ3

 ここはどこだろう。

気持ちがいいなぁ~気持ちがいいなら何でもいいや。


 うん?あれ、痛い。

痛いぞ、なんで急に痛くなるんだ。

あれ今度は熱いアッチチチチチチチ。


「うわっ!!!」


 痛いし熱いし、最悪だと目を覚ましてみれば二人の美女に覗き込まれていた。

二人の顔には見覚えがある。

 確か召喚されたとき一緒に召喚された人達だ。


「えっと、どうして君達がいるの?」


 目を覚ました天野アマノ 光賀コウガが質問をする。


「旦那様、目を覚ましたぞ」


「おう、そうか。俺の方も終わったから連れて帰るか」


「了解や」


 何が起きているのか、わからない。

自分の理解が及ばないところで話が進んで行く。

 コウガは袋に詰められる。


「ちょっと、自分で歩けますって」


 年上の女性に担がれるのが恥ずかしいと感じたコウガが、袋の中で声を上げるが担いだのは砂丘だった。

 ちなみに聖女とか呼ばれていた女は昇天して痙攣している。

頭がおかしいと考えた砂丘がコウガから引っぺがし、快楽を味わう幻覚の魔法をかけたところ、狂ったように悶えだし昇天して気絶した。


「黙れ」


 威圧と共に砂丘が声を出すと、男に抱かれていると理解したコウガは黙った。

その日の朝、二つの事件があった。

 

 一つは砂丘たちが侵入したことが明るみに出たのだ。

しかし、音も出さなかった犯人を捜査することはできないため、お手上げだったことは言うまでもない。

 もう一つは聖女の醜態が女官に晒され、テリーは自分の不甲斐なさに口を閉ざし、枢機卿は壊れた聖女を人前から遠ざけ幽閉した。


 砂丘達はというと、黒い光の柱が出現したことで魔王の存在を確認できたため、一旦暗黒大陸にある砂丘の城へと戻ってきていた。


「ここはどこなんだ」


 一人状況についていけないコウガは、キョロキョロと落ち着きなく辺りを見いる。


「俺は魔王を見てくるから、お前達はそこのバカに状況説明でもしてやってくれ」


 砂丘がコウガを指差して、何か言ったかと思うと急に光の中に消えて行った。

火鉢や風香は誰が説明するかとコウガを一瞥して、「え~」と声を揃えて嫌そうにしていた。

 アンジェリカの方を向けば、彼女は早々に台所に消えていき、火鉢と風香の被害にあったのはエルファルトだった。


「わかりました。私が光の勇者様の相手をします」


 エルファルトはここが大魔王サキュウの城であること、砂丘は実は400年前に召喚された勇者様であったこと、本当の敵、魔王が復活しようとしていることなどを掻い摘んで説明した。


「大変なことになっているんですね」


「はい、それよりもそろそろ服を着ませんか?」


 エルファルトに言われて自分の姿を見れば、袋で体は隠されているが裸だった。


「あれ?どうして僕は裸なんですか?」


「ここに連れて来られた時から裸でしたよ。どうやらあなたは・・・・」


 コウガはその後自分が聖女によって傀儡にされそうになっていたこと、自分が宿したのはアポロンではなく、400年前の勇者を精霊化したものであると説明された。


「そうだったのですね。僕は・・・今まで騙されていたのか」


「そういうことらしいです。ですので他の勇者様のことは気にしない方がいいと思いますよ」


 他の勇者と言われて、赤と緑の美女を見る。

二人とも初めて会った召喚の時よりも大人びており、美しさに磨きがかかっている。

 力の方も会ったときから自分よりも強かったが、今は途方もないくらい力に開きがあると感じられた。


「いったい彼女達はどんなことをしたのでしょうか、かなり強くなっているように見えるのですが」


「暗黒大陸はそれほど過酷な場所だった。それだけですよ」


 コウガに笑いかけるエルファルトにしてもコウガでは勝てないと思わせるほど強かった。

 それでも二人の勇者に比べればまだ戦えると思う。

だけど、二人には歯が立たない。

 それほどの開きがあることは見ただけで分かる。

コウガもただ遊んでいたわけではないのだ。


「光の勇者様にも強くなっていただきます。これからあなたの力が必要だと主が仰っていたので」


 エルファルトが言う主が大魔王だとすぐに理解できたが、本人がいないので相手の力量は図れない。

 それでも自分が強くなることにコウガは微塵も迷いがなかった。


「お願いします。俺を強くしてください」


 エルファルトに頭を下げたコウガに、エルファルトは優しく頭を下げる相手が違いますよと諭してやり、二人の下に連れて行ってくれた。

 

 コウガが頭を下げると二人は本当に嫌そうな顔をしたまま、訓練を指示してくれた。

 最後の決戦へ向けて、光の勇者の修行が始まった。


 若干女性陣にうっとうしがられていることはご愛嬌としておく・・・・


いつも読んで頂きありがとうございます。

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