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大悪党になります13

 アク達は夜襲の後も警戒を怠らず進軍を開始した。

だが、まるで何もなかったように敵からの攻撃が仕掛けられることはなくなり、変わったことと言えば、女性や子供など弱者の難民を助ける回数が多くなっていた。

 一応警戒はするが、バンガロウ王国が占拠したとき民に成る者達なのだ。

すぐに助けることはできないが保護しておくことはできる。

リバーサイド陣営に頼んで通ってきた村に連れて行ってもらっている。

 民を解放しているとすれば、決戦に向けて無駄な兵糧を使わないようにしているのかもしれない。

 アクは敵の策を考え、敵は籠城するのかもしれないと考えた。


「相変わらず下衆なことをするやつだ」


 白扇が女子供に食料も与えずに放り出したへーゲル王のことを、苛立ちの込めた声で吐き捨てる。


「そうだな。こんな国は滅んだ方がいいのかもしれない。へーゲル王を捕まえるのではなく、殺してしまった方がいいかもしれないな」


 アクも白扇と同意見で吐き捨てたい気持ちはよくわかる。

勝つためならばどんな非常な手段も使ってくる。

 余りにも卑劣なやり口に怒りを感じていた。

へーゲル王を生かしておく価値すら感じられない。


「おっ、また子供か、本当に・・・」


 子供の難民が集団で歩いてくる。

へーゲル王都から放り出されて彷徨っていたのだろう。

 今までと同じように保護を命じて、リバーサイド陣営に任せる


 アクは保護した子供達から離れて、獣人達に保護対象以外は人影がないか確認を取りに行く。


 ケルイが報告に帰ってきていたので、アクはそちらへ向かうはずだった。

しかし、突現起きた出来事によって、アクは爆風に吹き飛ばされる。

何が起きたのかわからず、爆発が起きた場所へ視線を向ける。

 そこには地獄絵図が広がっていた。

リバーサイドの兵士達がいた場所は火の海となり、街道から森にかけて火が移り、辺り一面を焼野原に変えてしまっている。


「マスター!生きておるか、マスター」


 白扇が叫んでいるが、アクには声は届いていなかった。

爆風の衝撃で鼓膜が破れ耳が聞こえなくなっている。

体も衝撃と痛みで動かない、アクはそのまま意識を失った・・・


ーーーーーーーーーーーーーー


「くくく、上手くいったか」


 城から爆発により上がった火の手を見つめて、エーゲル王は高笑いを抑えられずにいた。

 へーゲル王が考えた策は、民を使った人間爆弾だった。

それも相手が保護しなければならない女子供を使った人道に反する行為だ。


「相手も甘いの~こんな手に引っかかるなど、儂ならば逃げてきたのもなどすぐに殺して捨ててしまうわ。甘っチョロイ考えで我が国に入ってくるから悪いのだ」


「へーゲル王、報告いたします」


 ご満悦に浸っている王の下へ兵士からの報告が入る。


「どうだ、状況は。」


「はっ敵の被害甚大です。同時に爆発させたことで敵の油断を付けたものだと思います。しかし、爆発の影響で森に火がついてしまい一部の森が焼野原になってしまいました」


「それぐらいかまわん。敵に痛手を負わせたのだ、これほど面白いことはない。次だ、今度は男共に武器を持たせよ。敵によって殺された妻子の敵を取らせるのだ。くくく、どこまでも我の為に働くがいい」


 へーゲル王は嫌らしく、そして傲慢な笑みで火の手を見つめ続けた。


 それが悪魔を目覚めさせるきっかけになるとも知らずに・・・・


いつも読んで頂きありがとうございます。

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