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大悪党になります9

投稿が遅くなってすいません。


評価下さった方、本当にありがとうございます。

凄く励みになります。

なるべく早い更新を目指しますのでよろしくお願いします。

ヘーゲル王は軍の撤退報告を聞いて怒り狂った。

報告に現れた伝令は切り刻まれ、血で濡れた床にワインを叩きつける。


「忌々しい蛮族共め」


王の言葉に誰も何も言葉を発することはない。


「アスガルト共和国、そしてセントセルス神興国からの返事はどうなっておるのだ」


ヘーゲル王は他国の介入を申し出ていた。

見返りとして、蹂躙したバンガロウの土地を差し出すと書状にしたためている。

王の言葉を受けて、宰相が一歩前に出る。


「王よ、申し上げます。セントセルス神興国からは異端の大魔王が現れて、突然の侵攻が開始されたと報告が来ております。そのため援軍は出せぬと。またルールイス王国はカブラギ皇国に敗れ現在国としての機能を失墜させております。最後にアスガルト共和国からは何の返答も得られておりません」


宰相の言葉を聞き終えて、ヘーゲル王の怒りは頂点に達した。


「どいつもこいつもどうして我の言うことを聞かぬ。我はベンチャイス連合国の盟主であるぞ」


王の怒りに応える者は誰もいなかった。

この場に今は亡き、ヘーゲルの元帥が生きていたならば進言したかもしれないが今はいない。

王は軍に向けて新たな命令を下す。


「兵の損耗はほとんどないに等しい。相手にはたしかに未知なる力は存在するが、まだまだ我々の兵力が勝っておる。民に伝えよ、侵略者を許すな。その命が尽きようとも相手の足を止めさせよ、しがみ付こうが、這いつくばろうが相手の動きを止めさせよ」


王の命は絶対である。

王は命を、女子供であれ老人であれ差し出して相手が死ねその時まで相手の動きを止めさせよという。

それは敵からすればとても恐ろしい物だった。

武器を持たぬ者が、虚ろな瞳で兵士に攻撃もせずに抱き着くのだ。


「すぐに全国民に伝えまする」


王の言葉はすぐに国民に伝えられた。

そして国民は絶望とともに王の命を実行するため兵士と共に多くの非武装の民が進撃を開始する。

それはあまりにも恐ろしくあまりにも辛い進軍だった。


ーーーーーーーーーー


アク達がヘーゲル王国の港で陣を構えて二日が経過していた。

上陸と共に受けた戦の被害もあって進軍ができずにいた。

傷を受けた者は少ないのだが、矢の雨によって物資や食料に被害を受けていたのだ。


「マスター、大丈夫ですか」


天幕で休む、アクのもとに白扇がやってくる。


「どうかしたか、リバーサイドの女王さんが来られているがどうする?」


「すぐに会おう。待たせては申し訳ない」


アクの言葉に白扇は待たせていたリバーサイド王をすぐに呼び入れる。


「突然の訪問申し訳ない」


リバーサイド女王、グリンダ・アマゾネスが鎧を付けたまま天幕に入る。

武器は天幕に現れた時に近衛兵に預けているので、丸腰ではあるが。


「いや、本来であればこちらから出向かなければならないのにこちらこそ申し訳なかった」


「何を言われる、宰相殿から頂いた助力により我々リバーサイドの被害は皆無で済んだ。何より、其方が敵を撃退してくれたため我々はこうして今も話していられるのだ。誇りこそすれ恥じることなど何もない」


グリンダはアクのことを称賛した。

アクの対応の早さ、そして残忍な相手の作戦を打ち負かした腕前に感服していた。


「それにしても相手は何を考えているのだ。自国の民を盾にするなど言語道断」


「私にも愚策に感じられましたが、この地を奪いたい私達としては虐殺して通ることはできません。相手のとった作戦は有効といえるでしょう」


冷静なアクの言葉にグリンダは歯がゆいものを感じる。

飽くまで軍師としての意見なのは分かるが、納得できないものは納得できないのだ。


「では宰相殿に聞きたい。宰相はいかにして敵の策を打ち負かしたのか」


グリンダの来訪の目的は、これからについてを話し合うためだった。

しかし、アクの言葉に反感を覚えて、つい戦場のことについて聞いてしまう。


「私達も偶然でした。相手の意表をついた別働隊が弓隊を吸収することができましたので」


アクは大事なことを隠しつつ嘘をつかないように話をする。


「ほう、別働隊とは獣人達のことか」


「そうです。彼らの特殊な力で助けられました」


「うむ、納得した。もう一つ聞きたい。壁になっていた民はどうしたのだ。捕虜にしたのならばかなりの数になったと思うが」


「そちらは魔法にて転移させました」


「転移とはなんだ」


「彼らは一塊になっていたので、まとめて違う場所に移動させたのです」


「そんなことができるのか」


「はい。私の魔法属性は闇、闇は特殊な魔法が多いので」


「うむ、確かに闇魔法は使える者が少なく、あまり解明されていないものだ。そういうこともできるのか」


「はい」


アクの言葉を信じたグリンダは、話はここまでだと明日からの作戦について話し出した。

アクは内心、ルー達のことを誤魔化せたなと安心した。


「それで明日からはどうするのだ」


「相手はなりふり構ってこないでしょうから、偵察して地の利の良い場所を探しましょう」


「確かに今回丘の上から狙い撃ちされるだけで、こちらからは攻撃らしい攻撃ができておらん」


「はい。ですから兵を休める必要も考えて、地の利の良い場所に拠点を築こうと思います」


「あいわかった。こちらの兵にもそのようにするように伝えよう」


別働隊であったはずのアク達が敵の本隊を引き付ければそれだけ、ハッサン達の城攻めが上手くといくことになる。

アクは自身を囮に使う作戦を頭の中で巡らせる。

いつも読んで頂きありがとうございます。

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