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大悪党になります3

毎日更新が難しくなってきたので、できるだけ早く更新できるように頑張ります。


これからもどうかよろしくお願いします。

 アクはエリスに別れを告げて、フェアリータウンを後にした。

アクの後ろには獣人・亜人・竜人の軍団が付き従う。

 その数1万、獣人は身体能力優れ、亜人は特殊な能力を使う。龍人は圧倒的な力を持つため一人一人が一騎当千であり、アクの後ろに突き従う集団は最強の軍団だった。


「マスター、これから我々はどこに向かうのだ」


 今回の獣人・亜人・龍人の連合軍の総大将はアクであるが、実質の指揮官を務めるのは白扇なのだ。

 アクはあくまで参謀であり、実戦での指揮は全て白扇にまかせてある。


「まずはバンガロウ王都で王様に挨拶だ」


「サントン王ですね。あれは人間族にしておくのが惜しい男ですじゃ」


 先の戦いで白扇は海上での攻撃を命じられていたので、サントンの戦いを遠目ながら見学していた。

 普通の人間では見ることのできない遠くの戦いを白扇は見ていたのだ。


「とりあえず、幹部をまとめとおいてくれ」


「了解した」


 獣人から3人、亜人から3人、龍人から3人を幹部として、白扇を合わせて10人の幹部に任命した。

 アクはサントン王に会うにあたり、10人の幹部と7人の護衛を連れて行くことを決めていた。

 バンガロウ王国の南門に陣を引いた獣人の群れに、バンガロウの民は怯えたが先頭に立つ男を見て心を落ち着けた。

 今やアクはバンガロウ王国の二枚看板の一つであり、敵からは死神と恐れられているが、味方からは頼りになる守護神だと思われている。

 またアクがドラゴンマスターであることは有名で、獣人を引き連れているのも従えたと言われ仲間だと思えば恐くない。


「あまり民を刺激したくない。軍は外で野宿をしてもらうぞ。すでに決定していることだが、幹部だけで城に向かう。後の事は各副官に良く言い聞かせておいてくれ」


 アクの指示を聞いて、幹部達が散っていく。

指示を出すと一刻の時を置いて、幹部達が再度集結した。


「マスター、全員集まったぞ」


 白扇がアクに声をかけるころには、野営の準備が終わり連合軍は落ち着いていた。


「よし、じゃいくぞ」


 17人を引き移れてアクが門を潜る。

門は見知らぬ門番が守っているが、すでにアクの顔を知らぬ者はバンガロウ王国にはいないため、アクは悠々と配下を連れて通り抜ける。

 日が暮れがかった街並みは飲み屋に向かう者や、家路を急ぐ者などで賑わっていたが、アク達の姿を見て立ち止まる者が数人いた。

 夕暮れの忙しさに紛れて、すぐに人だかりではなくなり元の生活に戻って行く。

アクが城の門について中に入ると、城の中にキララとセントハルクが待っていた。


「珍しいコンビだな」


「外務大臣と軍務大臣が共に行動してもおかしくはなかろう」


「そうだそうだ」


 セントハルクが珍しく反論を口にするとキララも続いた。

いつの間に仲良くなったのか・・・ただアクと獣人連合軍幹部を待っていただけだろうに・・・・


「王が待っている。ついてまいれ」


 セントハルクに付いていき、城の奥へと歩き出す。

アクにとっては歩き慣れた道ではあるが、獣人・亜人・龍人達は物珍しそうに中庭や働いている者を見てキョロキョロしていた。


「ここだ」


 いつもの謁見の間ではなく、客室用の大広間に通される。

アクは何も聞かずに言われるがまま中に入った。


「おお、よくきたなアク」


 サントンとバルドベルト、ハッサンがの三人がいた。

アクはサントンの前に行くと片膝をついて、忠誠の姿勢をとり頭を下げる。

 それに習って白扇が膝をつき、七人の少女達も同じように膝をついて頭を下げる。

 それを見てから幹部達も同じ姿勢を取る。


「王よ、我が軍団集結しました。いつでも出陣可能です」


「うむ、そのことで話していたんだ。アク達には今回、後方支援を頼もうと思うのだ。此度エーゲル王国との戦いはバンガロウ王国が全世界へ向けて名乗りを上げる第一歩だ。躓く訳にはいかん。そのためにどんな状況にも対応できるアク達の部隊にはフォローに回ってほしい」


 サントンが言っているのは、手柄はバンガロウ王国に与えて獣人連合軍は控えに回れと言っているのだ。

 幹部達の中にはどよめきが起こったが・・・アクはサントン王の言葉を承知した。


「王のご配慮ありがとうございます」


 アクの言葉に釈然としない思いを抱いた幹部がほとんどだったであろうが、白扇も少女達も不満そうな顔をする様子もなく、そのため付いてきただけの幹部達は誰も声を上げる者はいなかった。


「うむ。今回の総司令はハッサンに頼もうと思う。さらにセントハルクには未だに静観の構えを見せている二か国の牽制をバルドベルト共に行ってもらう。戦力として大丈夫か?」


 サントンがバルドベルとに質問を投げかける。


「問題ないかと、シーサイド・リバーサイドの協力も得られています。バンガロウ王国の戦力のみでエーゲル王国を倒し、シーサイド・リバーサイドの戦力とセントハルク殿の私兵で牽制を行なえるなら申し分もありません」


「そうか、皆と話し合って決まったことだ。あとの細かな作戦についてはハッサンと話し合ってくれ」


 サントン王が話を切り上げたので、アクが立ち上がり、ハッサンもそれに続く。

二人が頭を下げて部屋を出るのに習い獣人連合の幹部達も付き従う。

 帰りの廊下はどこかどんよりとした幹部達と先頭を堂々とあるくハッサンとで大きく溝が開いているような気がした。

 幹部達の落胆を分かっていたが、アクは何も声をかけようとはしなかった。


「では明日早朝に作戦を行うため、其方に向かわせてもらう」


 城の門まで案内したハッサンに時刻を告げられ、アク達は城を跡にした。

ハッサンは妖狐族の集落に派遣されていたが、戦争が始まることになり総司令官として呼び戻されたのだ。

 ハッサンから城に残らないのかと質問をされたが、やるべき仕事があると丁寧に断った。

 日も沈み、町を歩く者もほとんどいなくなっている。

幹部達はアクがどう考えているのかを聞きたくてもどかしい気持ちになっていた。

 街の門を通った所で幹部の一人、赤猿族の族長 ケルイが声をかけた。


「なぁアクの旦那。俺達は戦いに行くんだろ。後方支援なんかでいいのかよ」


「何が不満なんだ?」


「だってそうだろ。俺達は戦う覚悟をしてきたんだ。なのに後方支援じゃ戦えないだろ」


 アクはしばしケルイの顔を見た後、白扇の顔を見た。

白扇はヤレヤレといった顔でアクの考えを悟って前に出る。


「ケルイよ。今回我々は普人間の世界に戻ってきて初めての戦いだ。そこで我らが暴れまわればやはり獣人は凶暴で危険な存在というレッテルを張られてしまう。それは共存を望んでいるマスターの考えからは外れてしまうじゃろ」


「そうかもしれねぇけど」


「だから、後方支援で普通の人間達を助けてやることで協力者という地位を確立するんじゃよ」


 白扇の説明を聞いて、納得できない者もいたがアクとサントン王のやり取りの意味は理解することができた。


「ここからワシらはスタートするんじゃ、よろしく頼むぞ」


 白扇の言葉に幹部達は頷き合う・・・


いつも読んで頂きありがとうございます。

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