大悪党になります1
すいません。投稿が遅れました。
あとお知らせです。今週は少し忙しく書く時間が取れないので、一週間ほどお休みします。
次回投稿は29日月曜日です。
時間が取れれば投稿しようとは思いますが、一応予定させてください。
これからもよろしくお願いします。
阿久井 重ことアクは、アース大陸に住む獣人、亜人、龍人の地を平定することに成功した。
四龍の力を借りたのは言うまでもないが、アクの所業にアース大陸に住む者達が怯えたことが最大の要因であることに間違いない。
怯える要因となった、青狼族が一夜にして絶滅したことは、アース大陸では有名な話なのだ。
アクに戦いを挑む気概のあるアースの民はほとんどいなくなっていた。
またアクは10万の軍隊を相手に半分にも満たない戦力で勝利する智謀は、獣人だけでなく様々な国で死神軍師として悪名を轟かせた。
「ここまで上手くいくとはな」
バンガロウ城テラスにてサントンとアクがテーブルを挟んで差向いに座っている。
ここは王族だけが入れるプライベートルームなのだが、友の盃を交わしているアクと義兄弟の盃を交わしているセントハルクだけは入室を許可されている。
あとは限られた侍女と執事が入ることを許され、ロカとサントンだけで過ごしている。
「俺は獣人と仲良くしたかっただけなんだがな」
「そう気を落とすなよ。死神軍師様」
サントンが茶化すようにアクの発言を笑い飛ばす。
「その呼び方も不本意だ。俺はほとんど敵を殺さずに撃退したのに、どうして死神なんだ」
「それはそうだろ。敵を倒すということは殺すことだと誰でも知っている。お前がいくら殺さないようにしても、死人もけが人も出るんだ。勝つ度に死体の山を積み上げる死神、そういう噂は絶えないだろうな」
「死神軍師は仮面の軍師なのにどうしてだ」
「お前仮面で隠してるつもりだろうが結構素顔の似顔絵とか出回ってるぞ」
「なにっ!どういうことだ?」
「最近新バンガロウ王国の重鎮達の肖像画の販売が流行しているらしいぞ」
「なんで王のお前がそんなことに詳しいんだよ」
「そりゃ~民の声を聞くのが王の務めだから」
「お前、たまに城を抜け出してるらしいな」
サントンはアクのしっぺ返しに面食らう。
「どうしてそんなことお前が知ってるんだよ」
「俺の方は城の者からの苦情だ」
「だ~れ~だ~」
「いわん。そんな事より肖像画が出回るのはいいのか」
「別にいいだろ。民も俺達を英雄視してるってことだ。むず痒いけど俺も昔は冒険者とか王国騎士に憧れたしな、そういうもんだろ」
「憧れを通り越して王になったけどな」
「ああ。俺には似合わないかもな」
「そんなことはない。お前は民の声を聴く良き王だ。早く子供を作ってお前の思想を叩きこんでほしいくらいだ」
「お前のところの方が先だろ。早く作れよ。あんまりエリスを放っておいてやるな」
「お前に説教される日が来るとはな」
二人の友は笑い合う。
旅の最初からアクを支え続けてくれたサントンは気遣いのできる良い奴だった。
王になったサントンは、武力を持ち、機転の利く良き王だ。
今日はどうして二人で飲んでいるかというとアース平定の祝いもあるが、一つのことをアクは話に来ていた。
「王よ」
アクがサントンを王と呼ぶときは意味がある。
それは公務に関することを話すときだ。
「どうした宰相」
サントンもアクの雰囲気が変わったことを察して、アクの役職で呼び返す。
「南の列島全てを統一しようと思う」
「意味はあるのか」
「セントセルス神興国は他の国よりも発展が早い。それは素晴らしいことだが、逆に一つの国が発展し過ぎると他とのバランスが取れなくなる。独裁世界にはさせられない」
「ベンチャイス連合国を統一するだけ終わらないということか」
「ああ。別に世界統一を言ったりはしない。むしろいろんな人種がいるんだ。統一なんて不可能だ。いつか歪ができて崩壊してしまう。それならばそれぞれが住みたい国に住めばいい。だが国同士は対等でなければならない」
「お前の言いたいことはわかったよ。それでどうしたいんだ」
「獣人もこの戦争に参加させたい。俺達と共に戦ってもらいたい」
「本気か?それはセントセルスの教えを全て覆す行為だぞ」
「本気だ。獣人・亜人・龍人が虐げられる世界など間違っている」
「ふぅ~俺はその戦争の旗か」
「そうだ。お前にはベンチャイス連合国、いや、ベンチャイス王国の初代王になってもらいたい」
「またデッカイ話だな。だが、少し考えさせてくれ。俺にも守るべき者がいるんだ・・・」
サントンはそれだけ言うと酒を飲み干した。
アクもそれ以上は言葉を控えた。
決めるのは王なのだ、王は孤独、常に大事な決断を一人でしなければならない。
サントンは一度アクを見る。
サントンの瞳に炎を見たアクは頷いて、椅子から立ち上がり席を外す。
動く準備に取り掛かるために・・・
サントンとアクが王国を作りすでに二年が過ぎようとしていた。
いつも読んでいただきありがとうございます。




