大魔王になります19
すいません。昨日は書く時間がなくてお休みしました。
また今日から頑張りますのでよろしくお願いします(#^.^#)
全世界は震撼することになった。
レギンバラ王の死亡に始まる闇の勇者事件は、闇の勇者 黒金 飛鳥と黒の組織により行なわれたことだと明るみに出ている。
それだけならば、闇の勇者によって王が変わっただけだと思えたのだが、黒金 飛鳥は自身のことを暗黒龍ベルザルードと名乗ったのだ。
暗黒龍ベルザルード、それは世界に生きる者にとって共通の敵の名前なのだ。
黒金 飛鳥の中で生きる暗黒龍ベルザルードはレギンバラ王を倒したことを自身の力で示した。
その上で暗黒龍ベルザルードは全世界に向けて宣言した。
「我はこの世界を破壊する」
暗黒龍ベルザルード、またの名を闇の破壊神 魔王ベルザルード・・・
それは世界に本当の魔王が降臨した瞬間だった。
レギンバラ王国が世界を統一するずっと昔、世界には一人の魔王がいた。
昔の人々にとっては魔王も神だった。
世界には多くの神がいて、破壊を司る神はベルザルードと呼ばれていた。
暗黒龍ベルザルードが破壊の神とするならば、再生の神も存在したのだが、いつしか破壊の神は悪い者、再生の神は良き神という位置づけになっていた。
破壊であろうと再生であろうと神には関係なかったはずなのに・・・
悪の神とされた暗黒龍ベルザルードは、神と崇めた者も暗黒龍ベルザルードを恐ろしいと感じた者も全てを破壊し尽くした。
ベルザルードが意志を持ち本当の意味で生まれたとき、黒い龍の形をしていた。
黒い龍は生まれてすぐに自身の中に渦巻く破壊の衝動に突き動かされて世界に襲いかかった。
視界に入るものは全て破壊した。
ベルザルードの前に何もかもが滅びを迎えていった。
あまりにも目に余るベルザルードの行為に再生の神が人々を救うべく立ち上がった。
再生の神はベルザルードを戒めるため神として力を発揮した。
再生の神としての力を使いベルザルードを封印したのだ。
封印されたベルザルードは、それでも衝動を抑えきれず自身の力を宿した小さな闇の精霊を生み出した。
ヘルザルードに生み出された闇の精霊は長い時を過ごした。
幾つもの人の中に生きてきた。
様々な人を見て、様々な人の心に触れて、暗黒龍ベルザルードは最後は一つの結論に至った。
世界はやはり破壊しなければならない・・・
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砂丘 修二は異世界に来て、初めて安らぎの場所を見つけた。
安らぎの場所とたくさんの守りたい者達がいた。
だから砂丘は決意した。
「いくのか?」
暗黒龍ベルザルードの宣言は、全世界の空に映し出されて、生きとし生ける者全てに届いた。
ガイルは暗黒龍ベルザルードの宣言を聞いてから、砂丘が落ち着かないでいたのを知っている。
ガイルはレギンバラ王国で将軍として働いていた。
だからこそ初めて砂丘 修二に会ったとき、土の勇者だと気付いて勝てないことがわかっていた。
そして、砂丘の言った言葉はガイルの中でも生きていた。
「獣人も亜人も龍人も全てただの人なんだろ」
「お前もあの場所にいたのか」
「ああ。俺はずっと疑問だった。俺にも獣人の友がいた。だが俺はこの手で友を殺した。レギンバラ王の命によってな」
「疑問を持たない奴が悪い」
「今ならお前が言った言葉の意味が理解できる」
ガイルが砂丘を見つめて、ただ悲しそうな顔をする。
「いいじゃないか、お前はちゃんと理解したんだろ。そしてここに俺の帰る場所を作ってくれた」
「帰る場所か・・・上手いことをいうな。じゃあ、お前は帰って来るんだな」
ガイルは本当に砂丘を心配して聞き返した。
「ああ。ここは俺の家だろ」
「ああ。ここはお前の家だ。そして俺達は家族だ」
ガイルは砂丘の背中を見送った。
いつか土の勇者でも、異世界人でもないただの砂丘としてガイル達の前に帰って来るときに、迎えてやる場所を作るためにガイルは国を盛り立てることに専念した。
ガイルはナイジャとの間に子供を作った。
ガイルの意思を継ぐ子供は、いつか土の勇者が帰って来られる国を作った。
それはアスガルト共和国の伝承となり、彼らにとっての意思になっていく。
どんな状況にも負けず、どんな逆境になろうとも彼らは挑む心を持ち続けた。
ガイルと仲間達は誰かを王とするのではなく、お互いに意見を出し合う。
共和国は対等の関係を築きあった。
その意思はアスガルト共和国に住む全ての者に伝わり、荒野は開拓され多くの都市を作った。
年月と共に不屈の精神は廃れて、権力争いになり開拓をする者など少なくなった。
そして土の勇者を迎える家族が全ていなくなっても土の勇者 砂丘 修二は帰らなかった・・・
いつも読んで頂きありがとうございます。




