大魔王になります15
一昨日はサイトの緊急メンテナンスで大変でしたね(+o+)
昨日はメモ帳とかで書いてはいたんですが、休みでもいいかと休んでしまいました。すいませんm(__)m
今日からまたよろしくお願いします(*^_^*)
雲を掴むような話だとガイルに誰もが言った。
「お前はバカだな」
誰かが言った。
それは夢だと、それは叶わね願いだと、それは無謀な行為だと。
それでもガイルは夢を見た。
果てなき赤い荒野に水を見つけて街を作る。
最初は小さな村かもしれない。村は町に、町は街に、街は国になる。
ガイルは王になりたかった訳じゃない。
ただ、レギンバラ王国ではない国を作りたかった。
王がなんでも決めてしまう国に民の成長はない。
成長のない民は堕落する。
堕落した民がいる国には腐敗が蔓延り、腐っていく。
ガイルはレギンバラ王国に腐敗を見た。
レギンバラ王国の行く末をガイルは見越した。
その時、自分の力で生きて行かなければならないと思った。
そしてガイルは夢をみた。
誰もが無理だといった荒野に街を作る。
その夢も夢では無くなりつつある。
縁、出逢い、運命、どんな言葉でも構わない。
ガイルを支えてくれる者達がいた。
ガイルといつも言い合いをしていた酒屋兼宿屋の女主人ナイジャ。
魔法使いとして戦いを求められ、戦いを拒んだ少年グルス
鍛冶屋の師匠と弟子、ゴルジとジル
詐欺師の少年 トミナ
そして虚ろな目をした少女 テルミ
そしてガイルは砂丘 修二に出会った。
砂丘は幾つもの魔法を使いこなし、魔法という言葉の本当の意味をガイル達に教えてくれた。
赤い荒野の中、砂丘は水を探し当てたのだ。
それは溢れるほど水が貯蔵されていた水源。
荒野の中のオアシス。
ガイル達は夢を手に入れることができたのだ。
砂丘は難しいことをした訳ではない。
シノビの極意で龍脈を探すように赤い荒野の中から水脈を探し出したのだ。
地面に手を付き、土の勇者として、シノビの極意を極めた者として大地に願った。
すると水脈は砂丘の求めに応じるように現れた。
「嘘だろ?!」
誰もが水を見て同じ感想を述べただろう。
6人は砂丘の功績を褒め称えた。
砂丘はいつもの無表情ではなく、どこか誇らしげにはにかんでいる。
砂丘がこんなにも人の中で笑ったのは異世界に来て初めてのことだった。
「お前は本当に凄い奴だな」
ガイルが何度も砂丘に抱き着いたり、肩を叩いたりしている。
「ガイル。お前の夢はこんなとこで終わっていいのか」
砂丘の言葉にガイルはキョトンとした顔をする。
そして笑い出す。
「そうだったな。俺達の夢はここから始まるんだ」
ガイルは今度は嬉しそうなに砂丘の肩を抱く。
顔の半分が傷で覆われている厳つい男に抱き着かれても嬉しくはないが、砂丘は悪くないなと思った。
そこからは大変だった。
たった7人で村を作るのだ。
食料や草木の種は砂丘がいくつか持っていたので、水が出た場所を中心に草木を植えて、果物を植えた。
7人が飢えないためにも最初だけ砂丘が魔法を使い急成長させる。
そこからいつに収穫できるのか、どれくらい収穫できるのかを教えて少しずつ増やしていくための指導を6人にした。
村を作るためには水と食料だけではダメだ。
次に家を作り住みやすい環境を整える。
荒野には雨はほとんど降らない。
その代り風が強く、砂埃が常に待っている。
砂丘は村を守る外壁を作り、一軒一軒の家は高い建物を作らないようにして、風がしのげる場所を作った。
何もない場所に水が湧き、草木が生えて、家が建つ。
本当に些細なことばかりの筈だったが、どれも喜ばしいことで7人は全てを喜び感謝した。
7人には上下はなく、対等な関係だった。
それが砂丘には心地良くずっとこのまま年老いていくのもいいなと思えた。
変化は彼らと過ごして1年が過ぎた時だった・・・
一人の男がやってきた。
男は行商人をしていた。
彼の名前はダイコク、ダイコクはレギンバラ王国から手紙を携えやってきた。
手紙の中身は大きく分けて二つ。
・貴様らが勝手に住んでいる場所は我らがレギンバラ王国の領地である。税金を納めるか、立ち退きを申し付ける。
・元レギンバラ将軍ガイル・ログレス、並びに付き従う者達の緊急収集を申し付ける。
「納税だ?緊急召集だ?俺はもう将軍じゃねぇぞ!それもここは俺達の自由の場所だぞ」
ガイルは怒りながら地面に手紙を叩きつけた。
「どうされるおつもりで、王の命は絶対ですよ」
行商人の格好をしているダイコクは、レギンバラの使者としての言葉を述べる。
「無視だ無視。決まってんだろ」
ガイルが手紙を踏みつけてダイコクに苛立ちをぶつける。
「そうですか、ならば私もここに居させてください」
レギンバラの使者だと思っていたダイコクが、突然頭を下げる。
「はっ?何言ってんだよお前」
「私もあの国には嫌気がさしていた。行商人としての能力は信じてほしい。あなた方の力に俺はなれると思う」
ダイコクは真剣な目でガイルの目を見る。
「どうする、砂丘」
ダイコクはガイルがリーダーとだと思っていた。
しかし、ガイルは後ろに立つ20ぐらいの少年の方を見た。
ダイコクは怪訝な表情で20ぐらいの少年、砂丘を見る。
「いいんじゃないか。今は人手が何よりもいるからな」
「お前がそういうならいいか。おいダイコク、お前も今日から仲間だ」
ガイルは人懐っこい笑みでダイコクに握手を求めた。
ダイコクは訳が分からず握手を返す・・・
いつも読んで頂きありがとうございます。




