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死神になります6

昨日は細かい保存を忘れていまして、保存しようとして全部消えてしまった・・・(TT)


 ガンドルフ達が嵐を抜けたころ、アク達は次の準備に取り掛かっていた。アクの七色のガスを混ぜた霧を発生させたのだ。霧は嵐により降った雨がさらに細かい粒となり、海風に乗せて流した七色のガスと合わさり魔法の霧となる。


「これでどこまで数を減らしてくれるか、1万ほどまで減ってくれれば御の字なんだがな?」

「御の字?」

「有難いってことだ」

「ふ~ん。ご主人様って。たまに難しい言葉を使うよね」

「そうか、俺の国では結構当たり前に使うんだけどな」

「まぁご主人様はそういう人だよ」


 ルーは手を振って去って行く。アクが説明しようと話をしても、無駄だとばかりにアクから離れて木に登ってしまった。他の少女達には休憩を取ってもらっている。彼女達には第二作戦のために力を溜めておいてもらう。


「一手目はこれで終わりだな。後は相手の運次第。第二段階の準備に入ろうか」


 アクは港に並べた船を見下ろす。


「敵がどれくらい霧を抜けてくるかわからないが、第二段階で仕留める」


 アクは強い眼差しで海を見つめた。海の真ん中には黒い霧が立ち込めている。黒い霧は石化の霧、相手を殺さず無効化する際に眠りや麻痺よりも強力な霧を選んだ。

 それでも抜けてくることができれば、それは運と同時にアクの作戦を凌駕するだけの知識があると言うことだと思っている。朝日が昇り、一隻の船が見えてきた。


「来たか」


 一隻の船の後にさらに六隻の船が続く。


「七隻か、意外に多かったな。皆の者敵襲だ。臨戦態勢に入れ」


 アクが叫び声を上げ、見張りをしていた者が慌てて目を覚まして鐘を打ち鳴らす。千人の兵士達にはこの時のためにゆっくりと休息を取らせていた。少女達や白扇には別の仕事を与えている。


「いよいよ戦争の本番だ。準備は良いか野郎ども」


 鐘の音を聞いて、全員がアクの前に集まる。


「おおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーー!!!」


 兵士達は雄たけびを上げて、アクの声に応えた。


 グラウスの報告では一隻のガレオン船には、千人の兵士が乗っていると言う。七隻の船が見えているという事は、七千人の兵士がバンガロウの陸にやってくるという事だ。

 六万の軍勢を七千人まで減らせれば本当は勝ちなのだが、左右から四万の軍勢が来ることを考えればまだ安心はできない。


「ヨナ、シーラ」

「「はい!!」」


 二人の少女が前に出る。二人の少女は風の魔法が使えるため、第二段階の攻撃の要になってもらう。


「位置についてくれ」

「わかりました」


 シーラが元気よく返事をして、ヨナが返事の代わりに頷いて応じる。二人は所定の位置に移動するため走って行く。


「サーラ、ハナ、ピピン」

「「「はい」」」

「三人でできるだけ壁になるような防波堤を作ってくれ。相手の侵入経路を減らしたい」

「承知しました」


 ハナが恭しく頭を下げ、ピピンは何度も頷く。サーラは腕を組みまかせろという風に偉そうだった。


「取り掛かってくれ」


 三人はそれぞれの方法で立派な防波堤を作っていく。アクは三人の働きぶりに港を火の海にしなくて済みそうだと安堵する。


「ルー、アンリ、引き続き俺の護衛と伝令だ」

「はい」

「兵士達よ。これからが本番だ気を引き締めておけ、戦いが始まるぞ」


ーーーーーーーーーーーーーーー


 シーサイド側も戦いが始まろうとしていた。港に設けられた天幕でセントハルク達は作戦を考えていた。


「我々が連れてきた兵が二千、シーサイドは七千五百です」


 バルドベルトの報告にセントハルクは渋い顔を作る。相手の半分にもみたいな兵数に問題を感じる中、自国の兵では無い者との連携は困難を極める。


「邪魔するぞ」


 そこにシーサイド王が天幕に入ってきた。


「これはシーサイド王」

「いいからいいから、堅苦しい挨拶は遠慮しといてくれよ。そんなことより作戦の話なんだがな。俺は海賊王の呼ばれているぐらいだ。正直陸で戦うより海の方が強いと自負している。逆にバンガロウ王国の兵はあまり海軍はなかったように思う。どうだ俺達がメインであいつらと戦うっていうのは、そっちは遊軍として自由に戦ってみないか」


 シーサイド王の話はセントハルクにとってありがたい話だった。


「いいのですか、我々はそれこそ王の下で使うわれても仕方ないと思っておりました」

「別にかまわねぇだろ。バンガロウの盾を使いこなせるとも思えんしな。好きにしてもらって力を存分に発揮してもらった方がいいだろう」


 海賊王は楽しそうにセントハルクの力を見たいと言ったのだ。


「承知しました。我らは我らの戦い方をお見せすることを約束します」

「よし決まったな。なら俺達は海でセントセルスの奴らを迎え撃つぜ」

「我々は陸より援護いたします」

「頼んだぞ、互いの武運を海の神に祈る」

「はっご武運を」


 セントハルクに見送られ、シーサイド王は天幕を後にした。


「よろしかったのですか?」

「何がだ?」

「共に戦わなくても」

「シーサイド王は我らのことをよく考えてくださっている。これでいいのだ。そんな事よりも港の視察にいくぞ。もうあまり時間がない」

「承知」


 セントハルクはバルドベルトを連れて天幕を出た。シーサイドの戦いが始まろうとしていた。

いつも読んで頂ありがとうございます。

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