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死神になります5

脱字報告ありがとうごいます。


評価もいただきましてありがとうございます。


超やる気が出ました!頑張って書きますのでこれからもよろしくお願いします。

 ソクラテスの港からバンガロウ島には三日あればたどり着ける。しかし、バンガロウ島からソクラテスの港に向かう際、倍の時間がかかる。さらにシーサイドかリバーサイドを経由しなければならない。


「海流はいつも通りか」


 ベンチャイスの海流は他の国と違い、渦を巻きながら船の航路を変えることがある。そのため、バンガロウからは真っ直ぐ、ソクラテスの港に向かう事は出来ない。もし船の航路を変えることができれば、戦わずに相手を惑わすことができる。


「アク様、準備が整いました」


 アクの後ろにルーが現れる。アクの護衛兼伝令役としてルーとアンリに控えてもらっている。残りの五人の少女達には魔法によって、雨と霧を発生させるための装置を作ってもらった。


「よし、確認しに行こう」


 アクが軍基地にしているセントハルク邸を出ると街全体に雨雲が発生していた。雨雲を待って作戦を変えるわけにはいかない。そのため熱した大気と冷気をヨナとサーラに作ってもらい、ピピンに雨を呼ぶ機械を発明してもらった。ハナには酸素を発生させる木をたくさん育ててもらった。

 最後に仕上げとしてシーラに雲を移動させてもらう為、風の魔法を使ってもらう。もちろん魔法をる使える者は手助けをして、どんどん雨雲を作り、沖へと流していく。


「ご主人様?どうして今回は七色の霧を使わなかったんですか?」

「場所だな。海だから風が強く霧は扱い難い。さらに風に乗せて使う事も考えたが、相手の数に対して俺一人の魔法では追いつかないと思ったからだ。それならばみんなに協力してもらって、この雨を発生させる。雨が降れば海は荒れて、荒れた海を抜けた先に霧を発生させることで相手を攪乱できる。中には海流の流れでシーサイドやリバーサイドに流れてしまうモノも出てくると読んでいる」

「上手くいきますか?」


 アクが魔法を繰り返し発動していると、ルーが側に来て質問してくる。


「うまくいくかじゃなく、上手く行かせるんだ」


 アクの言葉に、強い決意が滲み出ていた。


「ご主人様?」

「バンガロウの地を踏ませるわけにはいかない」


 ルーはアクの顔を見て、恐いと思った。


ーーーーーーーーーー


「出港」


 ガンドルフ・ボルナレフの掛け声により、巨大なガレオン船が出港する。一隻あたり千人を乗せることができるガレオン船六十隻が出港の合図とともに港を立つ。ガレオン船ばかりなのは、ガンドルフ・ボルナレフがガレオン船を好んだためと思われる。

 ちなみにコウガとテリーの部隊にもガレオン船があるが、指揮官が乗るための数隻でほとんどは、キャラベル船などの小型船を織り交ぜた構成になっている。

 ガンドルフ・ボルナレフがもっと賢く狡猾な男であれば策を行使したかもしれない。彼は武術や陸戦では確かに強かった。そのため作戦など必要としない男だった。


「いよいよですね。ガンドルフ様」

「うむ。天候はあまり良くないが、いつまでも天候などに惑わされて居られぬ。三日で着く船旅など、つまらぬものだ」

「そうですね。我々はただ船旅を楽しめばいい」


 副官を務めるミッシェル・ベルドランがガンドルフの言葉に楽しそうに頷き返す。彼らにとってバンガロウに行くことは難しいことではなく、ただの通り道であり本命はアース大陸の亜人達なのだ。


「艦長、雨が降ってまいりました」


 ガンドルフを艦長と呼ぶのは、ガレオン船パンドラの航海士を務めるシーメルトだ。シーメルトは驚いた様子でガンドルフに声をかける。


「雨か、仕方あるまい。ここ最近どんどん雲が増えていた」

「そうなのです。海でこんなに集中して雲が集まるのは珍しい」


 航海士のシーメルトは不自然な雲を睨みつけ唸っていた。この雲が嵐を呼ぶのか?それとも霧になるのかわからない。


「そんなことはどうでもよい。所詮は一本道である。そのまま進めば問題ない」


 ガンドルフは何度か船に乗り、ベンチャイス連邦に来たことがあるため多少の自信もあった。


「わかりました。艦長の判断に委ねます」


 シーメルトはしぶしぶ雲を睨み付けて頷いた。シーメルトの不安は的中し、雨はどんどん強さを増していく。、嵐となり波は高く船は大揺れに揺れた。


「どうにかできないのか、航海士?」


 シーメルトを睨みつけるガンドルフにシーメルトは溜息を吐きながら全力で海を読む。各ガレオン船に航海士はいるが、シーメルトはもっとも優れた航海士なのだ。どうにかこうにかパンドラ号を沈めさせず、嵐を抜け出すことに成功した。


「よくやった」


 雨をやっと抜けた時、船団の数は半分まで減っていた。


「どうなっている。ただの嵐であろう?こんなにも海が荒れることがあるのか?」

「海は様々な顔を持ちます。我々が生きて居られただけありがたいです」

「仕方あるまい。まだ三万ほどの軍勢がいる。戦闘に支障はあるまい」

「本当によろしいので?」


 ミッシェル・ベルドランが不安気にガンドルフを見つめる。


「まだ沈んだかわからぬ。我々は我々の任務を全うするだけだ」

「そうですね」


 ミッシェル・ベルドランはガンドルフの決断を初めて信じられないと思った。

いつも読んで頂きありがとうごさいます。

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