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閑話 その他の勇者達27

今日は短めです。投稿できたら夜にもう一話投稿頑張ります。

 着飾られた二人の美女、白いドレスを着た神代カミシロ 火鉢ヒバチ、白無垢を着た安城アンジョウ 風香フウカ、二人は大魔王の前で膝をついている。


「本当に俺の嫁になるのか?」


 大魔王の方が困惑したように二人に問い返す。ちなみにドレスは風香が持ち込んだものである。この暗黒大陸横断が決まった時から準備していた。自分達よりも強い殿方に会える日を求めて用意したのだ


「はい。私、安城 風香はあなた様のモノです」


 風香が演技口調で大魔王の問いに答える。


「私は貴殿に負けた。敗者は勝者のモノだ」


 言葉は違うが、火鉢も大魔王の妃になることを承諾している。二人は共に大魔王の妃になることを望んでいた。


「わかったよ。俺も男だ。こんな美女にここまでされたら断れない。好きにしろ」


 大魔王は二人からの圧力に負けた。戦闘や知略にかけては負ける気はないが、こと恋愛においては大魔王は一人の女性しか経験がなかった。正直、童貞ボーイと変わらないぐらい弱いのだ。


「本当にこれでよかったのだろうか?」


 参列者となったエルフェルトは横に並ぶ近衛兵達を見る。彼はこの暗黒大陸で火鉢こそが、大魔王になると思っていた。それぐらいの強さは火鉢に備わっていたはずだった。

 しかし、本当の大魔王の強さは想像以上に強力で恐ろしいものだった。いくら修練を積んでも大魔王の位には到達できない。到達できる者達がいるとすれば、それは勇者達しかいない。

 目の前に座る大魔王ですら、勇者召喚が初めて行われた際に、召喚された初代召喚者だと言うではないか、自身がいくら鍛錬を積んでも召喚される者達の異常な強さには、勝てないと実感してしまった。


「お二人が決めたことだ。これで私たちの役目も終わる」


 副隊長を務めているレイチェルは、今までの旅が無駄だったのか考えていたが、考えるのをやめた。ここで考えても仕方ない。何よりあの二人のおかげで他の魔王を倒すことができた。そして、ルールイスへの侵攻は完全に止まった。


「そうなのかもしれないな」


 エルフェルトは寂しく感じていた。しかし、本当にこれでよかったのだろうか、考えることをやめられなかった。


 それは簡単な誓いの儀式、大魔王の前に二人の美女が膝を突き、両手を胸の前で組む。大魔王は二人の前に近づき、一人ずつに誓いのキスをする。


「では始めようか」


 大魔王が二人に言うと、二人は頷く。


「風の精霊よ。我と共に現れよ」


 初めに風香が呪文を唱えると風香の前にザキエルと言う天使が現れる。


「火の精霊よ。我の前に現れよ。」


 続いて火鉢が唱えるとそこにはウリエルと呼ばれる天使が現れる。


「そうだ。それがお前たちの精霊。まぁ天使か。名前を決めれば契約完了だ」


 大魔王の指導の下、二人は精霊を召喚した。


「我の前に現れよルーシー」


 大魔王の前に現れたのは十二枚の羽を持つ天使だ。右半分は白、左半分は黒の羽を持っている。


「風の天使ちゃんやし、洋風がいいやんな?じゃ~ツーナちゃんでどうやろ?」

「そうだな。お前は日景だ」


 風香はよくわからない理由で、火鉢の方は日本風に、名前付けを終えた。


「契約完了だな。これでさらにお前達は強くなる。俺の妻となるなら俺を倒してみせよ」


 それは大魔王からの挑戦状だった。妻にする言葉とは思えないが、その言葉を聞いて二人は嬉しそうな顔をしていた。


「ええ。必ずあなたを膝つかせてみせるで」

「お前は私が倒す。いや、私達が倒す」


 火鉢は日景と名前を付けた天使を撫でながら大魔王に宣言する。近衛兵達は何をしているのかわからなかったが、三人の間で何かしらの契約が交わされたのは理解できた。


「これは本当に結婚式なのだろうか?」


 傍目に見ていたエルフェルトが声を出すと、近衛兵達も同じように思ったのか首を傾げる。

いつも読んで頂きありがとうございます。

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