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後継者争い

「ギルシュ兄上よぉ、アンタじゃこの家は任せられねえ。だからこの心優しい俺様が継いでやるからありがたく思えよ?」

「おいアイザー。父上の遺言で跡を継ぐのはこの俺だったはずだ。まさかお前、父上の遺言に逆らうつもりか!?」

 憤るギルシュに対して、アイザーは部下に袋を持ってこさせた。

「おいアイザー。このバラバラの人骨は誰の物だ? 焦げたような匂いがするのだが?」

「誰でしょうねー? うーん、俺様頭悪いから分からん」

「とぼけるな! 貴様! 父上の墓を掘り荒らしたのか!?」

 ギルシュを無視してアイザーはその頭蓋骨を手に取った。

「遺言つったって、言った奴はもう死んでるじゃねえかよ? なあ父上様?」

 そう尋ねながらアイザーはその頭蓋骨でリフティングを始める。

「貴様…… 父上を愚弄するのもいい加減にしろ!」

「兄上様よぉ、少々カルシウム不足の様だなぁ?」

 そう言いながらもアイザーはリフティングを止めようとしない。

 まるでサッカー選手のように、彼の足から頭蓋骨は落ちることをしなかった。

「なあ兄上よ。あんたが今から俺と戦って勝つことができたら父上、いやこのしゃれ頭を墓に埋め戻してやるよ」

「いいだろう。貴様のような屑に負ける俺ではない」

「その代わりー」

 アイザーは言った。

「俺に負けたら、あんたをこの家から無一文で追放する。いいよな?」

「上等だ。貴様の腐った精神。この俺が叩き直してやる」

 自信満々のギルシュに対して、アイザーは狂気に満ちた笑みを浮かべた。




「どうしたんですか兄上様ァ? まだ俺に触れることすらできねえじゃないですか! さっきまでの威勢はどうしたよ」

「くそっ!」

 ギルシュ・ノーランドの持つ異能力は体内から鉄を溶かすほどの熱を発する『放熱体フィーバー・ボディ

 それに対してアイザー・ノーランドは目に見えない正体不明の攻撃を行う『不可視攻撃トリック・アタック

 自分の周囲しか熱を纏うことができないギルシュに対して、アイザーは自分に向かってくるギルシュに執拗な攻撃を加えていた。

「兄上の能力って案外不便だよなー? 熱を放出できるのはいいけどさ、それを操ることはできねえんだからな。そんなんじゃ逆立ちしても俺には勝てねえよ」

「舐めるな!」

 口から血を流しながらも、ギルシュは立ち上がる。

「父上を侮辱されて黙っていられるか……!」

「そりゃそうだよなあ? 兄上は父上に愛されてたからなあ! この俺とは違ってよ!」

 アイザーが叫ぶと、ギルシュの脇腹に見えない一撃が加えられる。

「があっ!」

「ほらほらぁ! 今度は連打ラッシュだ! せいぜい死ぬなよ兄上様?」

 言葉通りに、ギルシュの体に次から次へと見えない一撃が炸裂した。

「あ、アイザー様……」

 彼の部下の一人が小さく呟いた。

「どした?」

「それ以上攻撃を加えるとお亡くなりになってしまいますよ?」

「あーいいよいいよそういうの気にしなくて、元から殺す気だし。お前だって兄上じゃなくて俺を跡継ぎに選んだんだからよ、このくらいのことは目をつぶって欲しいよな?」

 兄を殺すことに、アイザーは何のためらいも感じていないようだ。

 彼は見えない攻撃を受け続ける兄を、笑みを浮かべながら見ていた。

「し、しかしアイザー様! 確かに私どもはギルシュ様より才能のおありのアイザー様が跡を継いで下さることを望んでおりますが……」

「なら文句を言わないの☆ 分かったかな?」

「は、はい……」

 部下は消えるような声で答えた。

「そうだそうだ、兄上に言い忘れていたことがあった」

「何だ……」

 顔が腫れ、骨もいくらか折れているはずのギルシュは呟いた。

「兄上が危機なのに、直属の部下とかはどうして駆けつけないんでショーね? 俺不思議で仕方がないわ」

「ま、まさか貴様!」

「俺の母上を毒殺したお前の母親はどうしてお前を助けようとしないんでしょうか?」

「貴様ァァァァァァァァァァァァァ!!」

 全てを理解したギルシュはアイザーに向かって突進する。

「バァーカ、俺に近づくことなんて不可能なのによ」

 アイザーが指を鳴らすと、ギルシュの腹に今までとは比べ物にならない一撃が叩き込まれた。

 声を上げることもできず、ギルシュはその場に崩れ落ちた。



「さーてお前ら、このでっかいごみの捨て方は何がいいと思う?」

 意識のないギルシュを指差しながらアイザーは部下達に問う。

「1、窓から落とす。 2、河にポイ捨てする。 3、生き埋めにする。1なら右手、2なら左手、3なら両手を挙げろ」

 部下達の選択は様々だったが、一番多かったのは2であった。

「運が良かったねー兄上。あ、もう家督は俺のものか。なら俺に負けたごみ上だなハハハ!」

 アイザーは笑いながらギルシュの頭を踏みつけた。

「外は雪が降ってるからあんま寒くはないかもな。河が凍ってないことを祈れよごみ上? そしたら死亡確定の捨て方になっちまうからなぁ?」

「早速実行しますか?」

 部下の一人がアイザーに尋ねた。

「うん。こいつの血臭でこの部屋臭いからさあ、早く捨ててってくれよ。 あ、そういえばこの部屋も血だらけだな。 血臭が俺の体に染みこんでるかも知れないからシャワー浴びなくちゃ。 ハハハハハハハハハハハ!」

 

 高笑いをあげながらアイザーはシャワールームへと向かっていった。


 

 


 


 


 『異星人VS人類』に続いて新しく書き始めました。 よろしくお願いします。 差し出がましいですがよかったら評価とか感想とか付けてくれると本当に嬉しいです!

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