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2/2

結果オーライ

 朝、目が覚めると天井が違った。


 木の板だ。

 ちょっと歪んでて、ところどころ隙間がある。


「……あー、そっか。異世界か」


 呟きながら、体を起こす。


 昨日のことを思い出す。


 空から落ちて、村の人たちに囲まれて、魔物を一発で吹き飛ばした。


「いや、マジでチートじゃん」


 軽く笑う。


 力を手に入れるって、こういうことか。


 ゲームみたいで、ちょっと楽しい。


 外から声が聞こえる。


 ざわざわしている。


「……ん?」


 窓の方に歩いて、外を覗く。


 人が集まっている。


 しかも、様子がおかしい。


「なんかあったのか?」


 軽く伸びをしてから外に出る。


 空気が、違う。


 昨日とは明らかに違う、重たい空気。


 人の間を抜けていく。


 誰も話していない。


 ただ、同じ方向を見ている。


「……うわ」


 思わず声が漏れた。


 地面が抉れている。


 家が、なくなっている。


 瓦礫の山。


 その中に、人がいる。


「……あー」


 頭の中で、昨日の光景が繋がる。


 範囲、ちょっと広げたな。


 あの時。


「やっぱ結構巻き込んじゃったか」


 思ったより広かったらしい。


 まぁ、でも。


 魔物はちゃんと消えた。


 それは間違いない。


「……仕方ないだろ」


 ぽつりと呟く。


 範囲攻撃なんだし。


 多少の巻き込みは、どうしようもない。


 むしろ、あれだけ一気に片付いたんだから効率はいい。


 そう考えれば――


「お前……!」


 急に声をかけられる。


 振り向くと、男が一人、こっちを睨んでいた。


 顔が歪んでいる。


 怒りか、悲しみか、よく分からない。


「お前がやったのか……!」


「ああ、俺だよ」


 特に隠すことでもない。


「すげーだろ? 一発だぜ」


 軽く笑う。


 だが、相手は笑わない。


「人が……死んでるんだぞ……!」


 震えた声だった。


「……あー」


 そっちか。


「でも、魔物は全部倒しただろ?」


 それが一番大事じゃないのか?


 被害を出さずに全部倒せるなら理想だけど、そんな都合よくいくわけない。


「結果的にはプラスじゃん」


 そう言うと、男の顔がさらに歪む。


「ふざけるな……!」


 怒鳴る。


 周りの視線も一気に集まる。


 なんだよ。


 そんな怒ることか?


「いや、だってさ。あのまま放ってたらもっと被害出てたろ?」


 冷静に言ってるつもりだ。


 でも、誰も納得してない顔をしている。


 意味が分からない。


「……なんでそんなことが言えるんだ」


 ぽつりと、別の誰かが呟いた。


「ん?」


「なんで……そんな風に考えられるんだ……」


 責めるような声。


 でも、正直。


「いや、普通じゃね?」


 それが本音だった。


 全体で見たら被害は減ってる。


 それでいいじゃん。


 そう思う。


 思ってしまう。


 周りの空気が、さらに冷たくなる。


 さっきまでの“助かった”って空気は、もうどこにもない。


 全員が、こっちを見ている。


 その視線に、少しだけ違和感を覚える。


「……なんだよ」


 居心地が悪い。


 助けた側だろ、俺。


 なんでこんな目で見られてるんだ。


「……まぁいいか」


 深く考えるのはやめた。


 考えても仕方ない。


 とりあえず、次だ。


 もっと強くなれば、もっと上手くやれるかもしれない。


 それでいい。


「次、どこ行けばいい?」


 誰に聞くでもなく、そう呟く。


 答えは返ってこない。


 ただ、沈黙だけが残る。


 それでも気にしない。


 どうせそのうち慣れる。


 こっちも、あっちも。


 そういうもんだろ。

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