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『心を閉ざした未亡人受付嬢は、大型犬系年下冒険者に溺愛される』  作者: 菫


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■ 本気プロポーズ ―― 静かな決意


■ 本気プロポーズ ―― 静かな決意



 夜のギルド本部は、珍しく静かだった。


 昼間の喧騒はすべて消え、残ったのはランプの淡い光と、俺の足音だけ。


 レティシアはカウンターに座って帳簿を閉じている。


 彼女はいつも通り、冷静に見えるけれど、微かに指先が震えているのを俺は知っている。


「レティシアさん」


 静かに呼ぶ。


 振り返った彼女の目が、すぐに俺に注がれる。


 笑顔はない。


 でも、瞳の奥に、俺を待っていた光があるのが分かる。


「はい、ルーク」


 その声に、胸が高鳴る。


 深呼吸を一つ。


 もう、冗談も、からかいもいらない。


 今夜は、真剣だ。


「……俺、言います」


 少し声を震わせながらも、まっすぐ彼女を見つめる。


「俺は、レティシアさんと、ずっと一緒にいたい」


 言葉を飲み込まない。


 真っ直ぐに。


「守りたい、支えたい、離したくない」


 手を伸ばす。


 指先が、そっと彼女の手を包む。


「だから……結婚してください」


 静かだが、言葉の重さは凄まじい。


 彼女の瞳が一瞬揺れる。


 心臓が跳ねるのが分かる。


「……ルーク」


 息が詰まる。


 俺はゆっくり膝をつき、彼女の手を両手で握る。


「俺はもう、あなたを失いたくない。過去の誰かに裏切られたように……なんてことは、二度とさせたくない」


 胸の奥が締め付けられる。


 言葉を紡ぐたびに、心が震える。


「あなたと笑いたい、あなたと悩みたい、あなたと生きたい。全部一緒に」


 指先に伝わる微かな力。


 彼女が、息を止めている。


「……いいの?」


「……はい」


 短い返事に、心臓が爆発しそうになる。


「怖くない?」


「……怖くないわ」


 笑わない。


 でも、瞳が潤んでいる。


「本当に?」


 頷く。


「本当です」


 その瞬間。


 俺は彼女を引き寄せ、そっと抱きしめる。


 ぎゅっと。


 彼女の温もりが、胸に染みる。


 耳元で囁く。


「……これからは、離さない」


 小さく、彼女も俺を抱き返す。


 静かな夜に、ふたりの鼓動だけが響いた。


 長い試練の末。


 ようやく手にした未来。


 怖さも、過去も、もう重くない。


 ただ、互いを信じる力だけが、ここにある。


 握った手を離さず、俺は誓った。


 ――この人を、絶対に守る。

 そして、隣で共に生きる。


 それだけで、世界はもう、充分に輝いていた。



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