#11 王都
「ふあぁぁ……」
欠伸を噛み殺しながら、ハルトは王都の門前にできた長い列に並んでいた。
気づけば4時間経っていて、もう午前2時だ
あたりは一面真っ暗で唯一眼の前に街の光が見えるだけ
ようやく順番が回ってきた。
「身分が確認できるものを」
低い声に、眠気が一瞬で引く。
「はい」
差し出したギルドカードが、水晶にかざされる。
淡い緑色の光が浮かび上がった。
「問題なし。通っていいぞ」
「ありがとうございます」
石造りの門をくぐった瞬間、王都の空気が流れ込む。
広い石畳、並ぶ街灯、すでに動き始めている商人たち。
(……まずは宿だな)
歩くことしばらく。
屋根の上で風見鶏がゆっくりと回る、三階建ての宿が目に入った
「いらっしゃいませ!風見鶏亭へようこそ!」
扉を開けると、元気な声が飛んでくる
「宿泊は1泊銀貨5枚です!」
深夜だって言うのに、眠気の欠片もないな
「えっと、7泊お願いします」
「かしこまりました、代金が金貨3枚と銀貨5枚になります!」
「これで」
俺は大金貨を一枚出した
受付の女の子の動きが少し止まり、目を見開いたがすぐ動き出した
「えっと〜金貨6枚と銀貨5枚のお返しです。こちらがお部屋の鍵になります。ごゆっくりどうぞー!」
元気な女の子だったな。
そんなことを考えてベッドで寝転がっていたら、いつの間にか寝てしまっていた
◆
「う〜ん......よく寝た!」
時間は8時、俺はベッドの上で伸びをしながらいつもの朝を過ごしていた
「失礼しまーす!朝食のお時間ですよ!」
「あ、わかりました」
「失礼しました!」
朝から晩まで元気だなぁ
そう思ったが、よく見ると目の下にクマができていた
「う〜ん、おいしい!」
朝ごはんは、ハムサンドと卵焼き、コーンポタージュだった
特に卵焼きが美味しかった。
口の中に広がる出汁の風味に、卵の甘さが噛み合って最高に美味しかった!
「ごちそうさまでした」
さて、今日はなにをしようかな
とりあえず、王都を探索かな
俺は、とりあえず冒険者ギルドへ向かうことにした
「まったく、どの街でもギルドの扉は重いな」
そんな重い扉を開けて、中に入るとやっぱり強面の冒険者に睨まれる。
そういえばだが、ケルベロスとグリフォンの素材を出したことでGランクからFランクを飛ばしてEランクへ昇格していた
「一つくらい依頼受けないと」
そういえば、一定期間に依頼をいくつか受けないと、ギルド登録が抹消されてしまのだった。
「え〜と、いい依頼は.....ん?なんだこれ」
関係なさそうなポスターがギルドの依頼掲示板に貼られてあった。
どうやら、王立魔術学院とやらのポスターで、そろそろ入試試験があるらしい
「まぁ、俺には関係ないか」
選んだ依頼は、迷い猫探しだ。報酬は少ないが、町を散策するのにちょうどいいだろう。
迷い猫の特徴は、真っ白な子猫でほんの少しだけ魔力を帯びているとのことだ。
まず探したのは、商業区と呼ばれる区域だ
ここには、露店や商店が立ち並んでいて、目撃情報も比較的取りやすかった
「う〜ん、目撃されてはいるのに見つからない....別の区域に移動したのかな?」
次に来たのは、貴族区や一般区と呼ばれる、家が立ち並んでいるエリアだ
まずは貴族区に行ったが....
「止まれ!!ここから先は貴族区だ。庶民が行ける場所ではないぞ」
「あ、すいません。それと、一つ聞きたいことがあるんですけど....いいですか?」
「なんだ?」
「迷い猫....というか、白い子猫を見ませんでしたか?」
「ふん、この厳重な警備で入れるとは思わんがな。とにかく、速く立ち去れ!!!」
このように、話は聞いてくれるものの門前払いだった。
そして庶民区では、見かけたという話すら聞かずに工業区へ、向かうこととなった。
「白い子猫?あぁ、さっきまで屋根の上にいた気がするな」
「ありがとうございます!」
「子猫なら、さっきまでうちの工房の中にいたよ。で、学院の方に抜けていったよ」
「なるほど...ありがとうございます」
と、多くの人が見かけたようだった。そして、学院の方に抜けていったという証言をもとに、王立魔術学院へ向かうことにした
魔力を帯びている、とのことで魔力探知で子猫を探そうとしたが、おそらく学院の結界の魔力でうまく探すことができなかった。
「ほんとに、どこにいるんだ....って!!いたぁぁああ!」
いた場所は、学院の高い塀の上だった
子猫は、その黄金のような瞳で学院の方を見つめていた
どうやって捕まえよう....と、考えていたら自分から下りてきた。
だが、俺の目はその真っ白な建物に吸い込まれていた
「......ちょっとだけ.....行ってみたいかな」
そう考えてしまった




