7. ゼロ反響初発動
地下ドームの奥、赤い侵蝕波が微かに揺れ、ホログラムの映像が歪む中、灯は深く息を吸った。都市全体の残響波が頭の中でざわめく。これまでの訓練、心理戦の経験、御影の教え――すべてが今、ゼロ反響の初発動のために重なる瞬間だった。
「行くぞ」灯の声は低く、確信に満ちていた。ゼロ能力を最大限に活かし、都市の残響波を逆手に取る。壁面の微細な振動、配管を伝う残響、ホログラムの反射光――すべてを読み取り、侵蝕波の動きを自らの手で操る感覚が灯を包む。
ルカも隣で息を整える。捕食能力を使い、赤い波の一部を吸収しつつ、反射波の制御に協力する。二人の能力が融合すると、地下ドーム内の残響波が鮮明に変化し、侵蝕波が一瞬静止したかのように見える。
「これが……ゼロ反響」灯の心に確信が芽生える。自分の能力が都市全体の波を操作できることを、初めて実感した瞬間だった。ホログラムや壁、配管を利用した心理戦の基礎は身についた。だが、ゼロ反響の真価は、これから都市全体に応用されたときにこそ試される。
手先が再び現れ、心理戦が開始される。だが今回は違う。灯とルカ、そしてゼロ反響の力によって、侵蝕波と残響が敵を包み込む。敵は翻弄され、反応が遅れ、心理的に追い詰められていく。
都市全体の残響が連動し、地下ドームの迷路が一瞬の静寂に包まれた。赤い侵蝕波の中心で、灯は確信した――自分はこの都市で、そして心理戦で、唯一無二の存在になれると。
静寂の中、ルカが微かに笑う。「やっと……力を実感できたね」。灯はうなずき、これからの都市規模の戦いに向けて、ゼロ反響能力を完全に掌握する覚悟を決めた。その瞬間、地下ドームに新たな残響が忍び寄る気配があった。心理戦はまだ終わっていない。




