4. 地下ドームの迷路
地下ドームの入口をくぐると、外の喧騒はまるで別世界のように遠くなった。冷たい空気と微かな湿気が、古い配管とホログラムが複雑に交差する迷路を包み込む。灯とルカは慎重に歩を進める。
「ここも残響に影響されている……」灯はつぶやき、ゼロ能力で残響波の異常を読み取る。迷路の中のホログラムや壁の振動が微細に変化し、侵蝕波の影響が反射している。都市全体の心理が、この地下迷路にも伝わっているのだ。
ルカは捕食能力を使い、赤い侵蝕波を吸収しながら進む。だが彼女の体力と精神力は徐々に消耗する。侵蝕波は予測不能な動きで迷路を満たし、二人に試練を与え続ける。
「灯、ここからどう突破する?」ルカの声には緊張が混じる。灯は周囲の残響を分析し、壁面や配管を反射板として利用する戦術を即座に組み立てる。心理戦の一環として、迷路内の残響波を逆手に取り、侵蝕波の動きを封じるのだ。
だが、迷路の奥から微かに人影が現れる。残光編集者の手先の襲撃者だった。静寂を切り裂くように、心理戦が始まる。灯とルカは互いに目配せし、無言の合図で連携攻撃を開始する。
侵蝕波が反射し、ホログラムの光が揺れる。地下ドーム全体が戦場となり、三層カウントの緊張感が二人を包み込む。ゼロ能力と残響捕食能力の連携で、初めて都市規模の心理戦の縮図がここに現れる瞬間だった。
「ここを抜ければ……都市の真実に近づけるかもしれない」灯は低くつぶやく。ルカはうなずき、迷路の先を目指す。地下ドームの迷路は、単なる通路ではない。心理戦の訓練場であり、残響都市の複雑さを象徴する舞台でもあるのだ。




