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8. 残響捕食の闇

地下ドームの薄暗い通路で、ルカは微かに息を荒げていた。赤い侵蝕波を吸収するたびに、彼女の体と心に負荷がかかる。捕食能力――便利だが、代償は大きい。灯はその様子をじっと見守り、都市全体の残響波を読むことに集中していた。


「大丈夫か、無理はするな」灯の声に、ルカは微かに笑みを返すが、瞳の奥には疲労の色が見える。心理戦において、能力の代償は戦略に直結する。ルカが倒れれば、都市規模の残響戦術は成立しない。


侵蝕波が再び動き出す。壁面や配管を通じて、残響が迷路全体に広がる。ルカは能力を調整しつつ、波を吸収して敵の心理を乱す。灯はゼロ反響を微調整し、残響波の逆流で敵の動きを封じる。二人の連携は完璧に近いが、ルカの心身には明確な負荷が蓄積していた。


「もう少し……耐えられるか?」灯が尋ねると、ルカは力強くうなずく。「やらないと……都市が守れない」その言葉に、灯も決意を新たにする。心理戦は単なる頭脳戦ではなく、能力者の身体的・精神的限界を試す戦いでもある。


地下ドーム内のホログラムが微かに光り、侵蝕波の動きが鮮明になる。灯とルカは残響波の波形を読み、心理的優位を確立する。赤い侵蝕波が都市の奥へと押し返され、手先は混乱し、心理戦の主導権は二人に傾く。


だが、静寂の中で微かに異変を感じる灯。ルカの能力には限界がある。捕食の代償が精神に影響を及ぼせば、次の心理戦で危険を招く。地下ドームの迷路は安全地帯ではない――残響都市の闇は、能力の代償と共に忍び寄っていた。

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