表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/55

Act.9『ステータスの確認と、失敗』



 十二時過ぎ頃に帰宅した私は、装備を解除するとまずトイレとお風呂をすませ、アイテムボックスから取り出したお茶を飲んで休憩。

 コタツにもぐってしばらく寝転がっていたが、だんだん回復してきたのでその格好のままステータス画面を開いた。


 ――――――――――――――――――――――


 プレイヤー名 : Rx(レクス)


 ランク : 7


 武器:第3段階 タイプ『ライフル/黒』

 防具:第3段階 タイプ『敏捷・ステルス優先/黒』


◆武器スキル


●『ライフル』レベル6

  →『鷹の目』レベル4


◆防具スキル


●『消音』レベル6

  →『隠蔽』レベル2


◆装備品

・防毒のペンダント(毒状態30%防止)

・隠密の腕輪(『隠密』消費精神力20%軽減/防御力アップ (小))


◆特殊スキル


●『氷魔法』レベル1

  →『アイスアロー』レベル1

  →『アイスフィールド』レベル1

  →『アイスウォール』レベル1


◆補助スキル


●『隠密』レベル8

  →『心眼』レベル6

    →『遁行』レベル3

    →『鑑定』

  →『隠蔽』レベル4

    →『分身作成』レベル1


●『跳躍』レベル8

  →『二段跳躍』レベル1

  →『滞空延長』レベル1


●『スキル探知』レベル1


●『裁縫』レベル5

  →『傀儡作成』レベル2

    →『仮想人格憑依』レベル1

    →『傀儡管理』レベル1

  →『護符作成』レベル1

  →『アイテムドロップ率アップ』レベル5


●『調理』レベル4

  →『特殊効果付与』レベル2

  →『アイテムドロップ率アップ』レベル4


 ――――――――――――――――――――――


 おお、スキルレベルが全体的に上がっている。

 それに先ほどの宝箱アイテムからゲットしたらしい『氷魔法』が、「特殊スキル」のカテゴリーに入っている。

 どうやら私は本当に魔法を使えるようになったらしい。


「魔法。魔法かー……」


 ゲームの魔法やテレビアニメの魔法少女、マンガや小説、映画に出てくる魔法使い。

 考えてみると色々見てきているが、私にはとくにそれらに憧れたり羨んだりした記憶はない。

 なので手に入れても、すごく嬉しい、とかは無いのだが、単純に攻撃手段が増えたことは良かったと思う。


「とりあえず使い方を把握しないとな」


 うむ、と頷いて、スキルの説明を読む。


 『アイスアロー』は頭上に氷の矢が三本出てきて、指示したところに飛ぶ。

 指示は魔法を発動させながら攻撃対象を見るだけ。


 『アイスウォール』は縦横2mほどの氷壁が出る。

 厚さや強度はレベル1だとまだあまり無さそうだが、これは「この辺に出したい」と考えた場所に出せるようなので、防壁にする他にも離れた場所にいる敵の群れの中に出して分断、などの使い方ができそうだ。


 『アイスフィールド』は自分を中心に半径10mの地面を円形に氷結させ、その上にいるモンスターすべてにダメージを与える。

 さらに、凍りついたフィールドの上にいる間、ずっと冷気ダメージが入る。

 凍結させたフィールドは10分で元に戻るが、それより前にスキル解除で戻すこともできる。


「どれもかなり使えそうだな。次にダンジョン行ったら使ってみよー」


 そうして魔法の確認をした後は、加工屋で今日手に入れた素材からアクセサリー作り。

 初めて入手したアイテムもあるので、前より作れるアクセサリーの種類が増えているのが嬉しい。

 どれにしようかな、と楽しく悩みながら、三つを選ぶ。


 一つ目は移動速度を少し上げる『俊敏のイヤーカフ』。

 二つ目は攻撃力アップの『攻撃の指輪』。

 三つ目はダメージを受けた時、ランダムで跳ね返す『反射のアンクレット』。


 完成品は、忘れないうちにステータス画面から装備に追加。


 ちなみに攻撃力アップは武器攻撃の威力アップになる仕様だそうで、つまり『攻撃の指輪』を装備すると腕力が上がってライフル狙撃の威力もアップするらしい。

 よくよく考えてみると「腕力が強くなることが、なぜライフル狙撃の威力アップに繋がるんだ?」という謎仕様なのだが、まあいいか、で終わった。


 後は夕ご飯を用意して食べたり、雪柳とオモチャで遊んだり、道具屋で傀儡作成用の素材を購入したりしてから、ぐっすり寝た。



 ***



 翌日。

 当たり前のように筋肉痛がきた。

 今回のは主に足。


「うぅぅ……、足が、足がぁ~……!」


 壊れかけのロボット再び、である。


「プレイヤー装備になると疲れとかマジであんまり感じんくて、加減が分からんのだよな~。でも使った筋肉の疲れは筋肉痛として次の日確実に来るという地獄……。うう……、引きこもってから運動なんてろくにしてないから、しょうがないんだけど。ダンジョン行くたびにこうなるのは、ヤだなぁ。……次からはもっと短時間で切り上げるようにして、しばらくは身体づくりを優先するか~」


 ため息をついて、今日は休養の日にしよう、と決めた。

 そして、朝ご飯の時に習慣でつけたテレビに流れた映像を見て、ポカンと口を開けて停止することになった。


「今の映像、よくご覧いただけましたでしょうか。途中で中央にノイズが入ってしまっているため、とても分かりにくいのですが、周りにいる作業員の方々が突然同じ方を向いた瞬間、わずかにゲートが開かれたように見えます。ほんの一瞬のことですので、もう一度スローで再生を―――」


 アナウンサーが喋っているが、意味が頭に残らない。

 すべてが右から左に流れていく。


 それほどの衝撃だったテレビ放送中のその映像は、昨日、私が入った浅葱駅前のゲートを監視カメラで撮影したもの。


(「これ私だー! ステルス侵入、めっちゃ失敗してるやん! まさか日本中にあるゲート全部に監視カメラが常設されてるとは……、いや、これは予想しておくべきだったよなぁ……」)


 我に返ってから、しばらく頭を抱えて丸まった。

 が、それどころではない、と気づいて起き上がる。


 スキル『隠密』はレベルが上がるとカメラにすら映らないし、『隠蔽』は私が接触したものの動きや、立てた音を誤魔化してくれる。

 だからこの映像には私の姿は映っていないし、ゲートが本当に開けられたのかも、ノイズのせいでかなり不鮮明だ。


 しかし、それだけの情報でもこのプレイヤーが私だと特定される可能性はある。


 まずはテレビのチャンネルを変えながら先ほど流れた映像以上の情報が出ているかチェックして、ひとまずテレビ放送されるほどのものは他には無い、と判断。

 次にインターネットでニュースサイトからSNSまでチェックして、こちらも私に直接繋がってくるような情報は無さそう、と判断。


 ここまで確認していったん落ち着いたので、すっかり冷めてしまった朝ご飯を食べながら、改めてニュースを見る。


「当番組が独自で入手した情報によりますと、このゲートに無断侵入したとみられるプレイヤーは行政機関に申請していない未登録の人物であると―――」

「行政機関に申請しているプレイヤー達から、次の侵攻がいつ発生するのか分からない今、戦力強化のためにもダンジョン封鎖を早急に解除すべきである、との声が上がっており―――」

「先ほどの街頭インタビューでも指摘されている方がいましたが、現在日本ではプレイヤーであることを申請するかどうかは任意です。今回の無断侵入は、むしろ発見されるのが遅く、すでにダンジョンに入っている未登録プレイヤーは複数いるものと私は考えて―――」


 インターネットで調べている時も思ったが、世間は私が警戒するより私に無関心だった。


 昨日ゲートに無断侵入したプレイヤーのことよりも、「今見つかったの? 遅くね? もっと早いうちからダンジョン入ってるプレイヤーなんて普通にいるだろ。てか政府はいいかげんゲート封鎖解除して、プレイヤーにレベル上げしてもらうべき。第二次侵攻前のレベル上げのチャンス、いつまで潰し続ける気なの?」という意見が多いように感じる。


 このため、今のところ「浅葱駅前のゲートに無断侵入した未登録プレイヤーを探そう」という動きは見られない。


 実際、探して見つけたとしても、何の罪があるの? という疑問もある。

 政府が封鎖した場所への無断での立ち入り、というので罪に問えるかもしれないが、第二次侵攻に対する国民の不安が強い今、それでプレイヤーを拘束して裁くのは難しいのではないだろうか。


 とはいえ、発見されて捕まる可能性もゼロではないので、しばらくは警戒しておくべきだ。

 次にダンジョンへ行く時は、『分身作成』で作ったもう一人の私をコタツに突っ込んでおこう。


 そんなことを考えて、ひとまずテレビを消し、あとは丸一日『傀儡作成』に没頭した。

 ……実益のある現実逃避手段があるって、いいことだよね。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ