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Act.45『火山ダンジョンの踏破』



 7月中旬。


 攻略中の火山ダンジョンで中ボスとエンカウント。

 炎で造られたかのように真っ赤に燃える毛並みをした、フレイムベア。


 力が強いうえに動きが素早かったが、こちらは『水魔法Ⅱ』を習得済み。

 『ウォーターカッターⅡ』で切り裂き、『ウォーターフィールドⅡ』で水没させ、『テラー・フロム・ザ・シー』で即死はさせられなかったが大ダメージを与える。


 魔法はあまり使っていないのでレベルは低いのだが、炎系モンスターに水は効果抜群だ。

 あとはライフル狙撃と炎耐性付きの傀儡で攻撃して仕留めた。


 ちなみに、ちょっとドキドキしながら使った『テラー・フロム・ザ・シー』。

 幸いなことに言葉にできない系の古の混沌が這い出てきたりはせず、普通に巨大サメ、ガルプシャークが出てきて燃えるクマに食らいつき、海の中に引きずり込んでいった。

 即死判定にならなかったので、炎のクマは大ダメージを負いながらも海から戻ってきたが。


 そうして倒したフレイムベアからドロップした素材と魔法書。

 さっそく魔法書を使い、『炎魔法』を取得する。

 手に入れた初期魔法は、いつもと同じように三つだ。


 『ファイアーボール』は火球を一つ放つ魔法で、当たると派手に燃えあがる。


 『ファイアーウォール』は炎の壁を作る魔法で、触れたものを容赦なく燃やすが、地面には焦げ跡すら付かない。


 『レッドフィールド』は使用者を中心に半径10mが炎の海となり、その場にあるものすべてを焼き尽くす。


 使うかどうかは分からないが、ステータス画面に表示される魔法の種類が増えたことに満足を感じた。



 ***



 初めての中ボスとのエンカウントから一週間も経たないうちに、ラスボス戦がきた。


 『天駆』で道をあまり気にせず駆け抜けてきたせいか、巨大化した傀儡達にモンスターを片っ端から狩らせてきたからか。

 草原ダンジョンと進み方は同じだったはずだが、ラスボスが来るタイミングがずいぶん早い。

 いまだにラスボス戦が発生する条件がよく分からないが、せっかく出てきてくれるというのだから、是非とも相手になってもらいたい。


 頭にあるのは相変わらず、


 ――― ボス素材きた!

 ――― 魔法書きた!


 の二つだが。


 ともかくすべての傀儡をアイテムボックスに収納し、一人で真白の濃霧の中を歩いてゆく。

 そうしてたどり着いたのは、あちこちに溶岩の小川が流れ、時おり小規模な噴火を起こす火山群地帯。

 溶岩が冷えて固まった足場は黒々として脆く、一歩踏み込んだだけで細かな土埃が舞い上がった。


 そこへ轟く、足元から響いてきて腹の奥までビリビリと震わせるような重低音の咆哮。


「おー、デカい的だねぇ」


 火山ダンジョンのラスボスは、甲羅(こうら)天辺(てっぺん)に噴火する火山を背負った巨大なカメ。

 背の火山口からドロドロと流れ落ちるマグマが真っ赤に光り、黒い岩で造られたようなカメの威容をぼんやりと照らす。

 怪獣映画のポスターみたいだ。


(「ナビ、『身体能力制限解除(ギアス・リリース)』」)


 今回もEはじゅうぶん貯まっている。

 エリクサー使っちゃうタイプな私は出し惜しみとかしないので、初手から全力で狩りにいく。


 『ウォーターカッターⅡ』で切り刻み、『ウォーターフィールドⅡ』で水没させたところに『サンダーレインⅡ』で追加攻撃。

 自分は『ウォーターフィールドⅡ』や『テラー・フロム・ザ・シー』を発動する時以外は地面に降りず、『天駆』で常に巨大カメの死角をキープ。

 『跳弾』で急所を狙ってライフルのトリガーを引く。


 そうして10分もかからずラスボス戦は終了した。

 半透明の破片となって砕け散る巨大カメを見おろしてスタンッと着地。

 視界の端を流れていくアナウンスを眺める。


――― ドロップアイテム『マグマタートルの甲羅の欠片』取得

――― ドロップアイテム『マグマタートルの核』取得

――― ドロップアイテム『マグマタートルの肉・上』取得

――― ドロップアイテム『魔法書「炎魔法・中級編」』取得

――― 7800E取得


 次いで、どこからともなくふわふわ落ちてきた赤い宝石を手のひらで受け止めた。


――― ダンジョン『ガーネットの塵路(じんろ)』踏破の証『ガーネットの紋章』取得


 燃える炎の形をした宝石を、またもや腹パカしてきたナビの、同じ形の凹みに嵌め込む。

 これで踏破したダンジョンは四つ。

 次に行くダンジョンはもう決まっている。


 常盤市の植物園前ゲート。


 次はどんなところかなぁと楽しみにしながら、ナビの『転送』で帰宅した。



 ***



 家に帰ってから使った魔法書で取得した新魔法は一つ。


 『ファイアー・トルネード』は使用者の前に巨大な炎の渦を発生させる魔法。

 近くにいるものは次々と吸い込まれ、逃れられない渦の中で骨まで焼き尽くされる。

 炎が尽きるまで生き延びられるものは少ない。


 という魔法。

 即死系ではないがそれに近い、これまた凶悪な魔法だった。


 そうして新魔法をチェックするついでに、現在のステータスを見る。


 ――――――――――――――――――――――


 プレイヤー名 : Rx(レクス)


 ランク : 4


 武器:第9段階 タイプ『ライフル/黒』

 防具:第9段階 タイプ『敏捷・ステルス・防毒優先/黒』


◆武器スキル


●『ライフル』レベル10

  →『鷹の目』レベル10

  →『追尾』レベル3

  →『跳弾』レベル6


◆防具スキル


●『消音』レベル10

  →『隠蔽』レベル10

  →『静寂迷彩』レベル8

●『高速移動』レベル9

●『防塵』

●『防毒』レベル7


◆装備品

・空色羽兎のイヤーカフ(跳躍高度アップ (大))

・蒼風のペンダント(移動抵抗軽減 (大))

・妖精の腕輪(『隠密』と『隠蔽』消費精神力80%軽減)

・破砕の指輪(攻撃力アップ (特大))

・鏡迷宮のアンクレット(被ダメージ反射 (発動確率・大))


◆特殊スキル


●『冥道視眼』レベル6


●『縮地』レベル3


●『氷魔法』レベル5

  →『アイスアロー』レベル4

  →『アイスウォール』レベル5

  →『アイスフィールド』レベル4


●『緑魔法Ⅱ』レベル4

  →『チェーンシードアローⅡ』レベル4

  →『ドレインフラワーⅡ』レベル4

  →『グラスフィールドⅡ』レベル2

  →『ガーデン・オブ・ジ・エンド』


●『水魔法Ⅱ』レベル3

  →『ウォーターカッターⅡ』レベル3

  →『ウォーターシールドⅡ』レベル2

  →『ウォーターフィールドⅡ』レベル2

  →『テラー・フロム・ザ・シー』


●『雷魔法Ⅱ』レベル1

  →『サンダーアローⅡ』レベル1

  →『サンダーチェインⅡ』レベル1

  →『サンダーレインⅡ』レベル1

  →『ダンス・イン・ザ・スカイ』


●『炎魔法Ⅱ』レベル1

  →『ファイヤーボールⅡ』レベル1

  →『ファイアーウォールⅡ』レベル1

  →『レッドフィールドⅡ』レベル1

  →『ファイアー・トルネード』


◆補助スキル


●『隠密』レベル10

  →『心眼』レベル10

    →『遁行』レベル10

    →『鑑定』

  →『隠蔽』レベル10

    →『分身作成』レベル1

    →『隠蔽対象指定』レベル7

  →『透過』レベル3


●『跳躍』レベル10

  →『二段跳躍』レベル9

  →『天駆』レベル8

  →『滞空延長』レベル10


●『硬化』レベル1


●『スキル探知』レベル6


●『危険察知』レベル4


●『裁縫』レベル10

  →『傀儡作成』レベル10

    →『仮想人格憑依』レベル8

    →『傀儡管理』レベル7

    →『巨大化』レベル10

    →『縮小』レベル1

    →『能力付加』レベル9

  →『護符作成』レベル1

  →『アイテムドロップ率アップ』レベル10


●『調理』レベル10

  →『特殊効果付与』レベル9

  →『アイテムドロップ率アップ』レベル10


●『エキス抽出』レベル4

●『エキス調合』レベル4


 ――――――――――――――――――――――


 火山ダンジョンを駆けまわっていただけでレベル7まで上がった、スキル『防毒』に目が丸くなる。


「えっ……? あれ……? ナビ、『防毒』のスキルって発動してるだけでレベルアップしてく系か、毒攻撃を防いだ時にレベルアップしてくやつか、どっちなの?」

「〈その情報は当機のデータベースには存在しません〉」


 ビックリして思わずナビに聞いたが、答えはいつものやつだった。


「知ってたー……」


 はぁ、とため息をついて意識を切り替える。


 どちらであろうと、過ぎたことだ。

 とりあえず気にしないことにして、防塵ゴーグルは外すが、防塵マスクは今後も装備しておこう、と思う。


 知らない間に攻撃されているのが毒の怖いところ。

 これからも頑張って防いでいてほしい。



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― 新着の感想 ―
[一言] 運営さん「あれ?毒効いてない。何で?」 というかこういう広義のトラップもプレイヤーサイドの足を引っ張ってる気がする。弱らせるだけか死亡退場まで持っていくかは設置する側のさじ加減だけど、邪魔し…
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