表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/55

Act.27『質問の続きとステータスのチェック』



 質問、五つ目。


・『身体能力制限解除(ギアス・リリース)』で強化された時、どれくらいの身体能力になるのか分からない。一度、試しにやってみたいが、対価が高額すぎる。初回のみE割引、等はないか?


「〈割引はありません。ですがプレイヤーが希望した場合、一度だけ、隔離空間で試行体験を行うことが可能です。この時、Eの支払いを求められることはありません〉」


 ナビはあっさりと答えた。


 聞いてみるもんだな、と思う。

 まさか無料で体験させてもらえるとは考えてもみなかったが、たぶん、対価が高額過ぎて、そうしなければ誰も使おうとしないからだろう。

 私も実際に体験してみてから、実戦で使うかどうかを考えよう。


 さて、次だ。

 六つ目の質問。


・『特殊スキル取得支援』の、プレイヤーが現在取得可能な特殊スキルの一覧、というのを見てみたい。


「〈はい、Rx(レクス)。現在Rxが取得可能な特殊スキルの一覧を表示します〉」

(「……んー。わりと少ないね?」)


 表示された一覧に書かれていた特殊スキルは、10個。


●『冥道視眼(めいどうしがん)

●『曲射』

●『跳弾』

●『天駆(てんく)

●『滞空』

●『縮地』

●『傀儡感覚共有』

●『傀儡遠隔操作』

●『エキス抽出』

●『エキス調合』


「〈取得可能な特殊スキルは、Rxの現在のステータスにあるスキルの中から、条件を満たし、派生させることができるもののみとなります。より多くの特殊スキル取得を希望される場合は、基礎スキルのレベル上げを推奨します〉」


 へー、と聞きながら、どんな特殊スキルなのか、タップして詳細を見る。


 『曲射』と『跳弾』は武器スキル『ライフル』から派生したもので、文字通り、撃った弾を曲げたり跳ねさせたりして、方向を変える特殊スキル。

 『天駆』は『跳躍』から派生したもので、『二段跳躍』の完全上位互換バージョンだ。回数制限無しに、自由自在に空を駆けまわることができる。


 等々、確かに基礎スキルからの派生で出てきたものらしい。

 取得には「○○スキルを○レベルまで上げること」という条件を満たし、「Eの支払い」をすればいいらしい。


 今回よく出てくるな、システム内通貨、E(エニー)……


 取得したい特殊スキルについては後でじっくり考えるとして、最後の質問。

 七つ目。


・「取得可能な特殊スキルの一覧」が出せるのなら、「選択可能な武器の一覧」も見たいのだが、そちらは出せるのか?


「〈Rxが現在選択可能な武器について、一覧を表示させることはできません。質問された場合、答えることは可能です〉」


 マジかぁ~。

 じゃあ一覧が欲しかったら自分で武器の種類を書き出して、一つずつ選択可能かどうかナビに聞くしかないの?

 そんな面倒なこと、やる気ゼロなんですけど。


 ……まあ、やる気もないし、これについては忘れよう。

 グレネードランチャーの時みたいに、必要になったら選択可能かどうか確認して、可能なら変更してもらえばいいだけだし。


(「ん。とりあえず質問終わり。ありがとね、ナビ」)

「〈はい、Rx。必要な時はお声がけください〉」

(「うん。そうさせてもらう」)


 話を終えるとナビはまたふよふよと浮遊し、私の視界から外れた。

 『心眼』を使わなくても、背後の少し離れた所で待機していることは知っているので、気にせずお茶を飲み、テレビをつけた。


「再び起きた地上攻撃部隊迎撃戦、ナビゲーターによると今回は“第二回”ということなんですが、詳しい内容をコメンテーターの―――」


 今回もテレビは地上攻撃部隊迎撃戦について報道していて、前回と同じくポイント取得上位五名のプレイヤーについて特集していた。


 第二回の上位五名は全員所属国が明らかになっていて、それぞれの国がプレイヤーへのインタビュー映像をネット上に公開。

 テレビではこのインタビューを受けるプレイヤーの映像が繰り返し流され、コメンテーターが「強いプレイヤー」=「軍事力」になりつつあり、各国が自国の保有する軍事力(プレイヤー)をアピールするために行われたのがこのインタビューではないか、と話していた。


 プレイヤーが、通常兵器がまともに効果を発揮しないモンスターに対する有効な戦力であることは前から分かっていることなのに、なぜ今さらそんな話が出てきたのか、私には理解できなかったが、とりあえず自分のプレイヤー名が出ていないことにホッとした。


 そしてついでにネットを覗いてみると、五人の中でどのプレイヤーがカッコいいか、で大勢の人が盛り上がっていて、そののん気さに苦笑した。

 まあ、ここしばらく第二次侵攻の被害とか復旧作業とかで暗いニュースが多かったから、こうして息抜きができるなら、その方がいいのかもしれないが。


 さて、一服したら、今度はステータスのチェックだ。

 ステータス画面を開く。


 私の現在のステータスは―――


 ――――――――――――――――――――――


 プレイヤー名 : Rx(レクス)


 ランク : 4


 武器:第6段階 タイプ『グレネードランチャー:焼夷弾/黒』

 防具:第6段階 タイプ『敏捷・ステルス優先/黒』


◆武器スキル


●『グレネードランチャー』レベル2

  →『威力強化』レベル2


◆防具スキル


●『消音』レベル10

  →『隠蔽』レベル10

  →『静寂迷彩』レベル1

●『高速移動』レベル1


◆装備品

・瞬足のイヤーカフ(速度アップ (大))

・探知透過のペンダント(モンスターの索敵とプレイヤーの探索系スキルに発見される確率の低下 (中))

・忍の腕輪(『隠密』消費精神力60%軽減)

・剛腕の指輪(攻撃力アップ (大))

・万華鏡のアンクレット(被ダメージ反射 (発動確率・中))


◆特殊スキル


●『氷魔法』レベル5

  →『アイスアロー』レベル4

  →『アイスウォール』レベル5

  →『アイスフィールド』レベル4


●『緑魔法Ⅱ』レベル3

  →『チェーンシードアローⅡ』レベル3

  →『ドレインフラワーⅡ』レベル3

  →『グラスフィールドⅡ』レベル2

  →『ガーデン・オブ・ジ・エンド』


◆補助スキル


●『隠密』レベル10

  →『心眼』レベル10

    →『遁行』レベル9

    →『鑑定』

  →『隠蔽』レベル10

    →『分身作成』レベル1

    →『隠蔽対象指定』レベル1

  →『透過』レベル3


●『跳躍』レベル10

  →『二段跳躍』レベル8

  →『滞空延長』レベル6


●『スキル探知』レベル4


●『危険察知』レベル4


●『裁縫』レベル9

  →『傀儡作成』レベル8

    →『仮想人格憑依』レベル5

    →『傀儡管理』レベル4

    →『巨大化』レベル6

    →『縮小』レベル1

    →『能力付加』レベル2

  →『護符作成』レベル1

  →『アイテムドロップ率アップ』レベル9


●『調理』レベル7

  →『特殊効果付与』レベル5

  →『アイテムドロップ率アップ』レベル7


 ――――――――――――――――――――――


 おや。

 武器がグレネードランチャーのままになっている。


 あれを通常武器にするつもりはないので、ナビに言って変更。


 ――――――――――――――――――――――


 武器:第6段階 タイプ『ライフル/黒』


◆武器スキル


●『ライフル』レベル10

  →『鷹の目』レベル10

  →『追尾』レベル1


 ――――――――――――――――――――――


 いつもの『ライフル』に戻すと、レベルがマックス値の10になっていて、新スキル『追尾』が派生していた。

 他にも防具スキルがレベルマックスになり、新スキル『静寂迷彩』と『高速移動』が派生。


 漢字で何となく分かるが、詳細を見てみる。


 『追尾』は任意の弾に追尾性能を付加できる。

 『静寂迷彩』は『消音』の強化バージョンで、自分がそこにいないかのようにあらゆる音を誤魔化してくれる。

 『高速移動』は今までより早く動けるようになる。


 ……素朴な疑問。


 『追尾』ってどれくらい曲がるんだ?

 『曲射』とは違うのか?


 まあ、元気になったらダンジョンで試してみよう。

 しばらくは休みたいから行かないけど。


「あ、道具屋」


 ランクアップすると商品数が増える道具屋を思い出して見てみると、相変わらず絶好調だった。


「うわぁぁ……。パンツ買えるようになってるぅ……」


 今回は食料品のラインナップが増えた他に、衣服と家具の項目が追加されていた。

 なので買えるようになったのはパンツだけではないのだが、なんとなく「モンスターを狩って得たお金でパンツが買える」ことになった、この状況のシュールさに、何とも言えない顔になった。


「道具屋の快進撃が凄すぎる……。ランク1になったら家も買えるようになるのでは……? ……ん? なんだこれ、『良質な針』?」


 衣服と家具、新しくラインナップに加わった食料品を見てから、いつも『傀儡作成』で使っている布と糸を見てみると、こちらも新商品があった。

 『良質な糸』や『良質な布』などの、『良質』シリーズだ。

 これは裁縫道具だけでなく、調理道具もそうだったので、Eの残金を見てぜんぶ買い替えることにした。

 結果、かなりの散財になったが、必要な投資だと思って割り切る。


「新しい針と布で、ぬいぐるみ作ってみよ」


 心身ともに疲れきっているので、外に出る気はゼロ。

 テレビをつけても迎撃戦の特番ばかりで心癒される系の番組はやってないから、持っている映画のDVDを流しながらぬいぐるみを作って気分転換をしようと思う。


 『身体能力制限解除(ギアス・リリース)』の無料体験とか、特殊スキルの取得とか、やった方がよさそうなことはあるが、今はみんな後回しだ。


「DVD、何にしようかな~」


 テレビ台の中にしまってあるたくさんの映画の中から、ひょいひょいと目についたパッケージを取り出してコタツの上に積みあげ、たまたま手にしていたものをDVDプレーヤーに入れる。

 そうして再生されはじめた映画を見もせず聞き流しながら、裁縫道具を取り出して『傀儡作成』スキルを発動させた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 分身作成スキルを伸ばしてたら違う展開があった気がしてきた。デコイか労働力二倍かはわからないけど ぬいぐるみ軍団さらなる飛躍の時
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ