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Act.3『ステータスのチェックとスキルの確認』



 筋肉痛がおさまるのを待つ間、自分のステータスのチェックもした。

 調べ方はストレートに「ステータス・オープン」と言うだけ。

 空中に半透明の画面が出てきて、そこに自分のステータスが表示される。


 ちなみにこのステータス画面は呼び出したプレイヤー本人にしか見えないようになっているそうで、プライバシーが保護されていることにちょっと驚いた。

 親切なのか不親切なのか、よく分からないシステム設計だ。


 それはさておき、現在の私のステータスはというと。


 ――――――――――――――――――――――


 プレイヤー名 : Rx(レクス)


 ランク : 7


 武器:第3段階 タイプ『ライフル/黒』

 防具:第3段階 タイプ『敏捷・ステルス優先/黒』


◆武器スキル


●『ライフル』レベル5

  →『鷹の目』レベル3


◆防具スキル


●『消音』レベル5


◆装備品

・――


◆補助スキル


●『隠密』レベル8

  →『心眼』レベル5

    →『遁行』レベル1

    →『鑑定』

  →『隠蔽』レベル3

    →『分身作成』レベル1


●『跳躍』レベル8

  →『二段跳躍』レベル1

  →『滞空延長』レベル1


●『スキル探知』レベル1


●『裁縫』レベル4

  →『傀儡作成』レベル1

    →『仮想人格憑依』レベル1

  →『護符作成』レベル1

  →『アイテムドロップ率アップ』レベル4


●『調理』レベル3

  →『特殊効果付与』レベル1

  →『アイテムドロップ率アップ』レベル3


 ――――――――――――――――――――――


 以上。


 私の感想は「え? プレイヤーのレベルとか、HP・MPの数値とかは無いの?」だ。


 これまでの流れがあまりにもゲームっぽかったし、ナビにライフルの弾丸は私の精神力だと言われて (「ああ、MP消費で撃てるのね。リロードしないでいいの便利だな~」)と解釈していたので、まさかその表示が無いとは思わなかった。


「ナビ。ライフル撃ちすぎて精神力を限界まで消費したらどうなるの?」


 なので、第一次侵攻後にステータスを再確認した私の最初の発言がこれだったのは、当然のことだろう。


「〈精神力を限界まで消費した場合、プレイヤーは意識を失い、戦闘不能状態になります。当機はそれを推奨しません、Rx〉」


 ナビは淡々と答えたが、そんなの私だって嫌だ。

 戦場で意識不明とか、二度と起きられないやつじゃないか。

 撃ちすぎには気をつけよう、と強く思った。


 次に気になったのは、「ランク」という項目。

 第一次侵攻中のモンスター討伐はランクポイントを得られる、と説明されたので、たぶんこれの数字を上げるために貯めるものだと思うのだが。

 これはプレイヤーのレベルとは違うのか、何の意味があるのか、よくわからない。


「ねえナビ、私のランク、7って書いてあるやつのことなんだけど」

「〈Rxは契約時、ランク8でした。第一次侵攻でのモンスター討伐でランクアップしています。おめでとうございます〉」

「あ、うん、ありがとう? っていうか、ランクって上がると数字が小さくなるんだね。もしかして、他のもそうなの?」

「〈他の数字は上がると増えていきます。ランクの最上位は1ですが、武器・防具の最終段階は12、スキルのレベルは10が最高値です〉」


 ふんふん、と説明を聞いていると、ナビはさらりと続けた。


「〈Rxのランクが7になったことで、当機のサポート機能『転送』の登録数が増えました。帰還地点一ヶ所、転送先三ヶ所の登録が可能です〉」

「え。なにその便利機能。もっと早く知りたかったんですけど……?」

「〈Rxは当機のサポート機能についての情報提供を求めませんでした〉」


 いやそこは積極的にアナウンスしてくれよ、ナビゲーターのナビなんだろお前、と思ったが、言っても意味なさそうなので話を進める。


「もしかしてナビって、他にも何か機能あるの?」

「〈ナビゲーターのサポート機能は契約者であるプレイヤーのランクアップとともに、随時解放されていきます。現在の当機のサポート機能は、30分間の『結界』展開、『転送』、の二つです〉」

「『結界』の展開、とかいうのも初耳だなぁ……」


 遠い目をしてぼやくと、詳細の説明を求められたと判断したらしく、ナビが言った。


「〈30分間の『結界』展開は、プレイヤーが休息を必要とした時のためのサポート機能です。周囲に気づかれることなく休息をとるための空間を提供することが可能です。『結界』の展開が可能な回数と時間と、結界の空間の面積は、ランクアップとともに増加します。現在の『結界』展開可能回数は、一日に6回、展開持続限界は30分間、面積はレベル6相当です〉」


 それ、第一次侵攻の時に知っていたかった機能だわ、と思う。

 まあプレイヤー装備中は生理現象停止して疲労も感じにくくなってるから、休憩なんて必要なかったし、後半は戦闘ハイで休憩とか頭から吹っ飛んでたから、知ってても使わなかったかもだけど。


「ん。説明ありがと。次は新機能解放されたら教えてね」

「〈新機能解放後、通知要請。登録しました、Rx〉」


 そんなこんなで、ひとまずこの話は終わった。


 というわけで、次はスキルについての確認だ。

 まず、


●『隠密』レベル8

  →『心眼』レベル5

    →『遁行』レベル1

    →『鑑定』

  →『隠蔽』レベル3

    →『分身作成』レベル1


 これはスキル『隠密』から『心眼』が派生し、さらに『心眼』から『遁行』と『鑑定』が派生した、という意味。

 第一次侵攻で常時発動させていたせいか『隠密』のレベルが思ったより高いが、良いことだ。

 今後も育てていくことにして、ステータスの再チェックをするまで存在を知らなかったスキル『遁行』の詳細を読む。

 このステータス画面はスキル名をタップすると別窓が浮かんで開き、詳細を表示してくれるのだ。


 えーと、『遁行』は『心眼』で発見した気の流れに潜行し、場所を移動することができるスキル……、ってすごい便利なやつだ!

 おお、これは使えそう。


 もう一つの『鑑定』は、ゲームでよくあるやつだった。

 調べたいものに対して使うと、「アイテム名」「カテゴリー」「レアリティ」「基礎効果」「特殊効果」が分かる。

 レベル表示がないのは、『鑑定』で調べられる情報がこれ以上は増えないからだろう。


 あと、もう一つ。

 スキル『隠密』から『心眼』の他に『隠蔽』が派生していた。

 このスキルは『隠密』の補助的なものらしく、『隠密』発動中、私が立てた物音や移動する時に起きる風などを文字通り隠蔽してくれるようだ。

 ステルス機能アップ的なスキルのようだから、今後は『隠密』とセットで発動させておこうと思う。


 さらに『隠蔽』から派生していた『分身作成』は、これまた文字通りもう一人の私を作るスキル。

 だけどレベルが低いので、まだ作れるだけで、動かしたりはできないらしい。

 スキル経験値を貯めてレベルを上げれば、役に立つようになりそうな、前途有望なスキルである。

 今はあんまり興味無いけど、そのうち育ててみようかなぁ。


 次は、


●『跳躍』レベル8

  →『二段跳躍』レベル1

  →『滞空延長』レベル1


 場所移動で使いまくっていた『跳躍』から派生した二つのスキル。

 『二段跳躍』はジャンプ距離を伸ばすだけでなく、空中での方向転換が可能になりそうなので、レベルを上げたいスキルだ。

 同じく『滞空延長』も、空中からの攻撃が出来るようになりそうなスキルなので、これもレベルを上げて実戦で使えるかどうかを確認したい。


 次は、


●『スキル探知』レベル1


 これは先日、探索系スキルを受け、私が「これはどういうスキルなんだ?」と、受けた感覚から推測しようとしたことで取得したスキルだと、ナビが教えてくれた。

 へー、そんなことでスキルって増えるんだ、と知れたので、なかなかいい経験になった。

 スキルの詳細としては、名称通り、他のプレイヤーが近くでスキルを使用していたら、それを察知できる、というもの。

 これの経験値を上げるのは自力では無理なので、いったん放置だ。


 ……と、ここまでは戦闘補助スキル。

 次は生産系スキルを見る。


●『裁縫』レベル4

  →『傀儡作成』レベル1

    →『仮想人格憑依』レベル1

  →『護符作成』レベル1

  →『アイテムドロップ率アップ』レベル4


 一番下の『アイテムドロップ率アップ』は『調理』にもあるスキルで、どちらも派生元と同レベルであることから、たぶん派生元のレベルと連動する系なんだろうと思う。

 効果としては、モンスターを倒した時、それぞれ『裁縫』や『調理』で使えるアイテムのドロップ率が上がるようだ。


 そして興味深いスキル『傀儡作成』だが、どうやら人形やぬいぐるみを作って『仮想人格憑依』をさせると、人形やぬいぐるみを動かすことが出来るようだ。

 これまで雪柳によく似たぬいぐるみを大量に作っていたが、その経験が思いがけない所で役立ちそうである。


 もう一つの『護符作成』は、攻撃力アップや状態異常予防の効果があるアミュレットを作れるスキルらしい。

 ただ、そういう装備品は加工屋というところでも作れるらしいので、無理に自作する必要も無い気がする。

 アクセサリー系は興味が無かったから、作ったことも無いし。

 まあ、加工屋を見てから考えよう。


 さて、それでは最後のスキルだ。


●『調理』レベル3

  →『特殊効果付与』レベル1

  →『アイテムドロップ率アップ』レベル3


 説明を読むと、この『特殊効果付与』というスキルは自動発動型だった。

 今後、私が料理したものには、自動で何らかの効果が付与されるらしい。


 第一次侵攻後は作り置きしてあったものばかり食べていたし、飲み物を淹れるくらいしかしていなかったので、まったく気付かなかった。

 が、もしかして、飲み物にも特殊効果が付与されてたりするのか?


 ちょうど先ほど淹れたほうじ茶のマグカップがコタツの上に置いてあったので、『鑑定』してみる。


 ―――――――――――――


 アイテム名 : ほうじ茶

 カテゴリー : 食品

 レアリティ : C


 基礎効果 : 精神力回復 (弱) 疲労回復 (弱) 解毒 (弱)


 特殊効果 : 精神力回復 (小) 疲労回復 (小)


 ―――――――――――――


 特殊効果、付与されてたわ~。

 知らんうちに癒されてたわ~。


 無自覚に取得してた自分のスキルのおかげで。


「いや私、知らんかったこと多すぎなのでは……??」


 よろよろとコタツの中に潜り込みながら、思わずため息がこぼれた。



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[一言] 『分身作成』で作った分身に『仮想人格憑依』は出来るんだろうか? それともあくまで『傀儡作成』で作った人形やぬいぐるみでないとダメなんだろうか?
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