Act.18『アミュレット作りと新しい魔法』
お風呂に入ってさっぱりしたところで、昼食をとってメンタルと体力を回復。
お昼ご飯タイムのテレビでは、海外のプレイヤーの訓練の様子を報道する海外メディアの番組を日本語字幕付きで流していた。
その番組では普通の人とプレイヤーの身体能力を比較して見せていく流れだったので、プレイヤーの強化された能力が際立ち、超人ショーみたいで面白かった。
食後はテレビを消して、久しぶりに加工屋で自分用の装備品を作る。
しばらく『傀儡作成』に熱中していたので、レアなモンスター素材は片っ端からぬいぐるみの腹に詰め込んでいたのだが、今日ラスボス戦っぽいのをクリアしたことで、そろそろ自分の装備も考えねばと思ったのだ。
もしすべての傀儡がやられて消えたら、最後は自分一人で戦わないといけないわけだし。
そうでなくとも、先日の地上攻撃部隊迎撃戦みたいに、ステルスプレイ優先で、自主的に一人で戦うこともあるだろう。
そんなわけで作成し、装備した結果がこれ。
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◆装備品
・瞬足のイヤーカフ(速度アップ (大))
・探知透過のペンダント(モンスターの索敵とプレイヤーの探索系スキルに発見される確率の低下 (中))
・忍の腕輪(『隠密』消費精神力60%軽減)
・剛腕の指輪(攻撃力アップ (大))
・万華鏡のアンクレット(被ダメージ反射 (発動確率・中))
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ランクアップによって加工屋で作れる物も増えており、もっと早く作っておけばよかった、と、ちょっと後悔するくらいには良いアミュレットが作れた。
そこまででちょうどティータイムになったので、甘いカフェオレと先日作った抹茶と黒ゴマのクッキーで休憩しながら、残った物を見てみようとアイテムボックスをスクロールして見ていく。
チェックのついでに、ラスボス戦をくぐり抜けた17体の傀儡の耐久値を『傀儡の欠片』でマックス値まで回復。
「……んんッ?!」
そしてふと見つけた物に、思わず口の中のカフェオレを吹き出しそうになるくらい驚いた。
ごくん、とカフェオレを飲み込んでから、改めてそのアイテムの名前を読みあげる。
「『魔法書「緑魔法・中級編」』。……え? こんなのドロップしてたっけ?」
思い当たるのは先程のラスボス戦だが、あまりにも大量のアイテムがドロップして、アナウンスがものすごい勢いで流れていったので、うっかり見逃した可能性が高い。
「うぇ、こんなことあるの……? うっかり気付かずに放置しっぱなしになったら、めちゃくちゃもったいないじゃん。気付いて良かったぁ~。やっぱチェックって大事だな~」
うんうん、とひとり頷き、とりあえずそのアイテムを使ってみる。
中級編、と書いてあったわりに、本の装丁がちょっと豪華になっているだけで、取得エフェクトは素養の時と変わらなかった。
緑色の光が私の体の中に吸い込まれるようにして消え、アナウンスが流れる。
――― アイテム『魔法書「緑魔法・中級編」』使用
――― スキル『緑魔法Ⅱ』取得
次はステータスの確認だ。
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プレイヤー名 : Rx
ランク : 6
武器:第5段階 タイプ『ライフル/黒』
防具:第5段階 タイプ『敏捷・ステルス優先/黒』
◆武器スキル
●『ライフル』レベル10
→『鷹の目』レベル9
◆防具スキル
●『消音』レベル10
→『隠蔽』レベル8
◆装備品
・瞬足のイヤーカフ(速度アップ (大))
・探知透過のペンダント(モンスターの索敵とプレイヤーの探索系スキルに発見される確率の低下 (中))
・忍の腕輪(『隠密』消費精神力60%軽減)
・剛腕の指輪(攻撃力アップ (大))
・万華鏡のアンクレット(被ダメージ反射 (発動確率・中))
◆特殊スキル
●『氷魔法』レベル5
→『アイスアロー』レベル4
→『アイスウォール』レベル5
→『アイスフィールド』レベル3
●『緑魔法Ⅱ』レベル3
→『チェーンシードアローⅡ』レベル3
→『ドレインフラワーⅡ』レベル3
→『グラスフィールドⅡ』レベル2
→『ガーデン・オブ・ジ・エンド』
◆補助スキル
●『隠密』レベル10
→『心眼』レベル10
→『遁行』レベル7
→『鑑定』
→『隠蔽』レベル9
→『分身作成』レベル1
→『透過』レベル2
●『跳躍』レベル10
→『二段跳躍』レベル4
→『滞空延長』レベル3
●『スキル探知』レベル3
●『危険察知』レベル2
●『裁縫』レベル9
→『傀儡作成』レベル7
→『仮想人格憑依』レベル5
→『傀儡管理』レベル4
→『巨大化』レベル6
→『縮小』レベル1
→『能力付加』レベル2
→『護符作成』レベル1
→『アイテムドロップ率アップ』レベル9
●『調理』レベル7
→『特殊効果付与』レベル5
→『アイテムドロップ率アップ』レベル7
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「え? 緑魔法にⅡっていうのが付いただけ? 新しい魔法も一個増えてるけど、これだけレベルが無いな……?」
どういうことなの? と首を傾げつつ、新魔法の説明を読む。
緑魔法の中級編で増えた『ガーデン・オブ・ジ・エンド』は、使用者を中心に半径10mの円上にいるものに作用する即死魔法。
しかし効くかどうかは緑魔法のレベルと、相手の緑魔法に対する耐性の高さと、あとは完全に運で決まる。
「なにこれ怖ぁ……」
そう言いながら、思わず笑ってしまった。
緑魔法、中級編でランダム即死魔法を取得とか、さすがすぎる。
ひとしきり笑ってから、ステータス画面を閉じてころんと寝転がった。
「……」
街の中心部や、線路や主要道路からも離れた住宅街にあるマンションの部屋は、ペット可物件で防音がしっかりしていることもあり、とても静かだ。
そのままうとうとしていると、脇腹に何かが触れて、そのままそこからじんわりとぬるい体温が伝わってきた。
生き物の熱。
雪姉さんだ……
いつの間にか瞼は降りて、私はそのまま眠ってしまった。