俺、助けたよな?
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部活が終わって下駄箱に向かって歩いていると
廊下の片隅に黒田の姿があった
「何してるんだ?」
声をかけると、”どうしよう”と顔に書いてあった。
「どうしたんだ?何かあったのか?お前帰宅部なのになんでこんな時間に学校いるんだ?」
心配で立て続けに質問してしまった。
もう19時を回っている。外は真っ暗だ。
「えっと…図書館にいて。」
何か書かれた紙を両手で持ち、俯く。
「それで?」
その先を促す。
「帰ろうと思ったら、廊下で担任の先生に会って、頼まれたの・・・。」
「うん?それで何してんだ?」
「えっと。」
黙ってしまう。
しばらく沈黙…。
黒田が次の言葉を言うのを待ったが、これ以上待っても無駄だと思い、
「それで、頼まれた用事はどうしたんだ?済んだのか?」
「…。」
黙り込む。メモを持つ手が小刻みに震えている。
まったく、困った黒田だ。
せっかく声を掛けてやったのに、それでも頼り方を知らないなんて。
もっと、人を頼っていいのに。
なんか、だんだんイライラしてきたな。
「分からないなら分からないって言え!それで教えてって言ってみろ!黙ってたら分からないだろう。」
「でも…。」
「でもじゃない!全部わかるなんてありえないだろうが!どうしていいかわからないんだろう?ならわからないって言え!教えてって言え!言っていいんだ!」
「言っていいの?教えてくれるの?」
「もちろんだ!さあ、言ってみろ。」
「わからないです。教えてください。」
握りしめていたメモを俺に差し出した。
解決してやるぜ!と意気込んでそれを受け取って見たけど、
ん?なんだこれ?
何が書いてあるのかさっぱり分からん。
うーん、困ったな。
「明日の一時間目に使うものみたいなんだけど、先生他所の高校で会議があるみたいで学校にいなくて。」
とても困った顔で事情を教えてくれた。
「そうか。」
俺なら、分からなかったから明日の朝聞いて準備すればいいやって思って、もう帰っているな。
けど、黒田はそういうことができない
”バカ真面目”
だからな。
そこもかわいいから仕方ない。
さて、どうしたものか。
考え込んでいると、
「何してるの?」
「あ、赤山!いいところに!」
「え?何?」
ちょうど部活終わりに通りかかった赤山が、困惑した表情を向ける。
「これ、担任に準備するように頼まれたんだけど、分かるか?」
「どれ?」
赤山がメモを受け取る。
そのやりとりをじっと見ている黒田に、
「悪い黒田。俺も分からなかった。赤山分かるか?」
「うん?ちょっと待って、読んでるから。」
最後まで読んでから、
「これ、黒田さんが頼まれたの?」
と、黒田を見て言った。
「なぜ俺が頼まれたと思わないんだ?」
と、横やりを入れたら、
「なぜって?これ壊れやすいものだから、白坂が頼まれるわけがないわ。」
横目でちらっとだけ見て言う。
おいおい、相変わらずきついですね、赤山さん…。
「私が頼まれたんだけど、分からなくて困っていたの。赤山さん分かる?」
おう、やればできるじゃん。頑張れ黒田!
「これ、この間私も頼まれて、全然分からなかったのよ。そのとき、このメモじゃ分かりにくいですよって先生に言ったばかりなのに、まだ同じメモ使っているのね。」
はあ、とため息をつく。
「それで、先生は?」
「今日、他所の学校で会議があるからって、もう学校にいないの。」
「そう。じゃあ、一緒に片付けちゃいましょう。手伝うわ。」
「いいの?」
「もちろん。」
「ありがとう。助かります。」
「これはね…。」
赤山と黒田が二人でどんどん話を進めていく。
俺、ないがしろ?
「えっと、俺も…」
と声を掛けると、
「白坂はいい。動かないで。ガラス瓶とかあるから割れる。」
赤山よ、俺が動くだけでガラス瓶が割れるとか、あるわけないだろう…。
そう思いつつ、従う俺なのだ…。
とほほ。
赤山が加わって15分足らずで、分からなかった明日の化学の授業の準備が終わった。
「二人とも、本当にありがとうございました。」
俺にもお礼を言ってくれる。かわいいな、黒田。
「こんなんでいいんだよ。分からなかったら人に聞くこと。解決するぞ。」
ちょっと偉そうに言うと、
「でも私してもらってもお返しできない…何もできない…」
また俯く。
「なめんな!お返し欲しさにやるか!それならおれは毎朝お前にお返ししなきゃならんだろう。無理だ!」
そんなの必要ないんだ!と伝えたかっただけなのに、
「ちゃんと宿題やりなさい!」
「白坂は、黒田さんに少しはお返ししなさいよ。」
なぜか、黒田と赤山に同時に怒られるのだった。
あれ?おかしいな?
俺、黒田を助けた…よな…?
な?




