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まずはここから始めよう!  作者: 雲母あお
番外編

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25/26

俺、助けたよな?

評価、ブクマありがとうございます!

部活が終わって下駄箱に向かって歩いていると

廊下の片隅に黒田の姿があった


「何してるんだ?」

声をかけると、”どうしよう”と顔に書いてあった。


「どうしたんだ?何かあったのか?お前帰宅部なのになんでこんな時間に学校いるんだ?」

心配で立て続けに質問してしまった。

もう19時を回っている。外は真っ暗だ。


「えっと…図書館にいて。」

何か書かれた紙を両手で持ち、俯く。

「それで?」

その先を促す。


「帰ろうと思ったら、廊下で担任の先生に会って、頼まれたの・・・。」

「うん?それで何してんだ?」

「えっと。」

黙ってしまう。


しばらく沈黙…。


黒田が次の言葉を言うのを待ったが、これ以上待っても無駄だと思い、

「それで、頼まれた用事はどうしたんだ?済んだのか?」

「…。」

黙り込む。メモを持つ手が小刻みに震えている。


まったく、困った黒田だ。

せっかく声を掛けてやったのに、それでも頼り方を知らないなんて。

もっと、人を頼っていいのに。

なんか、だんだんイライラしてきたな。


「分からないなら分からないって言え!それで教えてって言ってみろ!黙ってたら分からないだろう。」


「でも…。」


「でもじゃない!全部わかるなんてありえないだろうが!どうしていいかわからないんだろう?ならわからないって言え!教えてって言え!言っていいんだ!」


「言っていいの?教えてくれるの?」


「もちろんだ!さあ、言ってみろ。」


「わからないです。教えてください。」

握りしめていたメモを俺に差し出した。

解決してやるぜ!と意気込んでそれを受け取って見たけど、


ん?なんだこれ?

何が書いてあるのかさっぱり分からん。

うーん、困ったな。


「明日の一時間目に使うものみたいなんだけど、先生他所の高校で会議があるみたいで学校にいなくて。」

とても困った顔で事情を教えてくれた。


「そうか。」

俺なら、分からなかったから明日の朝聞いて準備すればいいやって思って、もう帰っているな。

けど、黒田はそういうことができない


”バカ真面目”


だからな。

そこもかわいいから仕方ない。


さて、どうしたものか。

考え込んでいると、


「何してるの?」

「あ、赤山!いいところに!」

「え?何?」

ちょうど部活終わりに通りかかった赤山が、困惑した表情を向ける。


「これ、担任に準備するように頼まれたんだけど、分かるか?」

「どれ?」

赤山がメモを受け取る。


そのやりとりをじっと見ている黒田に、

「悪い黒田。俺も分からなかった。赤山分かるか?」


「うん?ちょっと待って、読んでるから。」

最後まで読んでから、

「これ、黒田さんが頼まれたの?」

と、黒田を見て言った。


「なぜ俺が頼まれたと思わないんだ?」

と、横やりを入れたら、

「なぜって?これ壊れやすいものだから、白坂が頼まれるわけがないわ。」

横目でちらっとだけ見て言う。


おいおい、相変わらずきついですね、赤山さん…。


「私が頼まれたんだけど、分からなくて困っていたの。赤山さん分かる?」

おう、やればできるじゃん。頑張れ黒田!


「これ、この間私も頼まれて、全然分からなかったのよ。そのとき、このメモじゃ分かりにくいですよって先生に言ったばかりなのに、まだ同じメモ使っているのね。」

はあ、とため息をつく。


「それで、先生は?」

「今日、他所の学校で会議があるからって、もう学校にいないの。」

「そう。じゃあ、一緒に片付けちゃいましょう。手伝うわ。」

「いいの?」

「もちろん。」

「ありがとう。助かります。」

「これはね…。」

赤山と黒田が二人でどんどん話を進めていく。


俺、ないがしろ?


「えっと、俺も…」


と声を掛けると、

「白坂はいい。動かないで。ガラス瓶とかあるから割れる。」

赤山よ、俺が動くだけでガラス瓶が割れるとか、あるわけないだろう…。


そう思いつつ、従う俺なのだ…。

とほほ。


赤山が加わって15分足らずで、分からなかった明日の化学の授業の準備が終わった。


「二人とも、本当にありがとうございました。」

俺にもお礼を言ってくれる。かわいいな、黒田。


「こんなんでいいんだよ。分からなかったら人に聞くこと。解決するぞ。」

ちょっと偉そうに言うと、


「でも私してもらってもお返しできない…何もできない…」

また俯く。


「なめんな!お返し欲しさにやるか!それならおれは毎朝お前にお返ししなきゃならんだろう。無理だ!」

そんなの必要ないんだ!と伝えたかっただけなのに、


「ちゃんと宿題やりなさい!」

「白坂は、黒田さんに少しはお返ししなさいよ。」


なぜか、黒田と赤山に同時に怒られるのだった。


あれ?おかしいな?

俺、黒田を助けた…よな…?



な?




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