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まずはここから始めよう!  作者: 雲母あお
オレが主人公のオレから目線のお話だ!  読んでくれよな!by白坂    

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4 金色の窓辺で

「黒田、お待たせ…。え…?」


俺の足は、教室に入ってすぐに止まった。


窓の外に一面に広がる金色の景色に目を奪われたから。


いつもいる教室が、こんな景色だったなんて。

今まで気づかなかった。


俺は、よく黒田が放課後窓の外を見ているのを、廊下でこっそり見てきたけど(それもやばい?)、その向こうの景色なんか目に入っていなかったのか。


「なんか、それも恥ずかしいな…。」

黒田を見ていて、こんなにきれいな、眩しいくらい一面に広がる金色の紅葉が目に入らないって、俺どんだけだよ?

ちょっと顔が熱くなる。

黒田は、まだ俺に気づいていないようだった。


「しっかし、綺麗だなあ…。」

小さい声でつぶやく。

しばらく黒田がみている景色を見ていた。

すると、秋風に乗って黄色く色づいた葉が一枚、黒田の横を通り抜けた。

そして、俺の足元に舞い降りた。


「用事終わった?」


黒田の声が、誰もいない教室の空気を震わす。

その声で、現実世界に引き戻されたような感覚になった。


「ああ、終わったよ。」


少し心惹かれながらも、足元の黄色い葉をそこに残し、黒田の隣に立つ。

黒田は、窓の外をみたまま、話し始めた。


「今ね、白坂とのことを思い出していたの。」

ふふっ、と妙に大人っぽく笑った。

なんとなくうなずきながら、全然違うことを考えていた。


本人は気づいていないようだけど、黒田は時々妙に大人っぽいことがある。

それに気づく度に、俺はドキッとする。


そして、思うんだ。


何かつらいことを抱えているんじゃないかって。

だって、そうだろう?今、俺らはまだ16歳!花の高校生だぞ!思春期真っ盛りなんだぞ!まだバリバリ現役の子供なんだぞ!!

それなのに、変に大人っぽい黒田は、この一度しかない大切な花の高校時代をちゃんと子供らしく生きているのか!?


誰だ!?こいつにこんな顔させたやつ!でてこい!!

金色の秋空に向かって、心の中で叫ぶ。


「しかし、なんでお前はそんなに心をこじらせているんだろうな。」

心の叫びの一部が口から飛び出していた。


黒田は、口元に手を当て「うーん。」と考え込む。

そのまましばらく動かない。


ずいぶん考えているな。

もしかしたらこれは、こじらせたやつの話とか出てくるか?

それは男か?…黒田の中に別の男がずっと住んでいるとか、嫌だな…。

などと身構えていた。


しばらく待った。いや俺にしてはだいぶ待った。

でも返ってきたこたえは、


「なんでだろう。私になれば分かるよ。」


また、妙に大人っぽい顔で、うっすら笑う。


ガクッと肩を落とす。


そんなに考えて出た答えがそれですか?

もっとなんかあるだろう?

まあ、黒田らしいといえば、らしいか。


それだけ言うと、また窓の外をぼんやりとみている黒田のことが、なんだかかわいそうだとも思った。

黒田のことを知らないやつは、この顔をみたら違う意味でドキッとして好きになるやつもいるかもしれない。


でも、俺はこの顔をみるとぞっとする。怖いとさえ思う。

この無意識でする大人っぽい表情が。

今しかできないことがたくさんあるのに、それを全部諦めて納得してしまっているように思えた。


「無理だろう…。というか、だいたい俺はお前になんかなりたくない。」

心底嫌そうな顔で言ったら、


「また、はっきり言うね。」

黒田は目を丸くして、それから楽しそうに笑った。

ドキッ。

そうだよ、それだよ、黒田。

ちゃんと目が笑っているぞ、うん。

そんなことを思っていると、


「じゃあ、私の気持ちは一生分からないだろうなぁ。」

両手を挙げて気持ちよさそうに伸びをする黒田に、


「だったら、黒田も俺の気持ち一生分からないだろう。お互い様だ。」

フンッと鼻を鳴らし、きっぱりと言い切ってやった。


驚いた顔で俺をみた。

あれ?強く言い過ぎたか?とちょっと焦っていると、


「そうだね。」

とても嬉しそうに笑うのだった。



ああ、そうだな。



俺も自然に笑っていた。


次回、その後の小話を番外編として投稿予定です。

お楽しみに!

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