2 金色の窓辺で
―そうだ
初めて白坂に告白されたのは、よく晴れた5月の朝だったな。
5月のオリエンテーションの少し前くらいだったと思う。
もう誰もいない放課後の教室で窓の外を眺めながら、そんなことを思い出していた。
「ああ。冬も楽しみだなあ。雪降るかな。」
緑豊かな学校の教室の窓辺は、私にとって極上の景色だ。
春夏秋冬すべての季節をここから眺めて過ごすのが、3年間の楽しみになっていた。
今は秋。
窓の外は、紅葉した木々で金色に染まっていた。
秋風が心地いい。
黄色く色づいた葉が、秋の少し冷たい風に乗って、私の横を通り過ぎていった。
その瞬間、さぁっと今までのことが頭を駆け巡る…。
それは中学の時だった。
「頭がいい人とは口もきけない。」
そんな言葉と同時に、
「何もできないクズ。」
と、言われていた。
なぜそんなことを言われるのか分からなかった。
聞いても誰も教えてはくれなかった。
そして、努力すればするほど一人ぼっちになっていった。
それでも、一人になりたくないから努力することをやめる、という選択はできなかった。
それじゃあ、自分があまりにもかわいそうだと思った。
いじめは卒業まで続いた。
暗い暗い渦が巻く。人の黒い感情が、どんどん渦を巻くように私に纏わりついて、次第に身動きが取れなくなり、その渦に飲み込まれて沈んでいった。
高校に入る頃には、人と関わりたくないと心底思うようになっていた。
気持ちを切り替えることが出来ず、暗い渦にどっぷり沈み、心をこじらせたまま高校生になった。
“人に関わらず静かに卒業を待つ”ことを目標に掲げ、高校生活をスタートさせた。