17 降参!
なんでそんなことを聞くんだろう。
「私みたいな子のことは放っておいて、白坂らしくしていて欲しい。私は白坂に何もしてあげられないばかりか、ひどいことばかり言った。面倒掛けてばかりいる。そして、白坂に対する恩を仇で返すようなひどい人間だ。だから、これでよかったんだ。と思いました。」
私が思っていたことを素直に答えると、
「なんで最後敬語?」
あれ?突っ込むところそこ?
「せっかく、白坂のいない世界に慣れてきたところなのに、なんで今私の目の前に白坂の顔があるのだろうか?」
素直な疑問が頭をもたげてきた。
なんでだったっけ?
うーん?さっきまでの出来事を思い出そうとする。
あー思い出した!そうだった!!
思わず頭を抱えた。白坂に急に腕を掴まれて全部すっ飛んでいた!やばい!
「あっ!ごめん!あの、邪魔はしないので。あの…もう邪魔してたらごめん。」
と、告白現場に居合わせたことを思い出し、白坂に背を向けて、そそくさ帰ろうとすると、
「待て。また逃げる気か?」
逃げるという言葉に、体がこわばって動けなくなった。
そう、確かに私は白坂から逃げてばかりだ。
「ごめん、白坂。」
そう言って、白坂に自分から向き合った。
そんな私をみて、はあーと大きく息を吐いて、白坂は座り込んでしまった。
突然のことにおろおろして、
「大丈夫?」
と、白坂に近づく。全然動かない白坂。
やだ、どうしよう。
「大丈夫!?やだ、どうしたの?返事をしてよ。」
慌てふためく。心配で、座り込んだ白坂の前にしゃがみ込み、白坂に声を掛けた。
白坂は下を向いたまま、
「俺、降参!」
「はい?」
何?降参って?
訳が分からずおろおろするばかりの私に、上目遣いで私の顔をみた。
ドキンと心臓が音を立てて跳ねた。
はっきり聞こえる。
「俺さ、賭けにでたわけ。気づいてないみたいだからいうけど、俺が、突然お前が言った通りお前から離れたら、寂しくなったり、俺といたとき楽しかったとか、なんなら俺にそばにいて欲しいとか思うんじゃないかってさ。何かしなきゃ変えられないと思ったんだ…。」
こんなこと言わせやがって、マジ恥ずかしい…気づけよ…と頭を抱えてぶつぶつ言っている。
「え…と…。」
なんて答えていいのか分からない。
「お前に付き纏うなって言われたとき、もしかしたら、赤山のときのこともそうだけど、黒田、お前に変わって欲しい、もっと学校を楽しんで欲しいと思って今までやってきたことが、逆にお前に負担を掛けていたのかもしれないと思ったんだ。それで、違う方法をとってみようと思った。でも…。」
「でも?」
「でも、マジ意味なかった。っていうか逆効果?まさか、さらに自分の殻にこもるとか、想定していなかったよ…。」
一呼吸おいて、
「本当に…。」
そういいながら立ち上がると、正面に立ち私を見下ろした。
「お前、心こじらせすぎ!どうやったら、お前の心の壁を崩すことができるんだろうな。俺の一番の難題だよ。」
途方に暮れたような顔で言わないで。
でも、それが、なんだかとても可笑しかった。
「どうすればいいんだろうね。」
自分でも分からなくて困っているんだよ。
「俺の気持ち変わらないから。さっきの子にもそういって断った。」
「一緒に登下校してたのに?とても楽しそうだった。私が見たことがない笑顔で笑ってた。」
「あれは偶然。というか、たぶん通学途中で待ち伏せされてたんだろうな。」
「待ち伏せ…。」
「信じてないな?俺が誘ったとか断じてない!通学途中に声を掛けられただけ!」
「そういうことにしておきます。」
「って、また敬語かよ…。それに、見たことない笑顔って、たぶん作り笑いだよ。気になったのか?もしかして、やきもちを妬いたとか?なら嬉しい。」
からかう白坂に即答していた。
「内緒です。」
5月31日の午前中に1話、お昼12時頃に最終話をアップします!
そして夜から、黒田と白坂が初めて出会ったときのお話などを、週一で掲載していく予定です。
お楽しみに!




