11 また 現れた
もうすぐ片付け終わろうかというときに誰かが教室に入ってきた。
「黒田、ここにいたのか。」
「白坂…?」
息を切らせている。どうやら、どこからか走ってきたらしい。
「一人で片付けしていたのか?」
周りを見渡して、他に誰もいないことに気づいたみたいだった。
「うん。気がついたら一人だった。」
みんな部活とかで他にやることがあるみたい。大変だね。
とか話しながらも手は休めず、残っていたおもちゃを、所定の箱に入れて棚に置いた。
これで、今日の片付け作業は終わりだ。
「手伝うよ。」
持っている箱を持とうとしてくれたけど、
「ありがとう。でも、これで終わりだよ。」
目の前の棚に箱を置くと、スカートについた汚れを叩きながら立ちあがる。
「俺、部活の出し物のリーダーになっちゃって、忙しくて全然クラスの手伝いできなかった。ごめん、押し付けて。」
申し訳なさそうな顔をして、頭を下げた。
言われてみれば、文化祭の準備中とか文化祭の間も、あまり見かけなかったなあ。
「ううん。気にしないで。私、帰宅部で暇だったし。それに、仕事があった方が過ごしやすかったから。」
帰るつもりでカバンを手に取ると、
「それじゃあ。」
と、教室をでようとしたら、
「待って、黒田。一緒に後夜祭行こうぜ。」
呼び止められて振り返ると、
「すぐに帰らないと駄目なのか?」
と、聞かれた。
「そんなことはないけど…。」
「じゃあ、行こうぜ!後夜祭って何するんだろうなあ。楽しみだ。」
なんだか楽しそうに話している。
「えっ?先生方の出し物と、芸能人の人が来て舞台やる。最後は花火が上がる。」
「なに!?黒田、初めての後夜祭なのになんで知っているんだ!?」
信じられないようなものを見る目に、こっちが驚く。
「えっ!?パンフレットに書いてあったよ。」
「パンフレット…。」
パンフレットの存在すら知らないのかな?
カバンからパンフレットを取り出すと、
「はい、これ。よかったら。」
白坂の前に差し出した。
目線を動かしただけで受け取らず、何かを考えているようだった。
「いいよ。行けば分かるし。」
そういうと、「ほら、急げ。」と、私の背中を押し、体育館へと歩き出した。
歩きながら私は思っていた。
まただ。いつもそう。
白坂は、私が一人になるといつも、どこからか現れてそばにいてくれる…。




