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オオカミと少女

作者: しいたけ

 ぬいぐるみを抱えた少女は、森の中で歯の抜けたオオカミと出会いました。


「オオカミさん、オオカミさん。帰るところがありません。どうか助けて下さいな」


 少女から食べ物を奪うつもりで姿を見せたオオカミは、しばし空を見上げました。


「我も腹が減って動けん。何かくれないか?」


 少女は手を振りました。ポケットを裏返してオオカミに見せると、オオカミはガッカリしてクルリと後ろを向きました。


 トボトボと歩くオオカミの後ろを少女がゆっくりとついていきます。オオカミが寝床へ着くと、少女が顔を出して狭い穴の中へグイグイと入っていきました。


「こらこら、狭いんだから無理矢理入るな……」


「でも暖かいね」


 その日、少女とオオカミは抱き合うようにして眠りました。



 次の日、オオカミが目を覚ますと少女の姿がありませんでした。オオカミは少女が居た場所をさわると、まだほんの少しだけ暖かく、どうやら先ほど出て行ったばかりでした。


 オオカミはその日も獲物を捕まえられず、お腹が空いて寝床へ戻ると、少女がおりました。


「お帰りなさいオオカミさん。お腹が空いたでしょう?」


 少女は小さなパンを一つ持っていました。


「一緒に食べましょう?」


 オオカミは少女が裸足になっている事に気が付きましたが、何も言わずパンを半分貰いました。


「まだ腹が空いたな……」


「でも暖かいね」


 その日も、少女とオオカミは抱き合うようにして眠りました。



 次の日、オオカミが目を覚ますと少女の姿がありませんでした。オオカミは少女が居た場所をさわると、暖かくなく、どうやら出て行ってから時間が経っておりました。


 オオカミはその日も獲物を捕まえられず、お腹が空いて寝床へ戻ると、またしても少女がおりました。


「お帰りなさいオオカミさん。お腹が空いたでしょう?」


 少女は小さなパンを二つ持っていました。


「一緒に食べましょう?」


 オオカミは少女のぬいぐるみが無い事に気が付きましたが、何も言わずパンを一つ貰いました。


「もう少しだけお腹が空いたな……」


「でも暖かいよ」


 その日も、少女とオオカミは抱き合うようにして眠りました。



 次の日、オオカミが目を覚ますと少女の姿がありませんでした。オオカミは少女が居た場所をさわると冷たく、どうやら出て行ってからかなり時間が経っておりました。


 オオカミはその日も獲物を捕まえられず、お腹が空いて寝床へ戻ると、またしても少女がおりました。


「お帰りなさいオオカミさん。お腹が空いたでしょう?」


 少女は小さなパンを二つ、リンゴを一つ持っていました。


「一緒に食べましょう?」


 オオカミは少女が下着姿なのに気が付きましたが、何も言わずパンを一つとすり潰したリンゴを半分貰いました。


「大丈夫、もうお腹いっぱいだ……」


「ふふ、暖かいね」


 その日も、少女とオオカミは抱き合うようにして眠りました。



 次の日、オオカミが目を覚ますと少女の姿がありました。オオカミは少女をさわると冷たく、どうやら具合が悪いようでした。


 オオカミはその日も獲物を捕まえられず、仕方なく街へと向かいました。


「お帰りなさいオオカミさん……お腹が空いたでしょう?」


 少女は何も持っていない手でオオカミを撫でました。オオカミは少女に薬とパンと温かいスープを差し出しました。


「食べるんだ」


 少女はオオカミの毛が無い事に気が付きましたが、何も言わずそっと涙を流して食べ物を貰いました。


「寒くないか?」


「大丈夫、暖かいよ」


 その日も、少女とオオカミは抱き合うようにして眠りました。


 次の日から少女はオオカミに狩りの仕方や食べ物の取り方を教わり、二人で分けながらいつまでも暮らしました。



読んで頂きましてありがとうございました!!

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(*´д`*)

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― 新着の感想 ―
[一言] ハッピーエンド・・・のような そうでないような・・・ そんな感じが、たまらなく良いです。
[一言] 『労わり合い』ですね。ほっこりするのに泣けてくるのはなぜでしょう?
[良い点] とてもほっこり暖かいお話でした。 優しい世界ですね。
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