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閑話 ・ 魔術効果=魔力量 × 術式

 ここで、この世界の「魔力・魔術」に関して述べておこうと思う。


 これから述べることは、私、アリスティアの見解なので、もしかしたら間違っている部分があるのかもしれないが、概ね、合っていると思う。


 魔術とは何か?


 一般的には、万能な力を持つとされる「魔力粒子」を術式で制御して、望みの効果を発動させること、とされている。そういうものだ、と言われば、そうなのだろうと思うしかないのだろうが、魔力なんぞ皆無な世界の住人だった、私にはいまいちピンと来ない。だから、イメージ(たとえ)で捉えている。



【 魔術はコンピューター 】



 私がまだ、野乃だった頃。兄、晶が夏休みで帰省していた時のこと。

 兄はカチャカチャとノートパソコンのキーボードを叩いている。メールでも打っとんのんかいと思い、画面を覗き見するも、英語、記号、数字、日本語が飛び交うそれは、意味不明。


「兄さん、これ何なん?」

「これかー、これはプログラム、今プログラム書いとんのや、ソフト作ってるちゅーた方が分かりやすいか?」

「ソフトって、ワードとかエクレアとかいうヤツ?」

「アホ、エクレアはシュークリームやろ、エクセル、マイクロソフト謹製表計算ソフト」

「そんな細かいことはええねん。でも、ソフトってパソに最初から入ってたり、電器屋で買うたりするもんやないの、自分で作れんの?」

「作れんでどうする。店で売っとるのも、誰かが作らな存在せんやろ」

「そら、そやな」


「実験で、使うプログラム、同じゼミの奴が書いてくれてんけど、これがまた効率が悪くてダメダメやねん。そんで、しゃーないから、お前の優秀なるお兄様である俺様が、作り直しとるんや」

「自分で優秀ー とか言うとる奴、基本アホやでー」

「野乃、お前、真理わかっとるやないか。さすが優秀なる俺様の妹」

「その『優秀』なんで『妹』の方につけへんねん」

「付けてほしいか? そういえば、まだ見てへんな、一学期の通知表見せや」

「すみません、お兄様。ただの妹で結構でございます」


「でも、面倒くさない? そのゼミが同じ人が作ってくれたのでええやん。使えんこと、ないんやろ?」

「そらまあ、使えんことはないよ。けど、プログラム走らすパソコン古くて遅いんや。やっとられん」

「遅いのん、そやったら速いの、買えばええやん」

「教授に、大学に、文部科学省に言ってくれ」

「いやや」

「おまえなー」


「とにかく、そんなお金使わんでも、無駄のないプログラム書けばいいだけやねん。それで解決や」


 私は、野乃時代の知識、経験から、次のように考えるようにしている。それが一番すっきり来る。


「魔力量」はコンピューターの速度、計算速度。

「眷属の紋章・加護の紋」は、この世界の神々謹製プログラム。

「自力で術式構築」は、自分でプログラムを作ること。自作プログラム。


 プログラム(ソフト)入ってないパソコンは、ただの箱。つまり、それが、


 紋章取得前の貴族。


 そして、神々謹製プログラムが入ったパソコンが、


 紋章取得後の貴族。


 なんて、分かりやすい説明(イメージ)でしょう。さすがは私、神の恩寵を一身に受けしアリスティア。なんて優秀な解説者。


「自分で優秀ー とか言うとる奴、基本アホやでー」


 雑音が聞こえたような気がするが気にしない。


「よし出来た! 完成や!」

「もう出来たん? 早いなー」

「早ないよ、二時間かかっとる、ウォズニアックだったら、こんなの十分で出来そうや」

「誰それ?」

「知らなくて結構。さあー、データはもう入れてあるから、試しに走らせてみるか。このノーパソじゃ、ちょっと怖いけどな。負荷落とそか? いんやそれじゃ、時間かかり過ぎるフルパワーや!」

「何呪文となえとんのん、意味不明や」



「兄さん、どうだった? プログラム上手くいった?」

「あかん、途中で止まった。ノーパソが熱暴走した」


 これも、この世界の魔術の説明に使える事象。


 ここに、仮に「100」の魔力量を持った貴族(紋章取得済み)がいたとする。では100の魔力を一気に使えるかというと、そうではない。貴族自身の体がその負荷に耐えられず、体が壊れる、最悪、体が消し飛んでしまう。魔術の熱暴走。


 だから魔力量が100あったとしても一回の魔術で使える量は20くらいが限度。この比率は、個々に於いて少々ばらつきはあるけれど、殆どの貴族に当てはまる。だから、魔力量が50の貴族なら10くらいになる。(ただし、これは短い時間で魔術を発動する場合、時間をかけてゆっくりの発動ならば、一回で全ての魔力量を使い切ることも可能)


「どう、今回は上手くいったん?」

「いった。負荷落としたら大丈夫やった。効率二倍や!」

「二倍かー、そら凄いな。プログラム変わるだけで、そんな違うんかー」


 これに当てはまるのが、私のお父様。

 眷属の紋章に頼っりきりの普通の貴族に比べ、魔力をより効率よく使うことが出来る。推測だけれど、幼少より術式に取り組み、術式を熟知しているので、眷属の紋章が与えてくれる術式を改良して、より効率の良い術式を作り上げてるのだろう。


 なんて、素晴らしいお父様! 私、アリスティアは大きくなったら、お父様のお嫁さんになります!


 ……などとは、いくら十歳とはいえ、野乃の記憶もある私は、そんな子供っぽいことは言わない。もし、言ったとしよう、そうなれば敵はお母様になる。しかし、あのグラマラスボディに勝てる気がしない。女としての格が違う気がする。


 私は両手を組み合わせ、神に祈る。


 ああ、神様! ペッタンの呪いは野乃だけにして下さい、アリスティアは、どうかお見逃しを!

 

「アリス姉様、何をお祈りされているのですか?」

「あら、エルシー、世界の平和を、生きとし生けるものの幸せを、お祈りしていたのです」

「まあ、なんて素晴らしい! わたしも一緒に世界平和を祈らせくださいませ」

「では、二人でお祈りいたしましょう」


 神々よ!


 アリス姉様がクソな男に取られませんように! 絶対絶対、いつも姉様の傍にいるのは、わたしでありますように!


 神よ!


 ほんとやめて! ペッタンだけはやめて! ほんとにほんと! あれだけは!!




 私達、姉妹の祈りはとても真摯だった。


分かる方には分かるでしょうが、作者は文系です。プログラムとか良く知りません。適当に書いてます。

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