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第22話 暗黒龍襲来


最初から読み返し、所々修正しています。

例えば、ケイの告白はちゃんとするようにしました。

 

 "ワープポータル"という魔法を使って、東方にあるというエルフの国『フィーリア王国』まで、一気に転移を試みた。

 少しの浮遊感を感じた後、視界がガラッと変わっていた。


「え、え!?なに?……ここは?」

「急に視界が。ここは、どこですか?」


 ふたりが混乱するのも無理はない。

 なんせ、転移することは伝えていなかったから。

 だが、今から伝えるのは無理そうだ。

 僕は、()()()()で瞬時に周りの状況確認を済ませると、"空間障壁魔法スペースバリア"を展開した。



 ──ドサッ!


 急な変化に戸惑っていたリーザとエンリは、突然背後から何かが倒れる音がして、同時に振り向いた。

 するとそこには、うつ伏せに倒れているケイの姿があった。


「ケイ?……ケイ!」

「ケイ様!」


 ふたりはすぐに駆け寄った。


「ケイ!わかる?……だめ。反応がなぃ」


 泣きそうになりながら、ケイを揺すっているリーザにエンリが諭す。


「リーザ様。回復魔法を使ってみてはどうですか?」

「う、うん!お願い、目を覚まして!ヒーリング!」


 ケイを横たえてその顔に触れながら、治癒の魔法を唱えたが、目を覚ますことはなかった。


「起きてよ、ケイ。魔力が足りないの?なら、もっと」


 そう言ったリーザの手には、魔力がどんどん集まっていく。

 その証拠に、リーザの手が強い光を帯び始めた。


「ハイヒーリング!」


 上位の回復魔法、ハイヒーリング。

 骨折や進行の遅い癌などの怪我や病気を、容易く治癒できる魔法。

 回復系の魔法は光属性に分類される為、リーザも行使可能だ。

 もちろん、属性を得ているからと言って、簡単に魔法を会得できる訳ではない。

 ケイを基準にしてはいけないのである。


 だが結局、ハイヒーリングを行使してもケイが目を覚ますことはなかった。

 リーザは泣きそうな顔をしながら、ケイの頭を膝の上に乗せ、じっと見つめていた。

 すると突然、エンリが何かに気付いたように大声を出した。


「あっ!わかりました、リーザ様!もしかしたら、魔力欠乏症かもしれません!」

「え、魔力欠乏症?いつ魔法を……え!?ま、まさか、今の転移!?」



 魔力欠乏症とは、自身の持つ最大魔力量を越えて魔力を消費した場合に発症する。

 酷い頭痛と、精神的ダルさが一気にやって来て、意識を保つのも難しい症状だ。

 自身の魔力量を省みず、大きな魔法を使えば最悪死に至ることもある。

 これを早急に措置する方法は、"魔力譲渡"といった特別なスキルぐらいしか存在しない。

 だが、幸いにこの症状は、数日安静にしていれば自然に回復するので、基本的にほっとけば治るようなものだ。


 ようやくケイが倒れた原因が判明したふたりは、安堵の息をつくと共に、時空属性の中でも桁違いの魔力と修練を必要とする、転移の魔法を簡単に使うケイに半ば呆れていた。







「ここは、村……でしょうか?」

「そうみたい。焼け野原になってるけど」


 そう。ここはふたりが言うように村だ。

 ただ、辺り一面焼け焦げ倒壊した家屋が、瓦礫と化して並んでいた。

 吹き飛んで焼け爛れたのか、柱だけになって建っている建造物もいくつかある。

 当然、こんなところに住んでいる者などおらず、どこに転移したのかもわからない。

 おまけに、リーザたちの周りには薄い膜のようなものがある。

 ケイが転移した後に、咄嗟に発動した"スペースバリア"だ。

 これは、座標を固定してそこを中心に障壁を作る魔法。

 動かすことはできず出入りも不可で、外からは見えない。

 つまり、ケイが目を覚ますまで、障壁の外には出られないということになる。



「もう!これじゃ、ここがどこか調べにも行けないじゃん!」

「そうですね。でも、ケイ様が私たちを守る為に咄嗟に張ったんだと思いますし」

「守るって、人っ子一人いないのに?あぁ、魔物か」

「はい。どんな魔物がいるかわかりませんからね」


 何の情報もない場所を、適当に動くのは危険極まりない。

 しかもここは、魔物という未知の生物が蔓延る異世界だ。

 そんなところで、「守る」と言っておきながらあっさりダウンしたケイは、自分が動けなくても大丈夫なように"スペースバリア"を張って守るという対策を立てたのだ。



「それにしても。本当勝手なんだから、ケイは。……エンリ?」


 独り言をこぼしていたリーザは、障壁の側でしゃがみこみ何かをしているエンリに気付いた。


「エンリ。何してるの?」

「あっ、リーザ様。これを見てください。やっぱりこれは"最近"です」


 エンリがそう言って見せてきたのは、焦げた跡が付いている木の板だった。


「これで、"最近"ってわかるの?」

「はい。焦げ目が──」


 エンリがその問いに答えようとしたその時、強烈な地響きがふたりを襲う。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォォォ!!


「「ッッ!!」」


 物凄い轟音が聞こえ、障壁の外を突風が吹き荒れた。

 ふたりが(一体何が……)と思うと同時に、晴れていて日向だったこの場所に、特徴的で巨大な影が差す。


「「こ、これは……」」


 ボソッと呟いたリーザとエンリが、恐る恐る頭上を見上げたそこにいたのは。


「グウウゥギャアアアアァァァァァ!!」


 漆黒の翼を持ち、金色の瞳をギラつかせて大空を舞う、『フローラン』の生態系ピラミッド、その頂点に立つ伝説の生物 "暗黒龍"だった。


「「うそ……」」


 リーザとエンリは呆然と立ち尽くすことしかできない。

 それはそうだろう。

 ドラゴンとは、人間にとっての災害だ。

 日本では、大災害に被災するようなもの。

 まぁ、中にはドラゴンと互角以上に渡り合える怪物もいる。

 だがほとんどの生物は、生き残ることを祈るしか手はない。

 おまけに今回は、ドラゴンの中でも別格の存在。

 客観的に見て、今この場にいる人間に明日はない。


「あれ、暗黒龍?な、なんでこんなとこに」


 リーザはケイの手を握りしめ、恐怖を消そうとしている。

 反対にエンリは、いつでもリーザとケイの囮になれるように魔法を待機させていた。

 だが暗黒龍は、そんなの知らないとばかりに咆哮すると、翼で風を作り出し、下にいる獲物に向かって放つ……だが。


 ガギィィィィン!


 ケイが作り出した空間障壁が3人を守った。

 しかし、その障壁に亀裂が入る。

 果たして、障壁の防御力が高いのか暗黒龍の攻撃力が高いのか。

 それはわからないが、次また同じ攻撃を受ければ障壁が破壊されるのは想像に固くない。


「ケイ、ごめんね。あれは無理だよ。せめて、一緒に」


 リーザを涙を流しながら、横たわっているケイに抱きつき目を瞑る。

 対してエンリは、覚悟を決めるとふたりの前へ行き、暗黒龍を睨み付けながら、水の矢を複数放つ。

 リーザとの模擬戦とは比較にならない程の濃い魔力を練って打ち出した魔法だった。

 しかし、暗黒龍に到達する前にそれは掻き消えた。


 暗黒龍が高く咆哮した後、その周りを膨大な魔力が乱舞していたのだ。

 それにより、エンリの魔法が呑み込まれた。

 晴れていた空も、今は真っ暗な暗黒色に変わっている。

 天気に影響を及ぼす桁違いの魔力。

 まさに………災害。

 そうして、その膨大な魔力はある一点へ収束していく。

 その一点とは、暗黒龍の口元。

 ドラゴンの代名詞、ブレスの予兆である。


「ガギャアアアアアアアァァァァァ!!」


 再び暗黒龍の咆哮。

 ブレス準備完了の死の合図だ。

 リーザとエンリが死を覚悟したまさにその瞬間だった。


 一陣の風が吹き抜ける。


 その風は、ふたりの少女を巻き込み遥か彼方へ流れていく。

 刹那、暗黒龍の極太ブレスが放たれた。

 漆黒色の、ここら一帯を消し飛ばすには十分すぎる程の威力を孕んだ攻撃だった。


 焼け野原で、辛うじて村の面影を残していたこの場所は、数百メートルに渡って巨大なクレーターが形成され、完全に更地と化したのだ。








ブクマ登録、評価ありがとうございます。

気付いたら、10数pt増えててビックリしました。

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