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茶店シリーズ

ジャスミンティー

作者: 東京澪音

神奈川県は秦野という街で母は小さな喫茶店CHANTシャンテを営んでいる。


僕はそこで唯一のウェイターとして働いている。


お洒落な外見とランチセットが話題を呼んで、近所で働くOLさんや、学校帰りの高校生でそれなりに忙しい毎日を送っていた。


ある土曜日、近所の顔見知りの女子高生が店に来て、ため息混じりでランチを注文した。


どこか上の空な彼女は、ランチを食べ終わってからも席も立たずにそこから見える街の景色だけを見ている。


見兼ねた僕は、彼女の前に一杯のジャスミンティーを差し出す。


少し驚いた彼女を横目にそれとなく尋ねてみる。


「ジャスミンティーでございます。失礼とは思いましたが、少し疲れていたご様子でしたので、お節介ついでにコチラは当店からのサービスです。失礼ですが何かございましたか?」


すると彼女はポツリポツリと話し出す。


以前からお付き合いしていた人と、些細なことで喧嘩をしてしまい別れてしまったとの事。


何も手に付かず、1人の時間が寂しかった為、彼とよく来たこの喫茶店にふらっと一人で来たとの事。


「辛いことがありましたね。そんな時は是非ジャスミンティーを飲んでみて下さい。当店のジャスミンティーは大変良い茶葉を使っているので、きっと気に入っていただけると思いますよ。」


すると彼女はジャスミンティーを一口だけまず口に含む。


「あ、美味しい!」

少し嬉しそうに。ため息混じりだったその顔は僅かながらに綻んで見えた。


「ジャスミンティーには気持ちを落ち着かせる効果があるんです。その他にもストレス解消だったり、女性には嬉しい美肌効果なんかもあります。」


僕の説明にへーって言いながらも耳を傾けてくれる。


「少しは気持ちが落ち着きましたか?恋はね、一生に一度な訳じゃないのです。だからその恋だけにとらわれないで下さい。今よりももっと素敵な恋に出会える事を願っております。もしもまた何かに迷う事がありましたらいつでも当店へお越しください。また素敵なお茶を紹介させて頂きますので。」


入って来た時よりどこかスッキリした顔をしたその子は、ありがとうと一言口にすると、笑顔でこの店を後にする。


あなたがもしも悩んでいらっしゃるのなら、是非一度お越しください。


その心をときほぐす、素敵なお茶をお出ししたいと思います。


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