宝探しの結果と新たな出会い
ふたりの話によるとその店があるのは駅の近くの路地裏にあり、夕方から営業しているらしい。
店の名前は「ラ*ファータ」
少し気になった私は、その店を見に行くことにした。しかし、どの路地を曲がっても看板がなかなか見つからない...
人間に見つからないように物陰に隠れながら、周辺を見るが、「ラ*ファータ」なんてお店はどこにもない...
諦めかけていると、奥の方からぼんやり光る1件のお店を見つけた。
近づいてみると、アンティーク調のカフェのような感じだった。
やっぱり違うか。と戻ろうと思った瞬間、小さな看板が目に入った。その看板には店名の「ラ*ファータ」とその下に小さく「あなたの見たい夢見れます」と書いてあった。
看板はとっても小さく、もう営業時間のはずなのに店内は薄暗くてやってるかどうかわからない。
そりゃ、見つからないはずだ。お客さんはどうやってこの店を見つけるんだろう。 絶対初めてくる人は、迷うしたどり着けずに諦める人もいるだろうな。
なんて考えていたら、なんだかどっと疲れきた。店を探すのに2時間以上かかったからだ。宝探しみたいで楽しかったが、やはり体力は奪われる。
とりあえず、店の場所がわかったから今日は帰って、また明日にでも様子を見に来ようと思った瞬間
チリンチリン〜
と、鈴の音がした。後ろを振り返ると店のドアが空いていた。
え!?
そこには誰もいない。そして私が開けたわけでもない。むしろ、帰ろうとしてドアから離れたのだから開けられるはずがない。
それにこの店のお客様さんが入ったのならば、人間だし、気配でわかったはず...
なぜドアが開いたのかとう疑問より恐怖のほうが襲ってきた。薄暗い店内の雰囲気のせいか、悪魔とか生霊とかなんか悪いものが出てきそうで、その場にいるのがとても怖かった。
すると、中から声が聞こえてきた。
「お待ちしてました。面接のかたですよね?どう ぞ中へ!!あ、店長ー!面接の人です!来ましたよー!」
「え?面接?そんなやついたかー?」
「あ、いや…違うんです。ただ前を…!!」
弁解しようとしても私の言葉は届かず、どんどんふたりで話を進めているようだ。こちらからは姿が見えないぶん、なんだか恐ろしい。
「え?でも私たちと同じこっち側の人みたいですよ?」
「それは珍しい。願ってもいない事だ。歓迎するよ。中へ入ってもらって」
「はーい!」
元気よく返事をしたのを聞こえてすぐ、目の前に大きなマントを被った人が現れた。
私に向かって手招きして
「どうぞ?」
と中へ入るよう案内してくれた。
けれど、私はなんだかこの店に入ったら終わりのような気がして、断ろうとした。
「えっと、違うんです。道に迷ってたら、たまたま前を通りかかって...」
とまた弁解しようとしたが、すぐに私の言葉を遮ってきた。
「そんなことより、もうすぐお客さんが来ちゃうの。帰り道ばったり!なんてこともあるかもしれないから、とりあえず、中入って?ね?このまま店の外に、ぼーっと立たれても困りますししね。中の方が絶対!ぜーたっい!安全ですよ!」
私が相づちを打つ間も与えてくれないくらいとても早口だ。そのため強引さと勢いに圧倒されて、内容は全然頭に入って来なかった。
そして、私の答えを聞かず、ものすごい力で腕をつかまれ、そのまま店の方へと引っ張られ、あっという間に中に入ってしまった。というより、入れられてしまった。というほうが正解かもしれない。
今目の前にいる人が、自分にとって味方なら問題はない。けれど、もし敵だったら!と考えると頭が真っ白になる。
厄介なことに巻き込まれてしまった気がして、鼓動がどんどん上がって来るのがわかる。
「落ち着け自分。」
そう自分に言い聞かせながら、冷静を保とうとしていた。