表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢売りの妖精  作者: ちょこみんと
1/10

お互いの必要性

今日は夢の世界は人が足りないみたい。

どんどん眠気が襲ってくる。


現代人は忙しい。そのため睡眠時間が減っている。

そのせいで、夢の運営が困難になりつつある。

夢のエコ化が加速している。空を飛ぶとか魔法が使えるとかそんな夢は人件費削減のためここ数年出していない。


夢でお金を使う人たちが減ってきている。

お金を使わないまま、現実の世界に戻ってしまう。


もちろんお金というのは、現実世界で使っているものではなく、対価としてその人のストレスを吸い取って頂いている。


私たちにとって人のストレスはとても美味しいものだ。その人が辛ければ辛いほど、濃い味のものを手に入れることができる。


しかし、ここ最近は幸せな人が多いのと、ストレスを抱えている人は忙しく睡眠時間が短い。


とても濃くて美味しそうなストレスの塊が目の前にあっても、あと少しで手に入るという時に、アラームがなってその人は起きてしまう。


無駄な体力を使わされて、ご飯はなし。


辛すぎる。


ストレスを吸い取るためには、まずその人に夢を見させてあげなくてはならない。


その夢は印象が強いものを見せる必要がある。夢の内容はなんでもよい。怖くても幸せでも、印象が強ければその人が夢中になって目を覚ますのを少しでも妨げてくれるからだ。


そして、ゆっくりストレスを頂く。


けれど、最近は睡眠時間は短いし、眠りは浅い。本当に営業妨害だ。


しかも眠りが浅いから故に、夢の中で意識があるものがいる。


あ、これは夢だから大丈夫とか、そんなふうに思われると印象もつけられないし、ストレスを食べることもできない。


そのため夢を無料提供していることになってしまう。このまま無料提供が進めば、私たちは消えることになる。


そして人は睡眠中、夢を見なくなる。


現代人の平均睡眠時間は5時間。


私たちは居なくて良い存在でもある。


だが、存在している以上、その命を守ろうとする。


人間でもそうだろう。


別に生きていても価値がない人、役に経っていない人がいるはずだ。


けれど、役に立っていないという理由でその命を消すことは許されない。


人権的尊重というものを手に入れている以上、みんな平等ということになる。


私たちは人ではないからその平等を手に入れることができない。でも違う世界で同じように生きていることは確かだ。食べるものや姿形は違っても同じように生きて、自分の命を守ろうとしているいる。


昔は共存が出来ていたはずだ。

人間が疲れて寝る。それを見つけて私たちは夢をみせ、熟睡させる。その間に食事をする。食事が終わる頃には朝を迎え、人間は目覚める。


良い循環で回っていた気がする。お互い必要なものを与え合う。


まぁ、人間の方は私たちのことを知らないから一方通行な取引だが、誰も損をすることはなかった。


ストレスを抱え込んで自殺をしたり、自分で抱えられないほどストレスを溜め込んで爆発して騒ぎを起こしたり、誰かを殺めたりすることもなかった。とても平和な世界だった。


けれど、今はなかなかストレスを回収できない。そのため私たちはお腹を空かせて餓死するものもいた。


人間はストレスを溜め込んで爆発するのを待つか人間が考えたストレス解消法で発散する人が増えていた。


好きなものを食べたり大声で歌ったりして発散をしているようだ。そんなことをしなくても寝てくれれば、私たちが吸い取ってあげるのに… と悔しい思いを押し込めながら、毎日美味しそうな人間(獲物)を眺めている。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ