美女だった私、ゴツいおっさんでも勝てる気がする
こんにちは。
ちょっとした事故で、気がついたらおっさんになっていました。
正直、状況はよく分かっていません。
ただひとつ言えるのは――
このままでは、いろいろとまずいということです。
一応、元はモデルをやっていました。
なので……たぶん、なんとかなると思います。
いや、なんとかします。
⸻
軽いノリで読んでもらえたら嬉しいです。
その美女の名は、美南。
ナンバーワン売れっ子モデル。
美容にも精通する、美のカリスマ。
――だった。
「お疲れ様でしたー!」
撮影を終え、スタジオを出る。
ビルのエントランス。
夜風が、心地いい。
(はぁ……今日も完璧ね、私)
そう思った、その瞬間。
「――っ!?」
背中に、激痛。
「なにこれ!?」
振り返る。
「ウヘヘ……お前は俺のものだ」
見知らぬ男。ナイフを持っている。
(あ、これダメなやつだ)
服に血が広がっていく。
「あー……そっか」
(私、死ぬんだ)
(……いや、まだ試したい美容法いっぱいあったんだけど!?)
そんなことを考えながら。
意識が、暗転した。
◇
「――おい、大丈夫か」
「おっさん」
その一言で。
意識が、一気に戻った。
「……え?」
目を開ける。
知らない天井。
知らない場所。
「おっさん、起きたか?」
「……は?」
ちょっと待って。
今、なんて言った?
「おっさん?」
自分を指差す。
視界に入る手。
太い。
ゴツい。
嫌な予感しかしない。
「……ちょっと待って?」
顔に触れる。
頬。
顎。
――ヒゲ。
「……は?」
鏡を探す。
あった。
見た。
そして。
「いや誰なの、この人!!」
完全に。
ゴツいおっさんだった。
「……」
一瞬の沈黙。
「……これは夢よ」
真顔で言う。
「そう、夢」
頷く。
「私は今、夢を見ている」
もう一度鏡を見る。
ヒゲ。
ゴツさ。
圧倒的な現実感。
「……やけにリアルな夢ね」
頬をつねる。
「痛っ!」
現実だった。
「終わったわ」
即答。
(いや待って)
(落ち着きなさい、美南)
深呼吸。
(これはピンチじゃない)
(チャンスよ)
「……は?」
自分で言って意味が分からない。
(この体、すごく丈夫そうだし)
(筋肉すごいわね)
(防御力おかしくない?)
腕を動かす。
強い。
「……ちょっと楽しいんだけど?」
(しかもこの顔)
(素材は悪くないのよね)
(磨けば……いけるんじゃない?)
じっと鏡を見る。
(肌、少し荒れてる)
(ヒゲ、整えたら印象変わる)
(服もダサいわね)
(……あれ?)
「これ、ダンディなおじさまに仕上げられるんじゃない?」
目が、輝いた。
(素材はある)
(あとは、私の腕次第)
「……よし」
立ち上がる。
「やってみましょうか」
その瞬間。
“ゴツいおっさん改造計画”が始まった。
なお。
この時の美南はまだ知らない。
この体が、すでに――
何もしなくてもモテるということを。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
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これからおっさんがどうなるのか、
そして無事に人間としてやっていけるのか(主にトイレとか)――
ぜひ見守っていただけると嬉しいです。
今後ともよろしくお願いします!




