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#6 異世界の市場

 朝ご飯も食べ終え、まだ朝と呼べるくらいの時間に、シュージはヤタサの街の市場までやってきていた。


 この市場は、大通りの両側に様々な出店が出ており、食材から装飾品など、お店によって色々なものを売っていて、見て回るのに相当時間がかかりそうな賑わいを見せていた。



「活気がすごいですね」


「そうだね。 店によって値段や品質も変わるから、結構買い物も大変だよ」



 そう応えてくれたカイルを始め、今日のところは案内役として見習い組の3人が付いてきてくれていた。


 蒼天の風ではこういったことも訓練として取り入れており、決められた金額でしっかりとした食材を買うように言われているそうだ。


 また、とりあえず1週間分の食材を一気に買い込むらしく、渡された値段も相当なものだった。


 ただ、体が資本の冒険者が多くいるため、食材はあればあるだけ消費されるという。


 ちなみに、大量の食材を買い込むにあたって、魔法袋マジックバッグというものを渡されていた。


 これはなんと、袋の入口以下のサイズのものであればおよそ100キロくらいの物まで収納ができる、魔道具と呼ばれるアイテムだ。


 ただ、当然便利なだけあって貴重なもので、この魔法袋一つで50万ゴルドくらいする。


 中にはもっと入口が大きいものや、中に入ったものの時間がゆっくり進むようになるなどというグレードの高いものもあるらしいが、その辺りになってくると値段もバカにならない値段になってくるので、買うとしても今使っているサイズが1番良いらしい。



「お、ここが俺達がいつも買ってる肉屋だぜ!」



 と、そうこうしている内に、行きつけだという肉屋に到着した。

 


「おう、坊主達じゃねぇか。 おぉっ!? な、なんか厳つい兄ちゃんもいるな?」


「あ、どうも。 蒼天の風で新しく働くことになったシュージと申します」


「中々すげぇ体してるなぁ」


「恐縮です」


「おっちゃん、いつもと同じ感じの肉で頼む!」


「おう、分かった」


「リック、何の肉を買うんですか?」


「えっと、レッドウルフにビッグコッコ、グレートバッファローにオークとか?」


「えっ、魔物の肉なんですか?」


「そうだぜ? シュージは魔物の肉食わないのか?」


「そうですね…… 魔物を食べる習慣がないところから来まして、普通の豚や牛や鳥の肉を主に食べてましたかね」


「そういう家畜のものもありますけど、魔物肉の方が出回りますし、安くて美味しいんですよ」


「そうなんですね」



 話を聞くと、昨日使ったベーコンも豚の魔物であるオークの肉から作られたものだったそうだ。


 確かに、何だか地球のベーコンよりも旨味が強かった気はした。



「あ、店主。 その奥のバケツに入ってるのって……」



 と、あらかた肉を売ってもらったところで、シュージは店の奥のバケツに目がいった。

 


「ん? ああ、肉を切り分けた時の骨とかすじだな。 すまんな、見苦しくて」


「ああいえ。 それも売り物だったりしますか?」


「いや、こいつらは捨てるな。 犬の餌ぐらいにはなるかもしれんが」


「もし良ければ貰うことって可能ですかね?」


「これをか? まぁ、全然いいぞ。 処分する手間がかからないから、ありがたいぐらいだ」


「ありがとうございます」



 沢山の肉と合わせて、シュージは大量の骨やすじ肉を手に入れた。


 かなり鮮度も良く、種類にもばらつきがあるので、これらを使って色々と出汁を取ってみようと思う。


 やはり、美味しい食事に出汁は欠かせないので。


 それに、すじ肉もちゃんと料理すれば美味しく食べられるものなどもあるだろう。



「シュージ様、それらは一体何に使うのですか?」


「出汁っていう調味料のようなものを作るのに使うのですが、知りませんか?」


「ダシ、ですか? 聞いた事ないですね」


「中々に美味しいんですよ」



 その後も市場を練り歩き、いつも買っているお店を教えてもらったり、シュージが個人的に買いたいと思ったものも、自費でいくつか購入した。


 先日倒したブラックウルフの報酬や、給料の半分が前払いで既に振り込まれており、懐にはそこそこ余裕があったので。


 中でも掘り出し物だったのは、海産物の干物などを扱う出店が市場のかなり端っこにあって、そこに乾燥昆布やわかめ、煮干しなどに加え、海沿いの一部では作られているらしい味噌と醤油に魚醤なんかもあったので、かなりの量を購入した。


 この辺りは内陸ということもあり、あまり海産物を食べる習慣がなく、売れないらしく、値段もかなりお安くなっていた。


 ただ、日本での価値を知ってる身からすると、申し訳なくなるレベルで安かったので、ポテンシャルのある食材だともうちょっと広めてあげたいなとも思った。


 レシピ登録という制度もあるようだし、ギルドのメンバーに好評であればレシピ登録して美味しさを広めれば、こんな市場の端っこで細々と商売をさせなくて済むかもしれない。


 ここの出店は週に一回この時間に出してるそうなので、今度この店の商品で作った軽食でも差し入れてあげようと密かに思うシュージだった。


 そんなこんなで有意義な買い物を終え、皆んな仲良くギルドに帰るのであった。

 

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