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#1 異世界に降り立つ

新作投稿です!


面白い、続きが気になるなど思っていただけましたら、ブックマークや評価をよろしくお願いします!

「……うーん、ここは?」



 目を覚ますと、そこは木漏れ日が差し込むどこかの森の中だった。


 おかしい。


 自分は昨日は普通に家で寝たはずなのだが。


 むくりと体を起こし、辺りを見渡して見ても、見覚えがあるはずもなく、自分の状況をいまいち掴むことができなかった。


 とりあえず、自分の体を確認すると、格好は寝ていた時の長袖長ズボンのジャージ姿で、裸足だった。


 まぁ、体を鍛えているので、裸足に関してはそこまで問題はない。


 というのも、男の身長は190センチ近くあり、筋骨隆々、顔は彫りが深く超強面と、一見ボディガードや裏稼業の人たちのようにしか見えない風貌をしている。


 その実は、本業は街の大衆食堂で働く料理人であり、アマチュア界隈では結構有名な総合格闘家でもあるという、二足の草鞋を履いている男だった。


 料理人としての腕もさることながら、格闘技の方も大会タイトルをいくつも取った事のある程の実力があるのだ。


 そんな異色の経歴なので、時折テレビや雑誌などの取材を受けたりもしたことがあったりする。


 本人は運動不足の解消のつもりで週に数回ジムに通うくらいで、実はそこまで格闘技にモチベーションは無いのだが。



(とりあえず、森を出るために少し歩いてみるか)



 ここにいても埒があかないと思った男、舘野秀治たてのしゅうじは、森を歩き始めた。


 一応、裸足なので足元にも注意しつつ、森を進む。



(それにしても、見た事ない植物が多いな…… ん?)



 キョロキョロと周りを見つつ、森を進んでいると、何か爆発音のようなものがかすかに聞こえてきた。


 もしや人がいるかも知れないと思い、少し早足で音が出た方角へ向かう。


 すると、次第に爆発音の他にも色々と音が聞こえてきて、木々の隙間を抜けると、そこでは剣を持った少年2人と杖を持った少女が、黒色の体毛をした狼5匹に囲まれていた。



「くそ、このままじゃ……」


「大丈夫ですか、君達っ!?」


「えっ、誰だおっさん!?」



(お、おっさん…… 一応まだ26歳なのだが……)



「って、おっさん丸腰じゃねぇか! 助けが来たもんかと…… うわっ!」


「リック! わぁっ!?」



 人に会えたと思ったのも束の間、剣を持っていた2人の少年が、狼に体当たりをされて地面に転がされてしまった。



「リック様っ、カイン様っ! あっ、きゃああっ!」


「待てぇっ!!」


「ギャインっ!?」



 そして、少女の方にも1匹の狼が飛びかかろうとする。


 それに対して秀治は、横から全速力で駆け寄ると、体重を乗せた全力パンチを狼に繰り出した。


 その一撃はグシャアっと骨や肉を砕く音を狼の体から響かせると、狼を十数メートルほどぶっ飛ばした。



「大丈夫ですか?」


「は、はい…… ありがとうございますっ」


「お、おっさんまだ来てるぞ!」


「むっ? ぐっ!」



 1匹倒したのも束の間、秀治を脅威と捉えた狼達のうちの2匹が、秀治の腕に噛みついてきた。


 その鋭い牙での噛みつきは、当然痛い。


 が、格闘家として数多の痛みに耐えてきた秀治は、噛みついてきた狼を腕の力だけで持ち上げ、ブォンっと振り解いた。


 そして、すかさず地面に落ちた2匹の狼の首根っこを掴み、まるで軽いものを投げるかのようなスピードで地面に思いっきり叩きつけた。


 再び今度は2匹の狼から色々と砕ける生々しい音が響き、2匹の狼はその動きを止めた。



「キャインっ」



 すると、恐れをなしたのか、残りの2匹は森の木々の隙間を通って逃げていった。



「ふぅぅ……」


(野生の凶暴な生物相手だから、手加減無しでやらせてもらったが、この子達を守れて良かった)



「お、おっさんすげえ! ブラックウルフを素手で倒しちまうなんて!」


「本当に助かったぁ…… オイラ達だけじゃやられる所だった」


「本当にすごかったです! ……あ、その腕……」


「ん? ああ、大丈夫だよ。 私、体は頑丈だから」



 少女が気にしている秀治の腕は、狼に噛みつかれた事で血がタラタラと滴っていた。


 正直、まぁまぁ痛いが耐えられないほどではない。



「私、治しますよっ」


「え? ああ、応急処置の道具でもあるんですかね?」


「じっとしててくださいね…… ヒール!」



 少女がそう言って杖を秀治の傷口にかざすと、腕が緑色の光に包まれ。みるみるうちに傷口が塞がり、痛みも消えていった。



「こ、これはっ……!?」


「反対側もしちゃいますね」



 その光景は、まさしく魔法そのもの。


 秀治が驚いているうちに、反対の腕もしっかり治してもらえ、治った腕を動かしてみても全く違和感などは感じなかった。



「はい、治りましたよ」


「君、今のは魔法…… ですかね?」


「え? はい、回復魔法ですよ?」


「回復魔法……」



 まさかのファンタジー要素に、秀治はかなり驚いていた。


 それに、切羽詰まっていてあまり気になっていなかったが、この子達の容姿も、リックと呼ばれた少年の髪は鮮やかな赤色だし、いま傷を治してくれた少女は綺麗な水色。


 おおよそ地球では見たことない髪色だ。



(ここは…… もしかして異世界なのか?)



 書店などに行った際、最近異世界に転生するライトノベルが流行っているというぐらいの知識はあったが、まさか自分がそうなるなんて思ってもいなかった。



(だが、そういうのは世界を救うみたいな使命があったりするんじゃないのか? ……考えても分からないか)



「あの、まだどこか痛みますか?」


「あ、いや、大丈夫ですよ。 すごい魔法ですね」


「まだまだ授業中ですから、あんまり深い傷とかは治せないんですけどね」


「ところで、おっさんはこんなところで何してるんだ? 裸足だし、見たこともない格好だし」


「ああ~……」



(異世界から来たと素直に言って良いんだろうか……? ……いや、今は申し訳ないが誤魔化させてもらおう)



「それが…… いつの間にかこの森で倒れていたんですよ」


「いつの間にか? うーん、転移門の事故とかでぶっ飛ばされたとかかな?」


「それかもしれません」



 転移門が何かは分からないが、とりあえず乗っかっておく事にした。



「行く当てはあるのか?」


「うーん…… 見知らぬ土地ですから、全くありませんね」


「なら、俺たちが拠点にしてる街にまず行こうぜ! とりあえず、人に聞けばおっさんの境遇も分かるだろうし!」


「それはありがたいです。 案内を頼めますか?」


「おう、任せとけ!」



 こうして、秀治の異世界(?)生活が始まった。

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